第27回薬害根絶フォーラム 薬害と隠蔽
- 林田医療裁判

- 5 分前
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全国薬害被害者団体連絡協議会は第27回薬害根絶フォーラムを2025年11月16日(日)に東京理科大学・神楽坂キャンパス・東京理科大学記念講堂とZoomで開催した。
第1部は各団体からの薬害被害実態報告である。陣痛促進剤、サリドマイド、MMR、HIV、薬害ヤコブ、スモン、筋短縮症、薬害肝炎、イレッサの薬害が報告された。
陣痛促進剤「陣痛促進剤については、医師からの説明はなく、入院前日に説明と依頼の確認書を渡され、翌日の入院までに読んで書いてきてくださいと言われただけでしたので、私は自分に陣痛促進剤を使用することは当然のことであると思い、使用しない選択肢が
あるとは思ってもみませんでした」
サリドマイド「ほんの一錠の薬が、多くの人の人生を変えることがあります。またそれが一時のことではなく、長い人生にずっと影響し続けているのです」
MMR「マスコミが昔と違って機能しなくなった今、「薬害」という言葉自体今の若い方はご存じないということを聞きました。薬害と聞くと、ドラッグの副作用?という風に取ってしまうそうで、「薬害」を風化させてはならないと改めて思いました」
HIV「多くの血友病患者は家族や親兄弟にもHIVやエイズ、血友病のことを伝えられません。病気のことを伝えられない辛さや病気のことを伝えられないがゆえに周囲からも支援を受けられない辛さもあります」
薬害ヤコブ「薬害について、調べるほど国の無策には怒りがわいてきます。 アメリカでライオデュラの使用禁止の命令が出された時に、日本は倣わず 10 年後にようやく使用禁止になっているのです」
スモン「当時の関係製薬会社の態度は誠に遺憾であった。例えばわれわれの実験成績に対する根拠のない中傷、誹謗に対しては心底より怒りを憶えたが、その後、製薬会社の動物実験でもわれわれとほぼ同一の成績が得られて、この点は決着をみた」
筋短縮症「薬害とは、単に薬の副作用による個人の不幸ではありません。そこには、国の医療政策の怠慢、企業の利益優先、そして被害を受けた人々の声を軽視する社会構造が存在しています。あの時、医師たちが「原因不明」と首を傾げて終わらせず、真摯に調査していれば、こんな悲劇は防げたかもしれません」
イレッサ「イレッサ訴訟における最高裁判決の、医薬品の承認前の広告・宣伝については、「違法とまではいえない」と示した判決に力を得て、医薬品における承認・販売前の広告・宣伝を許し、添付文書の冒頭に赤枠で囲った重大な警告欄は不必要とする、これではまるで、難病や末期といわれる癌等の患者に対しては、使用する医薬品の危険性について、説明は不要であると結論付けたにも等しいもので、これまでの薬害訴訟の闘いの中で勝ち取った多くを失ってしまいました」
特集はHPVワクチン被害である。「私たちの被害は、「医療・政治・メディアなどの良心が失われた先にあるもの」だと思っています。「知らなかった、予期できなかった被害ではありません」。リスクを正しく知らせてもらえたら、厚生労働省が止めてくれたら、未然に防げていたものです」
第2部は徹底討論「「薬害と隠蔽」そして「偏見・差別」~薬害の本質を語り継ぐ責務~」である。薬害は重篤で社会問題化した副作用被害だけではないと指摘された。専門家が健全に判断し言動していれば、被害をより早期に止めることができた人災であり、産官学の故意によって被害が拡大したものである。
●感想
医療消費者の立場として、深い憤りと同時に、薬害という問題の根深さを改めて考えさせられた。薬害の報告から伝わってくるものは日本国の怠慢である。人生を根本から覆してしまう薬害の悲劇が繰り返されている。
多くの薬害で「説明がなかった」「知らされていなかった」という証言がなされている。陣痛促進剤の薬害では、薬の使用が「当然のこと」と思わされ、選択肢があることすら知らされていなかった。HPVワクチンの薬害も同様に、「リスクを正しく知らせてもらえたら」「未然に防げていた」という言葉が、情報提供の欠如がいかに深刻な被害に直結するかを物語っている。
医療ではインフォームド・コンセント(説明と同意)が基本原則である。しかし、実際には、患者が自らの体に何が起ころうとしているのか、どのようなリスクがあるのかを知らされないまま、医療行為や投薬が行われている実態が浮き彫りになる。これは医療に対する信頼を根底から揺るがすものである。
消費者契約法では事業者が利益となる事実を告げながら不利益となる事実を告げずに販売したら消費者は契約を取り消しできる不利益事実の不告知の規定がある。医療の世界は医者に任せるというパターナリズムが残存し、民間ビジネスよりも後進的になっているのではないか。
考えてみて欲しい。もし、あなたが何かを決めるときに、必要な情報の一部しか知らされなかったとしたら、それは本当にあなたの望む選択と言えるだろうか?私たち消費者は、自分の健康と命に関わる重要な情報を知る権利がある。自分の体や命に関わることだからこそ、私たちは、医師から十分な説明を受け、納得した上で治療法などを選択する権利がある。
●風化させられる「薬害」という言葉
MMRの報告にあった「今の若い方は『薬害』という言葉をご存じない」という事実は、非常に危機感を覚える。過去の悲惨な教訓が次世代に継承されていない現状は、同じ過ちが繰り返される土壌を作ってしまう。薬害は、国の医療政策の怠慢によって引き起こされる社会的な構造問題です。この認識が薄れることは、私たち医療消費者全体の防御力を弱めることにつながる。
薬害は精神的・社会的な孤絶も生み出す。国は補償に加えて、被害者が社会の中で尊厳を持って生きていけるような包括的な支援体制を構築する責任がある。
薬害根絶フォーラムは、医療消費者にとって、医療がもたらす恩恵の裏側にある深い闇に目を向けさせるものであった。私たちが安心して医療を受けられる社会を実現するためには、私たち自身が「知る権利」を強く意識し、おかしいと思ったことに対して声を上げ続けることが不可欠と痛感した。薬害を風化させず、過去の教訓を未来に活かすために、このような被害者団体の方々の活動は不可欠であり、私たち消費者はその声に真摯に耳を傾け続ける必要があると感じる。
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