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  • 執筆者の写真林田医療裁判

医療基本法の制定に向けた院内集会

患者の権利法を作る会が医療基本法の制定に向けた院内集会「医療基本法からみた現行医療制度の問題点」を2023年6月12日(月)正午から午後2時まで衆議院第一議員会館国際会議室とZoomで開催された。患者の権利擁護を中心とした医療基本法の必要性を明らかにし、医療基本法の早期制定を求めた。コーディネーターは鈴木利廣・患者の権利法をつくる会常任世話人・弁護士。


最初に小林洋二・患者の権利法をつくる会事務局長・弁護士が「医療基本法と各論との関係について」と題して問題提起した。医療基本法によって医療制度の根幹に患者の権利を置くことを目指す。基本的人権は、ある人に保障されて、他の人に保障されないものではない。患者の権利は社会権的側面の医療を受ける権利と自由権的側面の自己決定権がある。


「基本的人権は、ある人に保障されて、他の人に保障されないものではない」との指摘が印象に残った。相互主義が成り立つ普遍性のあるものではなければ特定人の利権になってしまう。林田医療裁判の観点ではキーパーソンが問題になる。キーパーソンとされた家族の一人にのみ説明し、患者本人や他の家族に説明しないことは普遍性に欠ける。


次に宮本徹・衆議院議員(日本共産党)が話した。強制入院や健康保険証廃止の問題を指摘した。マイナンバーカードで様々な問題が生じている。この状態で健康保険証を廃止したら、問題が続出する。


続いて各論である。精神科医療、医療事故問題、感染症対策の三つの個別課題における現行医療制度の問題点を指摘した。精神科医療問題は関口明彦・桐原尚之・全国「精神病」者集団運営委員。十分な説明を受ける権利と拒否する権利が重要と指摘する。代理決定は許されないという枠組みである。成年後見は見直しが進められている。保護という言葉には良い印象を持たない。独房に入れることを保護と呼ぶ。


十分な説明を受ける権利と拒否する権利が重要との指摘はInformed Consentの本質を突いている。Informed Consentは言葉としては普及したが、病院の責任逃れのアリバイ作りとして形式的に説明して終わりとなっていることもある。拒否する権利は自己決定権の本質として大切なことである。


代理決定は許されないとの指摘は林田医療裁判に重なる。キーパーソンとされた家族の一人の意思で治療方針や治療しないことの方針が決まることは本人の自己決定を侵害する。家族の意見は参照するならば本人の意思を推測するために使うものである。キーパーソンが治療を望まないから治療しないという結論になることは本人を無視している。


医療事故問題は中島哲也・医療訴訟原告の会幹事が話した。医療機関トップが真摯に向き合う姿勢が信頼を醸成する。医療基本法によって安全に医療を受ける権利が人権と位置付けられるようになる。


医療機関トップが真摯に向き合う姿勢が信頼を醸成するとの指摘は林田医療裁判の公開質問状にも重なる問題意識である。患者の権利を守る会では立正佼成会附属佼成病院の病院長に林田医療裁判の経験を踏まえて公開質問状を出している。


感染症対策は石井麦生・患者の権利法をつくる会・弁護士。良質かつ適切な医療を受けることは健康権と呼ぶ。新型コロナウイルス感染症患者の自宅療養やホテル療養は容態急変が起きた時に対応できないという問題がある。ワクチン接種の強要は自己決定権の侵害ではないか。


3名の指定発言者ががん患者、優生保護法国賠訴訟、ソーシャルワーカーをテーマとして発言した。会場から様々な意見がなされた。

海外では異議申立機関に異議申し立てをして認められる割合は1割から2割である。これに対して日本では2パーセント程度であり、これは国際的には異議申し立て機関が存在するとは言えない。

患者から何の説明もなされずに医者から「このように決まりました」と言われることがある。患者の権利が軽視されている。

肝炎対策基本法ができて、肝炎対策推進協議会に患者代表が参加し、患者の声が政治に届くようになった。医療基本法も法律を作ることが出発点となって色々な動きが出てくる。



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