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執筆者の写真林田医療裁判

林田医療裁判で公開質問状(17)

更新日:2020年12月28日

患者の権利を守る会は林田医療裁判(平成26年(ワ)第25447号 損害賠償請求事件)を踏まえて、立正佼成会附属佼成病院に2020年2月17日付で公開質問状(17)を送付しました。17日に公開質問状(17)です。

公開質問状送付に先立ち、佼成病院に話し合いを申し入れましたが、拒否されました。佼成病院の拒否の理由に合理性があるとは思われません。佼成病院は患者長男が勝手に速めた経管栄養の管理やキーパーソンの選任手続き、複数人の家族の意見から本人の意思を推定する取り組み、繰り返しの意思確認について何の説明も受けておりません。

患者家族は佼成病院の方針に様々な疑問を抱います。情報を公開する基本的な姿勢を問うています。患者家族もチーム医療の一員です。患者家族が疑問を解消し、よりよい医療を実現するためにも、公開質問状に回答していただきたくお願いを申し上げます。


立正佼成会附属佼成病院

病院長 甲能直幸 様


公 開 質 問 状(17)

2020年2月17日


前略

陽が長くなると気分も明るくなります。風邪が流行っていますがお変わりございませんでしょうか。昨年6月に私達との面談をお断りなされて以来公開質問状をご送付しておりますが、1度もご回答がないまま17回目の公開質問状になりました。

フランス発祥のケアの技法「ユマニチュード」を導入した日本ユマニチュード学会代表理事で、国立病院機構東京医療センター総合内科医長の本田美和子さんは、「ユマニチュード」の意味を「ケアに関する哲学と、それに基づく技術です。フランス語で『人間らしくある』ことを意味する。ユマニチュードでは患者ではなく『人と人の関係、絆の質』をケアの中心に置く。見つめ,語りかけ、触れてあなたは大切な存在であるという気持ち、尊い存在であることを伝える」などをお話しされました。約40年の実績があります。

佼成病院院長挨拶の欄で甲能直幸院長は、「私たち佼成病院では『正しくみて

正しく手当する』を理念としており、あたたかい心が通う、満足度の高い医療の提供を目指しています。病院に付属する看護専門学校の理念も『相手の傍らに立ち、心を通わせる』です。思いやりの心を持ち、患者さんの立場に立って診察することが出来る、人間性豊かな医療の提供および医療従事者の育成に心を配り、日々の努力に努めております」とご挨拶されています。甲能院長のご意見はユマニチュードの精神と重なるところがあり共感致します。

しかし、林田医療裁判で担当された佼成病院の岩﨑正知医師の言葉は、「患者の意思確認はしない。意思疎通ができないのに命を長らえても意味がない。意識がないのだから何もしない。苦しそうに見えますが今お花畑です。私は生かしたわけではないので、」また、岩﨑医師ご自身の母上の介護の様子を「あの時の介護は地獄のようだった」など述べられました。

そして岩﨑医師は、患者の長男が酸素吸入を拒否したから喘いでいる患者の酸素マスクを外しました。でも夜間だけ酸素マスクを付けました。その理由を「もとより酸素があるほうが本人は楽であろうが、夜間は手薄・・」などの理由で夜間に呼吸が止まると都合が悪いから夜間だけ酸素マスクをした旨を患者の死後裁判になってから述べられました。

以上のような岩﨑医師の理念や言動からは、「患者の尊厳、命の大切さ、患者に苦痛を与えないようにとの思いやり、患者を大切にしているあたたかい気持ち」などが感じられないのです。甲能院長の理念とはかけ離れているように思われます。

中でも「苦しそうに見えますが今お花畑です。」この言葉は病室で息が出来なくて喘いでいる患者の様子を見て患者の面前での岩﨑医師の言葉です。このことを他の病院の看護師さんに話すと「患者は分からないようでも耳だけは聞こえているのだから病室では、めったなことを話さないように、と言われている」など医療従事者としての心構えを話されました。

また、苦しそうに見えるけど脳内がお花畑だから放置しても構わないとの判断は、脳科学の常識からみて何の根拠もなく、岩﨑医師のこの発言には多くの批判が寄せられ医療措置上の問題も問われました。

公開質問状(11)3頁(2019年11月22日付)では以下の記載をしています。

「重篤状態で終末期を迎えた患者が苦痛なしに平穏に最後を迎えたか、苦しみながら亡くなったかを研究した論文があります(後藤幸生、中川隆、重見研司「生命終末期燃え尽き現象とレム期の夢情動反応Balance index(心拍変動1/fスペクトル解析による)を指標に」循環制御39巻3号、2018年)。「例え大脳皮質障害で意識障害があっても、そこ以外の脳中枢内の各部署から錐体外路系情報として、やや曖昧ながらも認知情動情報は伝達されている」としています(182頁)。生命は内外のストレスに微妙に対応して反応し、体内バランスを元の様に整えようとしています。」

このように林田医療裁判で問われた争点は、「終了しているのではなく」現代医療の問題においても問われ続けています。

医療は国民一人一人の健康と生命に関わるものであるだけに公的に保護されると同時に規範的な規制も課せられています。患者や家族に向き合った丁寧な説明が求められることはいうまでもありません。甲能院長には、佼成病院の院長としての説明責任を果たされることを期待されています。

いつものように2019年6月30日付 第1回公開質問状を以下に掲載いたします。ご回答は2週間以内に郵送でお願いします。患者主体の開かれた医療にするためには、市民と共に考え、議論を深めることが必要です。この質問状は、ご回答の有無にかかわらずネット上に公開させて頂きます。


草々



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