

医療過誤原告の会の会報第40号(2018年7月)に、林田医療裁判の原告手記が掲載されました。終末期ではない母への通常治療が拒否された問題を指摘し、医師の判断を批判。また、高齢者への過少治療問題についてもノンフィクションライターが論じています。
林田医療裁判が医療過誤原告の会会報に掲載
林田医療裁判(立正佼成会附属佼成病院裁判)の原告手記「母の望まぬ死」が医療過誤原告の会の会報『悲しみにくじけないで』第40号(2018年7月1日発行)に掲載されました。林田医療裁判は、入院中に死亡した患者の母親の長女が、病院および家族(長男夫婦)を訴えた医療訴訟です。
「母は終末期でもなければ、人工呼吸器のような延命治療をどうするかの問題でもありません。兄夫婦が拒否したのは、病気を治す為の普通の治療であり、それに担当医師が安易に応じて実行したことを問題としています」(67頁)。
この文章は、医療現場で適切な治療が提供されない現実を突きつけます。あなたやあなたの大切な人が、同じような状況に直面する可能性を想像してみてください。手記は医療消費者が知っておくべき医療の現実を浮き彫りにしています。

高齢者差別と過少医療:隠された問題
会報には、ノンフィクションライター・北穂さゆり氏による記事「『高齢者差別』という隠れた命題を闘う 林田医療裁判」も掲載されました(68頁)。この記事は、林田医療裁判を「過少医療」の視点から鋭く分析。過少医療とは、医学的に必要とされる治療が適切に行われず、本来救える命が救われない問題です。特に高齢者に対し、年齢を理由に十分な治療が提供されないケースが起きています。
過少医療の背景には、医療提供側の怠慢や偏見が存在します。過少医療の逆は過剰医療ですが、医療提供側が楽をしたいために薬漬けにするケースもあります。これらは患者の命を軽視する点で同根です。あなたは、医療現場で適切な治療を受けられなかった経験はありませんか? あるいは、大切な人が「もう歳だから」と見過ごされたことは?
医療消費者として知っておくべきこと
林田医療裁判は、私たち一人ひとりが医療消費者として向き合うべき課題です。高齢者医療の現場では、時に「年齢」というだけで治療の優先度が下げられることがあります。しかし、医療とは、すべての人に等しく差し伸べられるべきもの。命に「若い」「年老いた」の区別はありません。適切な治療を受ける権利は、すべての人が等しく持つものです。林田医療裁判は、私たち医療消費者に「命の価値に差はない」という当たり前の真実を、突きつけています。
林田医療裁判の公開質問状は、このような問題に立ち向かい、医療消費者の声を医療現場に届けるために出しています。七周年は、私たちが医療のあり方を見直し、すべての人が適切な治療を受けられる社会を目指す契機です。あなたの命、大切な人の命を守るために、今、行動を起こしませんか?
医療過誤原告の会の会報『悲しみにくじけないで』を手にとって、林田医療裁判の真実を知り、医療消費者としての意識を高めましょう。命の尊さを守る闘いは、私たち一人ひとりの手にかかっています。
『悲しみにくじけないで』目次
第26回 定期総会 記念シンポジウム 2017
<医療事故被害者報告>
小川和宏
<基調講演>
「群馬大学附属病院事故を取材して」高梨ゆきこ
「大学病院医療事故・再発防止と被害者の役割」勝村久司
「群馬大学病院事故・遺族の思いを受け止めて」梶浦明裕
「画像診断書見落とし事故、病院の対応と被害者の思い」宮脇正和
<シンポジウム>
「なぜ大学病院で医療事故が繰り返される?」
シンポジスト:高梨ゆきこ・勝村久司・梶浦明裕・宮脇正和・木村 豊
コーディネーター:永井裕之
<被害者報告>
長谷川圭佑・林田悦子・北穂さゆり・水野芳男・森 薫・美馬善三郎