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執筆者の写真林田医療裁判

公開質問状54医療基本法

7月になりました。皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。立正佼成会附属佼成病院へ公開質問状の54回目を送付しました。6月12日に医療基本法の制定に向けた院内集会が開かれました。林田医療裁判を考える会はZoomで参加しました。

医療制度の根幹に患者の権利を置くことを目指す。基本的人権は、ある人に保障されて、他の人に保障されないものではないとの指摘が印象に残りました。これから夏も本番となりますのでお体にお気をつけてお過ごしください。



立正佼成会附属佼成病院 病院長 市村正一 様

公 開 質 問 状(54) 2023年7月3日


前略 

高齢者の命の大切さ、たった一つの命にこだわって54回目の公開質問状をご送付致します。

 2023年6月12日、医療基本法の制定に向けた院内集会「医療基本法からみた現行医療制度の問題点」が衆議院第一議員会館国際会議室とZoomで開催されました。林田医療裁判を考える会は、Zoomで参加しました。


最初に患者の権利法をつくる会事務局長・小林洋二弁護士が、「医療基本法によって医療制度の根幹に患者の権利を置くことを目指す。基本的人権は、ある人に保障されて、他の人に保障されないものではない、患者の権利は、社会権的側面の医療を受ける権利と自由権的側面の自己決定権がある。」などをお話しされました。


「基本的人権は、ある人に保障されて、他の人に保障されないものではない」との指摘が印象に残りました。相互主義が成り立つ普遍性のあるものではなければ特定人の利権になってしまいます。林田医療裁判の観点ではキーパーソンが問題になります。キーパーソンとされた家族の一人にのみ説明し、患者本人や他の家族に説明しないことは普遍性に欠けます。


各論では、精神科医療、医療事故問題、感染症対策の三つの個別課題における現行医療制度の問題点が指摘されました。十分な説明を受ける権利と否定する権利が重要と指摘され、代理決定は許されないという枠組みでした。


十分な説明を受ける権利と拒否する権利が重要との指摘はInformed Consentの本質を突いています。Informed Consentは言葉としては普及しましたが、病院の責任逃れとして形式的に説明して終わりとなっていることもあると考えます。拒否する権利は自己決定権の本質として大切なことです。


代理決定は許されないとの指摘は林田医療裁判の問題に重なります。キーパーソンとされた家族の一人の意思で治療方針や治療しないことの方針が決まることは本人の自己決定を侵害しています。家族の意見を参照するならば、それは、本人の意思を推測する一つの手段として使うに過ぎません。キーパーソンが治療を望まないから治療しないという結論になることは患者本人を無視しています。


また、医療機関トップが真摯に向き合う姿勢が信頼を醸成するとの指摘は林田医療裁判の公開質問状にも重なる問題意識です。患者の権利を守る会は、立正佼成会附属佼成病院の病院長宛に林田医療裁判の経験を踏まえて公開質問状を送付しています。


日本では、肝炎対策基本法ができて、肝炎対策推進協議会に患者代表が参加し、患者の声が政治に届くようになりました。医療基本法も法律を作ることが出発点となって色々な動きが出てくることを期待します。また、患者の権利擁護を中心とした医療基本法の必要性を明らかにし、医療基本法の早期制定を求めるなど多くを学習しました。


私達は、林田医療裁判を経験し、その経緯を知った者として患者の安全と幸せを探求します。そしてこのような問題は、市民と共に議論を深めることが適切な医療を進めるために不可欠です。また、問題の解決には対話が必要と考えます。過去を否定するのではなく過去に向き合い経験から学ぶ姿勢こそが若い医療者を育てる上で大切である、と思います。


この質問状は、ご回答の有無に関わらずネット上に公開して皆様と共に学習致します。いつものようにご回答がないままになっています第1回公開質問状を以下に掲載いたします。ご回答をお寄せ下さい。

                               草々


公開質問状本文は下記にあります。



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