氾濫する医療情報をどう受け止めるか
- 林田医療裁判
- 5 時間前
- 読了時間: 3分
患者の権利法をつくる会は第13回医療基本法学習会「氾濫する医療情報をどう受け止めるか」を2025年4月20日(土)にZoomで開催した。講師は隈本邦彦さん(薬害オンブズパースン会議メンバー、元NHK記者、医療看護ジャーナリスト)。林田医療裁判を考える会も学習会に参加した。
The Association for the Patients' Rights Law held the 13th Basic Medical Care Law Study Session "How to accept the flood of medical information" on Saturday, April 20, 2025 at Zoom. The lecturer was Kunihiko Kumamoto, a member of the Drug Hazard Ombudsperson Conference, former NHK reporter, and medical nursing journalist. The Association for the Hayashida Medical Trial participated in the study session.
患者の権利法をつくる会は患者の権利を定めた法律の制定を目指す団体である。患者の権利保障を中心に据えた「医療基本法」の法制化を目指している。消費者基本法や教育基本法など特定分野の根幹になる法律として基本法が存在する。しかし、日本では未だに医療基本法が存在しない。
メディアが情報を伝える裏には意図があると考える必要がある。
健康診断は膨大な健康人から僅かな病気の人を探す作業であり、見落としも生じやすい。病院には通常、病気や怪我の人が来るが、それと比べるとやりにくさがある。
感度の高い検査は擬陽性が発生する。感度の高すぎる検査は偽陽性が大量に発生する。反対に特異度の高い検査は擬陰性(検査の見落とし)が発生する。基準値を操作することで病人を勝手に作ることができてしまう。
高血圧の基準がどんどん低くなっている。薬で血圧を下げると脳血管障害や心臓疾患の危険性が下がるのか。臨床試験をしないと不明である。薬剤疫学研究が必要。血圧が低い集団は元々、健康に気を付けている人々かもしれない。
医学的根拠に基づいた医療EBM; Evidence Based Medicineが広がったことは良いこと。しかし、全てひっくるめて製薬企業の資金の影響を受けている。
否定的な結果は肯定的な結果に比べて公表されにくいという出版バイアスpublication biasがある。薬が効いたという情報が目立つことになりやすい。
Selling Sickness(病気を売る)やDisease Mongering(病気の押し売り)が行われている。
一般的な健康チェックが有益である可能性が低いという研究結果がある。早期発見する病気が少なかったり、早期発見してもしなくても生存に影響がなかったりすれば早期発見のメリットは乏しい。
製薬会社が資金を出すことは良いが、フェアに行われる仕組みを作らないと、消費者はだまされて薬の方に持っていかれてしまう。医療従事者と患者の情報の非対称性は重要な問題である。薬が効くという説明も医療従事者の理解と患者の受け止め方は異なる。患者が怖がってしまうと考えて副作用などの情報を伝えない医療従事者もいる。
医療従事者が図を使うなど説明を工夫することで情報の非対称性を乗り越えられる。Informed Consentが求められており、面倒臭いや時間がかかると言うことは許されない。患者や家族にInformed Consentの説明ビデオを先に見てもらうなど病院が仕組みを作り、個々の医師の負担を減らす工夫をしている。
学校教育で行うことを求める意見もあるが、現実問題としてカリキュラムは窮屈である。また、学校教育の内容を覚えているかという問題がある。自分が知りたいと思った時に知ることができる場所を用意したい。
次回は6月29日(日)にNPO法人「架け橋」の豊田郁子理事長を講師として開催する予定。患者家族と医療者が協働する医療安全をテーマとする。
林田医療裁判の公開質問状71プロフェッショナリズム
林田医療裁判の公開質問状65医療事故と命の尊厳
医師の働き方改革は患者の権利にどのような影響を与えるか
国際保健規則改正とパンデミック条約
医療基本法と患者・医療従事者の権利

Comments