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執筆者の写真林田医療裁判

患者こそ医療の主人公

医療過誤原告の会の会報第45号『患者こそ医療の主人公 医療事故調査制度10年を前に』が2024年5月に刊行されました。会報第45号は2023年12月に開催した講演会「医療事故調査制度発足8年、患者のための医療を!」の講演録が中心です。


「自分のいのちは自分で決める 89歳のパイオニアが語る」は医師のパターナリズムを批判します。「医師としての「患者のために」であって、患者自身が自ら思う「患者のために」ではなかった」と独善性を批判します(9頁)。


林田医療裁判で立正佼成会附属佼成病院の主治医は「カルテ記載内容の補足として、私は、大事を取りすぎて、意思疎通ができないまま寝たきり状態になるのが最善とは言えない、という主治医の理念をわきまえた上での延命治療拒否だと思いました」と陳述しました(乙A第3号証8頁)。ここでは患者や家族は医師の理念をわきまえた存在になっています。患者中心、患者が主人公と言えません。


林田医療裁判の公開質問状63医師の理念


林田医療裁判については医療過誤原告の会会報第40号『悲しみにくじけないで』(2018年7月1日)で「母の望まぬ死」「「高齢者差別」という隠れた命題を闘う 林田医療裁判」が掲載されています。


「患者中心の医療の理念」では共有意思決定Shared Decision Makingに言及します。「医師中心の医療ではなく、患者中心の医療が大切であるという点では、患者と医師が共通の基盤を構築し、意思決定を共有することが、患者中心の医療のために重要である」(26頁)。インフォームドコンセントという言葉は普及しましたが、アリバイ作りのための同意書取得に陥る危険があります。


「四日市の三大病院の訪問を終えて」は「安全で安心な医療を願う会」が県立医療センター、市立四日市病院、羽津医療センターを訪問して意見交換をした結果の報告です。病院によって姿勢が全く異なることに驚かされます。「意見を聞いて病院をよくしていくんだという熱い思いがあればこそ、開かれた病院になるんだというのがみえてきた」と指摘します(33頁)。


「9月17日世界患者安全の日のオレンジ色ライトアップを広げる活動」は東京都が医療安全啓発活動の一環として都庁第一本庁舎をオレンジ色にライトアップしたことに触発されて、各地でライトアップを広げる活動の報告です。東京都庁のライトアップは林田医療裁判の公開質問状(44)でも紹介しました。ライトアップはシニカルな見方をすればパフォーマンスとなりますが、医療安全に関心のある人々に刺さるパフォーマンスです。


奪われた「いのちを見つめて」



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