林田医療裁判の公開質問状81パートナーシップ
- 林田医療裁判
- 5 日前
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爽やかで心地よい季節になりました。皆様お変わりございませんでしょうか。
本日、杏林大学医学部付属杉並病院(旧、立正佼成会附属佼成病院)に81回目の公開質問状を送付しました。
毎年9月17日は、WHO「世界患者安全の日」です。
NPO法人「架け橋」は、9月23日に「世界患者安全の日」記念シンポジウムを開催しました。林田医療裁判を考える会はZoomで参加しました。
岩手医科大学付属病院で起きた医療事故では遺族から出た質問状を調査委員会の資料としました。質問状が患者・家族と医療者の「対話」を通じる新しいモデルの一例として紹介されました。
過去に向き合い、過去から学び、問題解決には対話が不可欠であると考えます。いつまでも逃げていると世界の先進諸国から笑われてしまいます。
ご覧いただければ幸いです。
杏林大学医学部付属杉並病院 病院長 市村正一 様
公 開 質 問 状(81) 2025年10月1日
拝啓
秋晴が心地よく感じられる今日この頃です。いかがお過ごしでしょうか。高齢者の命の大切さ、たった一つの命にこだわって81回目の公開質問状をご送付致します。
毎年9月17日は世界患者安全の日World Patient Safety Day; WPSDです。世界患者安全の日は世界保健機関WHO; World Health Organizationが定めた記念日です。患者安全を促進するために世界保健機関WHO加盟国による世界的な連携と行動に向けた活動をすることを目的とし、医療制度を利用する全ての人々のリスクを軽減するために2019年にWHO総会で制定されました。世界患者安全の日は2025年で制定6周年になります。公開質問状と同じ6周年です。
世界患者安全の日のテーマカラーはオレンジです。建築物などをオレンジ色の光でライトアップするキャンペーンが世界各地で行われています。東京都庁や隅田川にかかる白鬚橋、吾妻橋、駒形橋、厩橋、蔵前橋、清洲橋、永代橋、佃大橋、勝鬨橋、築地大橋もライトアップされ世界患者安全の日に対する市民の認識も高まっています。
NPO法人「架け橋」はWHO『世界患者安全の日』記念シンポジウム 2025「患者・家族とのパートナーシップに向けて―意思決定の支援体制を構築するために―」を2025年9月23日に東京都文京区本郷の全水道会館とZoomで開催されました。林田医療裁判を考える会からも参加しました。
肥田圭介「患者・家族と医療者をふまえた医療事故調査 当院での院内事故調査事例
を振り返って」では岩手医科大学附属病院で起きた医療事故を共有しました。この医療事故では遺族が病院に質問状を出しています。院内事故調査では遺族からの質問状と病院の回答を調査委員会の資料としました。これは、患者・家族と医療者が「対話」を通じて安全性を高める新しいモデルの一例です。
林田医療裁判でも質問状を出しています。質問状は、医療機関と患者・家族の間に橋を架ける有効な手段になります。患者や家族の声が医療の透明性を高める一歩となるでしょう。医療は、命を預かる現場。だからこそ、患者や家族の声がもっと届く仕組みが必要である、と考えます。
このシンポジウムはNHKが「医療現場での患者の安全を考えるシンポジウム 医師などが参加」と題して報道しました。記事でも岩手医科大学附属病院の医療事故を取り上げました。参加者の「遺族への聞き取りを丁寧に行うことや報告書をわかりやすくすることも大切だ」との声を紹介しています。
新田雅彦「すべての子どもに安全なケアを提供するためにできること」では演者が過去2年間で5件の医療事故調査を見聞きしたが、全てモニターアラーム対応の事例であったということです。この事実は、医療現場での監視体制や迅速な対応の重要性を浮き彫りにしました。適切なモニタリングがなされない、見落とされることが命に直結するからです。
林田医療裁判では長男が医師に無断で栄養剤の注入速度を速めました。林田医療裁判の公開質問状では以下の質問を出しました。
「患者の家族の中の悪意ある人物により、経管栄養が操作されるリスクに対して、その予防や検知の対策を採っていますか。採っている場合、その具体的内容を教えてください」
この質問は、医療現場における安全管理のさらなる強化を促すものです。医療機関は、こうしたリスクにどう対応しているのか、具体的な対策が求められています。
医療の安全は医療者だけのものではない、ということは言うまでもありません。患者や家族が医療者と対等に意見を交わし、信頼関係を築くことによって、より安全で質の高い医療を実現させることができます。患者、家族、医療制度を利用するあなたの声が、医療の質と安全性を高める力になります。事故を防ぐために、そして万が一のときに納得できる対応を受けるために、「架け橋」の取り組みは、まさにその名の通り、医療と市民をつなぐ架け橋になります。
日々、命と向き合う医療者の皆様にとって、林田医療裁判は、患者中心のケアを追求しつつ、多職種連携で倫理的課題に対応する意義を再確認する機会となるでしょう。
この質問状はネット上に公開し市民と共に議論を深め学習致します。医療者の皆様は林田医療裁判のブログ等をご覧ください。第1回公開質問状及びそれ以降が掲載されています。問題解決には、過去に向き合う姿勢と説明・対話が不可欠です。
第1回公開質問状が未回答ですのでご回答ご意見をお寄せ下さいますようお願い申し上げます。
朝晩の涼しさも増しています。くれぐれもご自愛ください。
敬具
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公 開 質 問 状(2019年6月30日 第1回)
第1 質問事項
1.患者の家族の中の悪意ある人物により、経管栄養が操作されるリスクに対して、その予防や検知の対策を採っていますか。採っている場合、その具体的内容を教えてください。
2.複数人の家族の意見から本人の意思を推定する取り組み内容を教えてください。
3.「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の強調する繰り返しの意思確認を実現するために取り組みをしていますか。している場合、その具体的内容を教えてください。
第2 質問の趣旨
1 林田医療裁判では、経管栄養の管理や治療中止の意思決定のあり方が問われました。林田医療裁判の提起後には、点滴の管理が問題になった大口病院の連続点滴中毒死事件や自己決定権が問題になった公立福生病院の人工透析治療中止問題が起きました。また、「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」は2018年3月に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に改定され、意思確認を繰り返し確認することが求められました。林田医療裁判において問われた争点は「終了」しているのではなく、現代日本の医療の問題と重なり問われ続けています。
2 そこで、私達は林田医療裁判を経験し又その経緯を知った者として、広く医療の現状と課題について考察し、患者の安全と幸せは何かを探求しています。そして、このような問題は広く社会に公開して議論を深めていくことが、適切な医療を進める上で不可欠であると考えています。とりわけ貴病院は、経管栄養の管理や治療中止の意思決定の問題について直面された医療機関として、適切な医療を進めるためのご意見をお寄せになることが道義的にも期待されるところであると思われます。
3 従いまして、上記の質問事項に回答をお寄せ頂けますよう要請いたします。この質問と貴病院の回答はネット上に公開することを予定しています。このような公開の議論の場により、医療機関と患者ないし多くの市民の方が意見を交わし、相互の認識と理解を深め、適切な医療を進める一助にしたいと考えています。この公開質問状の趣旨をご理解いただき、上記の質問事項に回答を寄せていただきたい、と切に要望します。ご回答を連絡先まで郵送してください。回答締切日を二週間以内にお願い致します。
以上
公開質問状(44)World Patient Safety Day
公開質問状(45)「世界患者安全の日」&「架け橋」10周年記念シンポ

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