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執筆者の写真林田医療裁判

葉桜の季節に君を想うということ

歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』(文春文庫、2007年)は、ミステリと恋愛要素が絡み合う長編小説でありながら、高齢化社会への痛烈なメッセージを内包した作品です。物語には高齢消費者をだまして高額商品を次々販売する悪徳商法詐欺業者が登場します。彼らの無慈悲な言葉と行動は読者の心をざわつかせます。


詐欺業者の社長は「年寄りは社会のお荷物なんだよ」と吐き捨て、詐欺商法を正当化します(398頁)。これは、ただの小説の一節にとどまりません。新型コロナウイルスのパンデミック下で話題になったトリアージの議論や、映画『PLAN75』が描く高齢者軽視の社会の影を想起させます。命の選別を進める論理は詐欺業者と同一のメンタリティです。


さらに、詐欺業者の社長はこうも言います。「うちは景気回復のために一肌脱いでいるのよ。ジジババに死に金を使わせ、市場を活性化させている」(400頁)。無駄に金を使って金を回すことが経済発展という昭和の発想と詐欺業者は近い感覚があります。高齢者が長年に渡って築き上げた財産を詐欺という形で搾取し、社会の「活性化」と称する行動には、読者として強い怒りと虚しさを覚えます。


しかし、この小説は決して絶望だけを描いているわけではありません。むしろ、高齢化社会に対するエールとしての側面があります。高齢化社会に敏感な読者にとって、この物語はフィクションを越えて、現実に目を向けるための鏡となるでしょう。


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究極の驚愕、ミステリーの奇蹟がここにある

素人探偵のもとに持ち込まれた霊感商法事件の意外な顛末、そして…。あなたは最後の一文まで、ただひたすら驚き続けることになる。

「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして??。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本。第57回日本推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞受賞。


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