「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会らは2025年1月4日付で国民民主党宛に「「尊厳死」の法制度化を進めようとする貴党の方針についての公開質問状」を出しました。
国民民主党代表 玉木雄一郞様
同代表代行 古川 元久様
★「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会(しょうがいしゃが分けへだてられることのない社会をつくるために活動)実行委員長 古賀典夫
★臓器移植法を問い直す市民ネットワーク 事務局長 川見公子
★やめて!!家族同意だけの「脳死」臓器摘出!市民の会 代表 冠木克彦
★尊厳死いらない連絡会 代表 冠木克彦
★バクバクの会~人工呼吸器とともに生きる~ 会長 新居大作
★日本脳性マヒ者協会全国青い芝の会 会長 矢賀道子
★特定非営利活動法人こらーるたいとう(障害者の自立支援を行う)代表 加藤眞規子
★障害者福祉を考える杉並フォーラム 代表 小畑健治
○本公開質問状に対する連絡先 「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会(同実行委員会のブログhttps://www.crpd-in-japan.com/daiforumに掲載している連絡先にお問い合わせください
「尊厳死」の法制度化を進めようとする貴党の方針についての公開質問状
私たちは、いのちの選別・切り捨てに反対し、高齢者も障害者もだれもが分けへだてなく、ともに生きる社会を目指しています。こうした観点から、「尊厳死・安楽死」に強く反対してきました。
昨年10月12日、貴党代表の玉木氏は、日本記者クラブ主催の与野党7党首討論会で、「社会保障の保険料を下げるためには、われわれは高齢者医療、とくに終末期医療の見直しにも踏み込みました。尊厳死の法制化も含めて。こういったことも含め医療給付を抑え、若い人の社会保険料給付を抑えることが、消費を活性化して、つぎの好循環と賃金上昇を生み出すと思っています」と発言しました。
わたしたちは、映画『PLAN 75』で描かれた高齢者を死に誘導する社会へと、この日本を変えていこうとしているのではないか、との強い恐怖を感じました。この映画では、高齢者が就職難、住宅確保の困難、健康不安、貧困などで追い詰められていく中で、国の「安楽死」への誘導のためのキャンペーンにのせられていく、という未来が描かれています。
「尊厳死」を肯定する考え方の底流には、病気や障害、高齢であることを、否定的にとらえる価値観が流れていると考えます。 自殺は留めることが当然とされながら、「尊厳死・安楽死」を肯定するとすれば、それは、病者・障害者・高齢者を「生産性のない社会のお荷物」と否定する優生思想ではないでしょうか。
本年10月の国会では、「旧優生保護法に基づく優生手術等の被害者に対する謝罪とその被害の回復に関する決議」が全会一致で採択されました。その中には、「優生思想に基づく偏見と差別を含めておよそ疾病や障害を有する方々に対するあらゆる偏見と差別を根絶し、全ての個人が疾病や障害の有無によって分けへだてられることなく、尊厳が尊重される社会を実現すべく、全力を尽くすことをここに決意する。」と記述されています。 玉木氏の発言は、この直後でしたので、いっそうショックを受けました。
わたしたちは、「国民民主党 2024年重点政策」などを読む中で、ますます危惧を強めております。衆議院において28名、参議院において10名の議席をもつ貴党が、以上のような危惧を感じざるを得ない政策・代表発言をされることは、社会に対する計り知れない影響力をもつといわざるを得ません。
そこで、以下のような質問を公開にてさせて頂きます。公党・責任政党としての真摯なるご回答を頂きたく存じます。なお、ご多忙のこととは存じますが、人の尊厳・人権にかかわる事項ゆえ、2025年1月末までに、ご回答ください。
質問
(1)「国民民主党 2024年重点政策」の中の「3.人づくりこそ、国づくり」の中で、「尊厳死の法制化を含めた終末期医療の見直し」を掲げています。この記述がどういう意味を持っているのか、説明してください。
玉木氏の発言と合わせると、高齢になったらさっさと「尊厳死」を選ぶような市民を作る、と読めます。「生産性のない者は、社会のお荷物」と考えるような社会では、障害者は、「生きる価値のない者」とされてしまいます。若者にとっても、そのような社会に希望を持つことはできないでしょう。
(2)上述した10月12日の発言について、のちに玉木氏は、「自己決定権の問題と捉えています」とX(旧ツイッター)で発言されました。しかし、「国民民主党 重点政策2024の実現に向けた医療制度改革(中間整理)」の「⑩法整備も含めた終末期医療のあり方の見直し 重点政策事項」の中で「人生会議の制度化を含む尊厳死の法制化によって終末期医療のあり方を見直し、本人や家族が望まない医療を抑制する。」と記載しています。「本人」と「家族」が並列で記載されており、単に自己決定でないことは明白です。
①玉木氏のXでのご発言とこの「中間整理」での記述との関係について、ご説明ください。
②家族の意思での医療中断を認めると解釈できますが、国民民主党としての見解を示してください。
③映画『PLAN 75』では、社会的に追い詰められて死を選ばざるを得なくなった高齢者の姿が描かれています。こうして死を選ぶことも「自己決定」とされてしまいます。貴党は、「後期高齢者の医療費自己負担について原則を2割」とすることを掲げておられます。これは、高齢者の貧困化と健康不安をあおることになるでしょう。そこに、死の「自己決定権」が法制化されれば、『PLAN 75』のような社会に近づいていくと考えますが、貴党の見解を示してください。
(3)本人の「望まない医療」を、貴党は「終末期医療」と結びつけて論じるのですが、本人の望まない医療が横行している精神病院などについては論じようとしていません。これではますます高齢者のいのちを打ち切ることにのみ関心をもっておられるように思われるのですが、貴党の見解を示してください。
(4)以上に指摘させていただいた問題について、話し合いの場を設定して、意見交換できればと考えておりますが、貴党としてはいかがでしょうか。
2025年1月4日
杉並区長の「トリアージ」発言から命の大切さを考える
加藤勝信厚生労働大臣に抗議します
「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム2021/10/31
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