高齢者の命の大切さ、たった一つの命にこだわって、立正佼成会附属佼成病院へ39回目の公開質問状を送付致しました。2022年3月に医療基本法フォーラムの学習会がZOOMで行われました。医療基本法フォーラムは、医療基本法の制定を求めて声をあげている複数の患者・市民団体から構成されている集いです。林田医療裁判を考える会からも参加して質問しましたので一部をご紹介します。ご覧いただければ幸いです。
立正佼成会附属佼成病院 病院長 甲能直幸 様
令和4年4月25日
公開質問状(39)
前略
高齢者の命の大切さ、たった一つの命にこだわって39回目の公開質問状です。
2022年3月6日午後2時~4時 医療基本法フォーラムの学習会「医療事故調査制度と医療基本法~被害者救済・再発防止を通じての命の尊厳の回復~」が開催されました。学習会は、ZOOMで行われ林田医療裁判を考える会からも参加しました。
講師は医療過誤原告の会の宮脇正和会長です。医療過誤原告の会は会報第40号『悲しみにくじけないで』(2018年7月1日)で林田医療裁判原告の手記を掲載しました。公開質問状(16)でもご紹介しています。
医療基本法フォーラムは医療基本法の制定を求めて声上げている複数の患者・市民団体から構成されている集いです。
医療事故は誰にでも起こることなのですが、多くの人は、自分や家族は医療事故に遭わないだろうと思っているでしょう。しかしそれは誤りです。誰が当事者になっても不思議ではないのです。そして医療事故は被害者と医療者の双方に傷を残しまう、国民全体にとって非常に大きな課題になっています。
学習会では、個々の医療事故について被害者遺族の奮闘や負担を紹介しました。この姿勢は医療過誤原告の会30周年記念誌『たったひとつの命にこだわって 医療過誤原告の会三〇年のあゆみ』(2021年)とも重なります。「たったひとつの命にこだわって」とあるように孤独な闘いを強いられる医療事故被害者遺族の個別性を大切にしています。公開質問状(36)2頁で紹介しています。
ところが、医療事故調査制度は、病院の管理者が医療事故と判断した者だけが取り上げられます。医療事故被害者の申し出に対応する機能ではないのです。この問題は「『事例から学ぶ「医療事故調査制度」活用BOOK』出版記念シンポジウム~医療事故を再発防止に活かしてほしい~」でも指摘されました。公開質問状(36)1頁をご参照ください。
質疑応答では活発な議論がなされました。先進国が患者安全に取り組む中で、日本は遅れている。行政が取り組まずに被害者を苦しめる。被害者遺族個人の頑張りをいつまで続けるのか。などです。
日本弁護士連合会は医療事故無過失補償制度を提言しましたが、実現していません。医師側にも調査究明をしないために無過失補償制度を歓迎する見解があります。
林田医療裁判を考える会から以下の質問をしました。「無過失補償が難しい、または無過失補償では原因究明がなおざりにされるならば、裁判での立証責任の転換が解になりますが、その方向の動きはありますか」。以下の回答が出ました。裁判は具体的な事案の中で動く。特定の場合は医療側が証明するという枠組みになっていることはある。たとえば薬の添付文書と異なる使い方をして事故が起きたら、過失がないことを医療側が証明することが求められる。等
医者だけでなく、医療関係者皆が注意して、患者中心の医療を考えるようにしていきたいとの意見が出ました。これはチーム医療の求めであり、林田医療裁判と重なります。林田医療裁判では、担当された岩﨑正知医師と長男一人で患者の死が決められました。高齢女性患者は、誤嚥性肺炎の治療を中止され、悪化の一途をたどり、呼吸困難になるも長男の要望で酸素マスクも外されて自力呼吸をさせられました。岩﨑医師の記録には「自然死の方針を確認」と記載があります。チーム医療であったなら患者は、違う医療を受けられたことでしょう。残念でなりません。
医療者には医療事故を減らしたいという思いはあっても患者主体という感覚が欠けているのではないでしょうか。Informed Consentという言葉は普及していますが、医療側は「Informed Consentを行う」と自分を主語にして考える傾向があります。医療者に患者の権利が根本にあるということを徹底する必要がある、と考えます。患者の幸せが医療者全員の幸せであってほしいものです。
公開質問状(36)でも質問いたしましたが佼成病院では、インフォームド・コンセントについてどのように研究されていますでしょうか?世界の先進諸国に遅れないようにするには、多くの市民と意見を交わし、相互の認識と理解を深めることが不可欠です。いつものようにご回答がないままになっています第1回公開質問状を以下に掲載しますのでご回答をお願いします。この質問状は、ご回答の有無に関わらずネット上に公開して議論を深め開かれた医療を進めるための一助にしたいと考えます。
草々
公開質問状本文は下記にあります。
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