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  • 執筆者の写真林田医療裁判

国際保健規則改正とパンデミック条約

患者の権利法をつくる会は「医療基本法」制定に向けての学習会「国際保健規則改正とパンデミック条約」を2024年9月14日にZoom開催した。パンデミック条約は「パンデミックの予防、備え及び対応(PPR)に関するWHOの新たな法的文書」(WHO convention, agreement or other international instrument on pandemic prevention, preparedness and response; WHOCA+)である。


患者の権利法をつくる会は患者の権利を定めた法律の制定を目指し、その集大成として患者の権利保障を中心に据えた「医療基本法」の法制化を目指している。消費者基本法や教育基本法など特定分野の根幹になる法律として基本法が存在する。しかし、日本では未だに医療基本法が存在しない。


学習会は世話人の小林展大弁護士が報告した。国際保健規則International Health Regulations; IHRは世界保健機関WHO憲章第21条に基づく国際規則。国際交通に与える影響を最小限に抑えつつ、疾病の国際的伝播を最大限防止することを目的とする。


IHRは地域・国家レベルの、国境における日常の衛生管理及び緊急事態発生時の対応に関して最低限備えておくべき事項 (コアキャパシティ)を規定する。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックでは、コアキャパシティを十分に満たしていると評価されていた先進国も甚大な影響を受けた。このため、パンデミック緊急事態等を定めたIHRの改正が議論されている。併せてパンデミック条約の交渉が進められている。


改正案には以下の危険性がある。第一に第3条「本規則の実施は、人間の尊厳、人権及び基本的自由を完全に尊重して行なわなければならない」の削除が議論された可能性が指摘されている。原口一博衆議院議員が以下の質問主意書を出した。


「改正草案には、IHR第三条にあるIHRの実施に当たって「人間の尊厳、人権及び基本的自由を完全に尊重」することを削除する旨の改正内容が含まれているように思われる。このような改正内容はIHRの実施に当たって人間の尊厳等を尊重しなくてもよいかのように理解される可能性が生じるリスクがあるように思われるが、他の条項でIHRの実施について人間の尊厳等が尊重されるような規定が設けられるのか。IHRの実施に人間の尊厳等が尊重されないことなどあってはならないと考えるが、この改正内容についての政府の見解を示されたい」(令和五年十一月十五日提出、質問第五〇号「国際保健規則改正とパンデミック条約に関する質問主意書」)


第二に検査や予防接種が強制される危険性である。入国時に検査の陰性証明が強制される。一定の要件があるが、強制されかねない危険が懸念される。


第三に事務局長に一時的勧告や常時勧告を行う権限を付与している。WHOが発出する拘束力のない勧告とするが、感染が疑われる人を公衆衛生の監視下に置くなどの勧告が含まれている。


第四にパンデミック条約や国際保健規則と憲法の優位関係である。須藤元気・参議院議員は、パンデミック条約と国際保健規則改正案に関する質問を提出した。この質問は、パンデミック条約が日本の憲法に対してどのような位置づけになるのか、WHOの国際法規としての位置づけなどを尋ねている。パンデミック条約が日本の憲法よりも上位に位置づけられるのか、WHOが国際機関であるために国際法規として位置づけられるのかを質問した。


第五に条項が国民に明らかになっていないことがある。これはパンデミック対策の透明性や民主主義の観点から問題になる。


質疑応答では以下の意見が出た。現行制度でもワクチン接種が求められるが、新型コロナウイルスのワクチンは治験中のものであり、有効性が証明されていない。医学的な正当性が素通りされていないか。誤った医学方針が勧告されないか。施策採用の手続き保障がなされていない。議論中なので公開しないという政府の姿勢は問題である。


新型コロナウイルス感染症の対策が有効だったか検証がされていない。新型コロナウイルスのワクチンは従来と異なるmRNAワクチンであるが、その問題点について十分に検討されているように思えない。新型コロナワクチンの副反応が出ている。


mRNAワクチンは従来のワクチンとは異なり、ウイルスそのものを使用せず、ウイルスの一部の遺伝子情報を体内に導入することで免疫を獲得するため、ワクチンではないとの主張がある。スパイクタンパク自体が毒との見解もある。


勉強会には林田医療裁判を考える会からも参加した。林田医療裁判を考える会からは以下の質問を出した。「WHOでは一方では世界患者安全の日を定めるなど患者安全を推進していますが、誤った施策であると明らかになった際の救済などは規則や条約で考慮されていますでしょうか」


以下の回答がなされた。紛争の解決は定めているが、個々人の救済ではなく、考慮されていない。被害が出たら各国の被害救済制度で救済する。


次回勉強会は旧優生保護法の国賠訴訟をテーマとする。最高裁判所大法廷は2024年7月3日に旧優生保護法を憲法違反とし、国に賠償を命じる判決を出した。医療基本法フォーラムでは旧優生保護法の最高裁判決を受けて医療基本法制定の共同声明を検討している。


林田医療裁判の公開質問状65医療事故と命の尊厳

医療事故といのちの尊厳

公開質問状54医療基本法

医療基本法の制定に向けた院内集会

医療基本法からみた現行医療制度の問題点

公開質問状39医療基本法フォーラム

医療基本法と患者・医療従事者の権利



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