林田医療裁判 (平成26年(ワ)第25447号損害賠償事件、平成28年(ネ)第5668号損害賠償事件)を踏まえた立正佼成会附属佼成病院(杏林学園教育関連施設)への公開質問状(11)から(20)のリンクです。
Focusing on just one life, we are sending an open letter of inquiry to Rissho Koseikai affiliated Kosei Hospital (an educational affiliate of Kyorin Gakuen) in light of the Hayashida Medical Trial.
公開質問状には様々なポイントがある。医療従事者が患者や家族の疑問や不安を理解しようと努めているかどうかという点に着目したい。医療従事者と患者あるいは家族との対話のあり方に注目したい。医療従事者が患者や家族に対し、どのような態度で接してきたかということにも注目したい。
医療行為を行う際に、医療従事者が何を考えているのかという点に注意してみたい。医療従事者が医療行為をする際に、何に配慮しているのかという点に着目してみよう。医療行為に際して、医師は何を重視しているのかという点に着目してみよう。
医療行為の際に、医療従事者が守るべき倫理とは何かという点に着目してみよう。医療行為は誰のために行うべきかという点に着目してみよう。医療行為によって得られた利益については誰が受け取るべきなのかという点に着目してみよう。医療行為の結果生じた損害については誰が負担すべきなのかという点に着目してみよう。医療行為におけるリスクマネジメントとはどういうものなのであろうかという点に着目してみよう。医療事故調査制度の目的と意義を確認しよう。
医療は患者や家族にとって非常に大切なものである。医療従事者は、病気や怪我を治し、健康な状態を維持することを手助けする専門職である。専門的な知識・技術に加えて高い倫理観が要求される。医療に問題があれば原因を調査して再発防止に努めることは当然のことである。何故、そのような事態が生じたかを明らかにする。そして調査結果を踏まえて、今後どのようにすれば良いかを考えていかなければならない。
例えば、ある疾患の治療中に別の疾患を引き起こすような行為があった場合、医療従事者としては見過ごすわけにはいかない。たとえそれが偶発的な事故であったとしても、原因究明と再発防止のための措置を取らなくてはならない。もし、医療者がそれを忘れてしまったら、取り返しのつかない結果を招くことになる。
医療機関は発生した事実の説明責任を負うことも求められる。知る権利に応えるためにも、できるかぎり広く情報を開示することが求められる。これは医療安全対策の基本となる。しかし、残念ながら、これまで何が起きたかということについて、正確な情報が公開されている例は少ない。
Informed Consent(説明と同意)は極めて重要である。患者や家族に対して、医師から十分な情報が与えられていなければ、適切な治療を受けることはできない。誤った判断のもとで不適切な処置を受けてしまうかもしれない。ところが、日本の医療機関は、その重要性を十分に認識しているとは言い難い状況にある。
たとえばInformed Consentについて、「患者の自己決定権を尊重する」という理念は強調される。しかし、自分達の責任回避のためのアリバイ作りのために使われがちである。実際に行われていることといえば「説明を尽くしたとは言えない」「十分に理解が得られなかった」という結果に終わりがちである。
また、説明責任についても軽視されている。「質問がなかった」「説明しても納得してもらえない」といった声をよく耳にする。しかし、本当にそうだろうか?そもそも、何故このような事態が生じるのかと言えば、それは医療従事者側のコミュニケーション不足が原因である場合が多いのではないか。
つまり、医療従事者は自らの考えを正確に伝える努力を怠っている。その結果として誤解が生じやすい環境が醸成されてしまっている。この問題を解決するためには、まず医療者が自分の意思を明確に伝え、相手の意思を確認することが不可欠である。そして、相手がどのような疑問を持っているのかを理解した上で、それに対して誠実に答えていく必要があるだろう。
公開質問状(1)から(10)のリンク
11,2019年11月22日,日本の医療に関する意識調査
12,2019年12月6日,群大病院医療事故
13,2019年12月20日,チーム医療
14,2020年1月6日,東京消防庁救急隊の蘇生中止への要請書
15,2020年1月20日,酸素マスク
16,2020年2月3日,判例時報2351号に林田医療裁判掲載
17,2020年2月17日,ユマニチュード
18,2020年7月1日,すれ違う姉妹の思い
19,2020年8月27日,佐伯仁志「治療の不開始・中止に対する一考察」
20,2020年9月22日,医療現場での患者の安全を考えるシンポジウム
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