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杉並区長の「トリアージ」発言から命の大切さを考える

障害者福祉を考える杉並フォーラムがシンポジウム「杉並区長の「トリアージ」発言から命の大切さを考える」を開催します。東京都杉並区の田中良区長の命の選別の問題を取り上げます。



医療がひっ迫したら、高齢者や障害者は切り捨てられる世の中でいいのでしょうか!?

〈パネリスト〉

古賀典夫さん 「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行副委員長

白崎朝子さん 介護福祉士・ライター

有我譲慶さん  看護師・認定NPO法人大阪精神医療人権センター理事


日付:2021年5月23日(日)

時間:14時~16時30分

場所 高円寺障害者交流館 第一・二集会室

東京都杉並区高円寺南2丁目24-18

JR中央線「高円寺駅」(南口)徒歩8分

東京メトロ丸の内線「新高円寺駅」徒歩6分

関東・京王バス(高円寺・永福町間、高45)

関東バス(高円寺・五日市街道営業所間、高43)

京王バス(高円寺・佼成病院間、高46)で「福祉事務所」下車


〈開催主旨〉

障害福祉を考える杉並フォーラム代表 小畑健治

副代表 三村豊

 私たち「障害者福祉を考える杉並フォーラム」は杉並の地で障害者福祉の向上に取り組む、障害当事者およびその家族、支援者の有志の団体です。

 そうした立場から、田中良杉並区長(以下「区長」)が、令和3年1月8日に、東京都の小池百合子都知事宛に提出した「新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急要望について」(以下「緊急要望書」)及び同年1月11日付の文春オンライン取材記事(『小池都知事は責任を果たせ!』命の選別が迫る医療現場…杉並区長が”無策すぎる都政“を告発)(以下「文春オンライン記事」)の発言に対して3月16日に抗議文を提出しました。

区長は、「トリアージガイドライン」について、文春オンライン記事で「年齢を5歳刻み」で「生還率や死亡率」を示す、また「人工呼吸器を装着して外せるまでの日数」、「基礎疾患との関係」などを、「わかりやすく」(個人が特定できないように)示して、それにより「人工呼吸器などを付けても延命にしかならないようなケースが見えてくるかもしれません。」(文春オンライン記事)と述べています。また、「特に高齢者の場合、どこまで『治療』してほしいか、あらかじめ意思を示しておきたい人がいるかもしれません。」(同記事)とも述べています。


 区長の求める「トリアージガイドライン」とは、基礎疾患のある人や高齢者、障害者に対する「命の選別」そのものです。


 障害者は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脳性マヒ、筋ジストロフィーなど神経系・筋肉系の障害を持つ方が感染した場合はもとより、知的障害者のなかにも治療の意味が理解できずこれを拒否してしまう方が一定数おり、重症化するリスクが高いと言われています。障害者の立場から言えば、区長の緊急要望と文春オンライン記事での発言は、基礎疾患のある人や高齢者、障害者が感染した場合、十分な治療が受けられない、後回しにされる、切り捨てられる等の不安と恐怖を感じさせるものです。障害者は多くの差別や不利益を受け、困難を抱えながらも必死に生きています。その命を選別することを「きれいごとではない」(文春オンライン記事)などと言われることには怒りを禁じえません。


 そもそも、「トリアージ」の意味は、現在広く一般に認識されている「治療の順番を決める事」であり、災害・事故現場などで一時に大勢の負傷者が発生したような特殊な場合でなくても、例えば、夜間救急では、看護師が容態を聞き緊急度を検討し、診察するというように日常的に行われているものです。「命の選別」という田中区長の言うイメージと同一のものとは思えません。


 また救急医療で4段階に分類する場合でも、「同じ分類の中でも優先順位がつけにくい」、「優先分類はその場の医療資源により相対的に変わる」、「責任問題や後の具体的な法制度や救済システムは未だに構築されていない」などの意見もあり、田中区長の言う、「わかりやすく」もなく、また課題も多く、行政によるガイドラインで医療関係者の重圧を取り除けるものではないと考えます。


 更に、医師法及び歯科医師法で、トリアージは医師にしか認められておらず、インフォームドコンセントを得るための説明行為も医師、看護師などに限定されており、東京都がガイドラインを策定することができるのかということすら疑問です。


 田中区長の要望している「トリアージガイドライン」は、本来の意味である「治療の優先順位付け」という意味ではなく、人工呼吸器をつけていても「単なる延命にしかならない」(文春オンライン記事)場合は外しても良いという、「命の選別」の為の基準にすり替えていると断じざるを得ません。


 医療関係者の重圧を取り除くためには、区長の言うようなトリアージなど行わなくてよいように感染防止策の施行や医療関係者への支援をすることこそが必要なことは明白です。


 杉並区は新型コロナウイルス感染症対策として区内4か所の「発熱外来センターの設置」や「区直営のPCR検査実施に伴う検査体制の整備」なども行ってきましたが区の財政調整基金額からすると、さらなる杉並区の独自策、そして東京都はもとより国へも一層の感染防止策と医療体制の拡充などの医療機関へのそうした支援策をこそ提言すべきであると考えます。


 区長は、緊急要望の1において陽性判定後の隔離場所の確保の要望を出しているのみで、医療関係者の多くが訴えている受け入れ病院の調整等他にはいっさい触れていません。こうした医療関係者の声に耳を傾けることなく、「きれいごとでは済まない現実が目前に迫っています。戦場や災害現場と同じ状況に陥りつつあるのです。」(文春オンライン記事)などとして、「命の選別」にひた走ることなど到底許されることではありません。


 以上のことより、緊急要望書は医療関係者の立場に立つものでもないうえに患者の立場の視点もまったく感じられません。基礎疾患のある人や高齢者、障害者、またそれ以外の全ての人にとっても、「呼吸しているだけ」との判断で「単なる延命」として一律に切り捨てる「命の選別」の基準を推奨する事や、それを都民全体の議論とせよ(文春オンライン記事)とし区民・都民全体に「命の選別」を迫ることは、区長の要望・発言として非常に問題があり、言ってはならないことと考えます。区長が出すべき要望・提言は、すべての区民・都民が安心して暮らしていけるものでなければなりません。


 現在各地でそうした障害者、高齢者を切り捨てる実態があります。そうしたことを共有して、広く区民の方々や皆様と意見交換を行い、命の大切さを問うシンポジウムを開催する事としました。何卒ご参加下さい。



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