臓器移植法を問い直す市民ネットワークは2021年11月6日、第17回市民講座をオンライン開催した。児玉真美さんが「加速していく命の線引きと切り捨て――安楽死・『無益な治療』論・臓器移植のつながり」と題して講演した。
安楽死を制度として認める地域があるが、要件を定めて認めても加速度的に緩くなっていく。医師から安楽死を提案することが許容された地域がある。これは教唆になるのではないか。医師の個人的な価値観が安楽死の実施に影響しているとの指摘がある。
これは林田医療裁判の立場からも重要に感じる。優性思想を否定するならば、安楽死を正当化する拠り所は個人の自己決定である。医師の方から提案するならば、誘導された自己決定になり得る。
公立福生病院透析中止死亡裁判の訴訟上の和解では「一件記録上被告病院の医師が、本件患者に対し、「死の選択肢」である透析中止を積極的に提案することで、本件患者を死に誘導した経緯があったとは認められない」との一文を入れたことが福生病院側にとって重要な意味になっている。
林田医療裁判では患者の長男が延命につながる治療を全て拒否した。これについて主治医である立正佼成会附属佼成病院の岩崎医師は「カルテ記載内容の補足として、私は、大事を取りすぎて、意思疎通ができないまま寝たきり状態になるのが最善とは言えない、という主治医の理念をわきまえた上での延命治療拒否だと思いました」と陳述した(乙A第3号証「岩﨑正知医師陳述書」8頁)。
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