戦後80年目の憲法記念日と林田医療裁判
- 林田医療裁判
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2025年5月3日は戦後80年目の憲法記念日です。憲法記念日は1947年に日本国憲法が施行されたことを記念します。
Constitution Memorial Day is a national holiday in Japan, celebrated on May 3rd. The Constitution came into force on May 3rd, 1947, and is commemorated every year on Constitution Memorial Day. This holiday is significant as it marks the start of Japan's journey as a democratic state after World War II.
林田医療裁判は日本国憲法も論点です。憲法第13条は以下のように定めます。
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」
生命、身体及び幸福追求の権利は、第一に生命を尊重するとともに、前段の個人の尊重原理と結びついて、人格的自立の存在として自己を主張し、そのような存在であり続ける上で必要不可欠な権利・自由を包摂する権利です。
憲法第25条は以下のように定めます。
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第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
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第1項の生存権を前提として第2項において「公衆衛生の向上及び増進に」「努めなければならない」として、人格的自立の基礎である生存のため最善の医療を受ける権利を定めています。
患者には、最善の医療即ち、医療者が患者の病状に十分注意しその治療方法の内容および程度等については診療当時の医学的知識にもとづきその効果と副作用などすべての事情を考慮し、万全の注意を払って、実施された治療を受ける権利があります。
憲法第三章の規定は、原則として国又は公共団体と個人との関係を規律し、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではありません。しかし、「私的関係が存し、個人の基本的自由や平等に対する侵害の態様・程度が社会的に許容しうる限度を超えるときは、私的自治に対する一般的制限規定である民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によって、私的自治の原則と人権との適切な調整をはかる方途も存する」(三菱樹脂事件最高裁大法廷判決昭和48年12月12日民集27巻11号1536頁)。
立正佼成会附属佼成病院は、内科・外科その他複数の診療科をもち、病理などの臨床検査もあり、許可病床340床もある総合病院です。病院は国家の医療制度のもとで国家資格に基づき診療報酬を得て運営され個人の生命身体という人権を対象とするものである。とりわけ規模の大きな総合病院については、少なくとも上記の一般条項を介在して憲法上の人権規定の適用が認められるべきです。
経管栄養により栄養剤を注入する際に、患者の許容量を超える分量又は速度で栄養剤を注入すると、栄養剤の逆流により患者が嘔吐して誤嚥し、誤嚥性肺炎を発症する危険があります。総合病院の医療水準上、当然そのことは認識していなければならないものです。患者には少なくとも経鼻経管栄養の開始時間及び終了時間を記録するなどして流入速度が管理された医療を受ける憲法上の権利があると言うべきです。
1981年(昭和56年)世界医師会(WMA)は、「患者の権利に関するリスボン宣言」を採択しました。日本全国の多くの病院では、ヘルシンキ宣言、リスボン宣言等を参考にして「患者の権利章典」が定められています。「最善の医療を受ける権利」「患者の自己決定権」「知る権利」等、患者の尊厳と権利を守りより良い医療をめざす宣言は、現在では定着しています。
1994年3月 WHO世界保健機構では、患者の権利で「身体及び精神の不可侵性の権利及び身体の安全を保障される権利」を宣言しました。入院患者の安全を確保することは、病院の義務として最も大事なことです。日本全国の多くの病院では、入院患者にとって「安全は権利」と宣言しています。
憲法13条は個人の尊重と幸福追求権を定め、一人ひとりの人間が人格の担い手として最大限尊重されなければならないとしているのであって、一定の個人的事柄について公権力から干渉されることなく、自ら決定することが出来る権利(自己決定権)を有することを表します。従って、何人も自己の生命・身体の処分にかかわる事柄に関して自己決定権を有します。
患者に意識がない場合について、治療中止が被害者の推定的意思に基づくとして許容されるためには、家族等の考え方や意向を十分に聴取し、患者の真意を探求しなければなりません。単にキーパーソンと認識した者の意見を聴取するだけでは足りず、的確な情報を提供した上で、容易に聴取できる範囲の家族の意見を多く聴取して患者の真意を探求することが必要です。
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