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執筆者の写真林田医療裁判

公開質問状(12)

更新日:2020年7月2日

令和元年が慌ただしく終わろうとしています。患者の権利を守る会は林田医療裁判(平成26年(ワ)第25447号 損害賠償請求事件)を踏まえて、立正佼成会附属佼成病院に2019年12月6日付で公開質問状(12)を送付しました。今回は、患者の死亡事故が相次ぎ「医の倫理」が問われた群大病院の現在を取り上げました。一連の死亡事故を教訓に病院が改革に挑んでいる様子が読売新聞に2019年11月に連載されました。


立正佼成会附属佼成病院 

病院長 甲能直幸 様


公 開 質 問 状(12)

2019年12月6日


前略

 月日の立つのは早いものです。病院長様が6月に私達の面談をお断りなされて公開質問状にも一度もご回答頂くことなく12月になってしまいました。病院長様にはお元気でお過ごしのことと存じます。公開質問状(12)をメールと郵送にてご送付致します。

 讀賣新聞5回連載「医療ルネサンス『群大改革に挑む』」2019年11月20日~26日に以下の連載がありました。

***

 群馬大学病院で患者の死亡が相次いだ医療事故の報道から今月で5年。死亡の連発は、患者への十分な説明や倫理審査もなく、新しい実験的な医療を続けた結果だった。「患者不在の医療」が横行し、「医の倫理」が問われた。肝臓や膵臓の開腹手術でも死亡が多く、医師の技量や病院の体制も問題になった。一連の医療事故を教訓に病院は改革に挑んでいる。

第1回「『白い巨塔』が様変わり」

皆で作ったという診療科の「理念」はこんなふうに始まる。

「患者さん、および家族の人生をより良いものにするために、最良の医療を提供します。一人ひとり患者さんを丁寧に診察し、患者さんにとって最善と思われる治療方針を提示し、その実践に全力を尽くします。」

第2回「手術技術 患者のために」

「新木さん(群大の別の外科医師)は今、こう考えている。『患者さん自身が本当に手術を受けたいと思っているのか、気持ちをくみとれる外科医でありたい。技術は、そのうえで発揮すべきもの。重圧の中で、学ぶ機会をいただきました。』 

第3回「全スタッフ『ワンチーム』」

 「あの病院は、科と科の横のつながりがいいんです。いわゆる縦割りじゃないんですよね」自営業の男性は、今年8月まで入院していた群大病院を評して語った。

事故後群大の二つの外科は統合された。診療科や職種を超えたカンファレンス診療に関する会議も活発に開かれている。

 外科病棟の看護師長は「改革が始まって先生達とも話がしやすくなりました。『患者さんのために』という同じ方向に向かう一つのチームになっている実感があります」と話す。

 また、手術を受けて退院した患者からの苦情には、教授が直接詫びの電話を入れた。看護師長も「体調はいかがですか。ご意見を生かして、改善したいと思います」と電話をかけていた。

 第4回「カルテ閲覧 患者に安心感」

 「入院中のカルテの共有(閲覧)ができます」入院患者と家族に「カルテ共有システム」を活用するよう促すものだ。群大では、患者に説明が不十分なまま肝胆膵外科の高難度手術が行われ、死亡が続発した医療事故を教訓に、今年から導入された。不安な心をカルテ共有システムに支えられた。説明を聞き逃がしても後で見直せる。

 カルテを見たいと言われると、疑われた気がする医療従事者の心理もわかる。それでも患者の家族としては「父をちゃんと診てもらえているとカルテで確認できたのは、安心感につながりました」という。

 第5回「信頼はコツコツ築かれる」

 今年9月初旬、東京都内で群馬大学病院の改革をテーマに講演会が開かれた。肝胆膵外科の手術を巡る医療事故が5年前に報道されてから、改革のためにどれほど苦労し、頑張って来たか。その道のりを振り返り抱負が語られた。講演会後に設けられた質疑応答の時間、こんな質問が投げかけられた。

「あの医療事故は、問題になった医師個人にとどまらず、病院全体のガバナンス(組織統治)の問題だった。そのことについてどう考えているのか」

がん研有明病院の名誉院長で、外科医の山口俊晴さんだった。続いて質問した元厚生労働相で参院議員の尾辻秀久さんは「反省しているように聞こえなかった」と述べた。

 一度失墜した信頼を取り戻すことは、容易ではない。険しい道のりは、これからも続く。ただ、少しずつ光は見えている。

 信頼は、コツコツと築かれる。レンガを一つ一つ積むように。地道に。着実に。

***

第3回のタイトルは「全スタッフ『ワンチーム』」です。12月2日に発表された「現代用語の基礎知識選 2019ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞もONE TEAM(ワンチーム)です。医療界ではチーム医療が当てはまるでしょう。


林田医療裁判を取り上げた第12回「医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウム」(公開質問状(10))でも主治医一人で判断するのではなく、チームとして対応して入れば問題が起きなかったと指摘されました。チーム医療は勤務医の過重労働の解決策にもなります。この点でも小児科医過労自殺の起きた貴院が真剣に取り組む価値のある問題です。


貴院においては、特別な手続きもなく高齢者の命が失われたことの責任は重大です。患者の死より2年経っていましたが家族がカルテを見なければ、家族は事態を知らないままになるところでした。


患者家族の疑問に向き合い改善すべきは改善することが地域に根を下ろし地域の方々に信頼される組織づくりができるというものです。


大事なことは、病院長様が、改善したことを内外に明らかにすることによって世間からの信頼を一層深めることにもなります。倫理観のある姿勢を見ることによって世間は安心します。


人間性豊かな医療の提供及び医療従事者の育成に心を配るためにも世間の疑問に向き合うことは尊い行いであると世間は評価します。この質問状は、ご回答の有無にかかわらずネット上に公開させて頂きます。いつものように、2019年6月30日付 第1回公開質問状を以下に掲載致します。ご回答は2週間以内に郵送にてお願いします。

                               草々

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