top of page
執筆者の写真林田医療裁判

臓器移植法を問い直す市民ネットワーク第20回市民講座

更新日:6月28日

臓器移植法を問い直す市民ネットワークは第20回市民講座「【座談会】 教育現場で語られる脳死と臓器移植~中学・高校の教員を招いて~」を2024年6月23日に東京都江東区のカメリアプラザ(亀戸文化センター)で開催した。中学校や高校の社会科や理科の教員が脳死や臓器移植の教育の実態を説明した。


The Citizens' Network to Reexamine the Organ Transplant Law held its 20th citizens' lecture, "[Roundtable Discussion] Brain Death and Organ Transplantation Discussed in Education: Junior High and High School Teachers Invited," on June 23, 2024, at Kameido Cultural Center in Koto-ku, Tokyo. Junior High and High School social studies and science teachers explained the reality of brain death and organ transplant education.


以下の問題提起がなされた。

「中学校教科書における「脳死臓器移植」の取り扱い方とその問題点」

「脳死と臓器移植から考える『命の選別』」

「教育現場で扱われる『脳死』とは」


「中学校教科書における「脳死臓器移植」の取り扱い方とその問題点」では道徳の教科書を紹介した。東京書籍の教科書はカレン・クインラン事件を取り上げている。

カレン・クインランさんが精神安定剤を服用し、呼吸をしていない状態で発見され、入院した。家族は医師から彼女が意識を回復し、物事を認識する機能が回復する可能性はほとんどないとの診断を受けた。家族の申し立てで1976年にカレンさんの生命維持装置は外されたが、自力で呼吸を続け、1985年に肺炎による呼吸困難で死去した。


「脳死と臓器移植から考える『命の選別』」では以下の指摘がなされた。

「意思疎通ができないことは相手だけの問題ではない。自分達が言葉に頼りすぎているのではないか。ジェスチャーや表情からも意思疎通できる」

立正佼成会附属佼成病院の主治医は呼吸困難で喘いでいる患者の面前で「苦しそうに見えますが今お花畑です」と家族に説明した。これは大きな問題を孕んでいる。患者の苦しみを「お花畑」と決めつけることは、その人の現実の苦痛や状況を軽視し、否定する行為である。このような説明は、患者の尊厳を損なう。この問題は林田医療裁判の公開質問状(59)でも論じた。

医療の現場では、患者一人ひとりの命や尊厳が何よりも大切にされるべきである。私達は常に患者の立場に立ち、最善の方法を模索する努力が必要である。患者の思いを軽視せず、その声に耳を傾ける姿勢こそが、真の医療の在り方と言えるだろう。より良い医療環境を作り上げるためには、医療従事者と患者、そしてその家族が信頼関係を築くことが不可欠である。全ての命に対して敬意を持ち続けることが、私達の使命になる。


林田医療裁判の公開質問状59心拍変動1/fスペクトル解析


「脳死と臓器移植から考える『命の選別』」では「どこまでが自己決定権なのか」という問いがなされた。一見、自分で選んだ決定に見えても、実際には他者や外部からの影響を受けている可能性がある。この問題については、映画『PLAN75』が同調圧力を描く非常に示唆に富んだ作品になっている。

映画『PLAN75』は、高齢者が自らの命を選別する制度のもとで、社会の同調圧力に直面する姿を描く。登場人物らは、自らの意思で決定を下しているように見えるが、その背後には社会的な期待や圧力が存在する。このような状況は、真の自己決定権とは言えない。

真の自己決定権を尊重するためには、決定を下すプロセスにおいて繰り返しの意思確認や、その決定を撤回する自由が必要である。これにより、個人が一時的な感情や外部の影響に左右されず、自分の意思を確立することができる。自己決定権の尊重は、単に一度の決定で終わるものではなく、継続的なプロセスであるべきである。

この問題は林田医療裁判の公開質問状の質問にもある。公開質問状は、患者の自己決定権を守るための具体的な手段を質問しています。医療従事者は、患者が自らの決定に対して何度も確認し、その決定を変更する権利を常に持っていることを理解し、支援することが求められる。

医療現場では、患者の自己決定権を最大限に尊重するための取り組みが不可欠である。患者が自らの意思を明確にし、その意思を尊重される環境を作ることが、医療従事者の責務になる。これにより、患者一人ひとりが納得のいく医療を受けることができる。

私達は、自己決定権の重要性を再認識し、常に患者の視点に立って考えることが求められる。医療の質を向上させるためには、自己決定権の尊重が欠かせない要素であることを忘れてはならない。


映画『PLAN75』


臓器移植法を問い直す市民ネットワークでは以下の市民講座を開催してきた。

第19回市民講座「「わたしはここにいます」“超重症児”のわたしらしい生き方の実現のために」2024年2月3日

第18回市民講座「命は誰のものか―ACPをめぐって」2023年5月14日

第17回市民講座「加速していく命の線引きと切り捨て」2021年11月4日


脳死臓器提供に伴う、重症患者の救命打ち切りに反対します

臓器移植法を問い直す市民ネットワーク第19回市民講座

「わたしはここにいます」“超重症児”のわたしらしい生き方の実現のために

臓器移植法を問い直す市民ネットワーク第18回市民講座「命は誰のものか」

第18回市民講座「命は誰のものか―ACPをめぐって」

命は誰のものか講演録

加速していく命の線引きと切り捨て



閲覧数:187回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page