シンポジウム「無罪証拠を無視したDNA鑑定によるえん罪」
- 林田医療裁判
- 3 日前
- 読了時間: 3分
徳田靖之弁護士活動56周年記念連続講演会第7回「飯塚事件・菊池事件」では飯塚事件のDNA鑑定の問題が指摘されました。
死刑執行再審としての飯塚事件の特異性
死刑執行された冤罪・飯塚事件 久間三千年さんの無罪を求める
正義の行方
クリス事件でもDNA鑑定が冤罪を作っていると批判されます。イノセンス・プロジェクト・ジャパンInnocence Project Japanはシンポジウム「無罪証拠を無視したDNA鑑定によるえん罪」(Wrongly Convicted Based on a DNA Analysis That Ignored Proof of His Innocence)を開催します。クリス事件弁護団のほか、アメリカのDNA鑑定の専門家であるSimon Ford博士(ビデオメッセージ)、支援者の皆様が登壇します。ぜひご参加ください!
日時:2025年7月5日(土)14:00~17:30 (開場 13:30)
オンライン配信あり
会 場:AP東京八重洲 10階 Wルーム
要申込・参加無料
プログラム
― 開会の挨拶 笹倉香奈(IPJ事務局長、甲南大学)
― 事件の解説(クリス事件弁護団)
・ 事件の概要と争点 佐藤博史(IPJメンバー)
・ 袴田事件のDNA鑑定 角替清美(IPJメンバー)
― コメント
・ Simon Ford氏(Lexigen Science and Law Consultants, San Francisco)
・ 徳永光(IPJメンバー、獨協大学)
― 応援メッセージ・支援の呼びかけ
・ 竹前智貴(IPJメンバー、クリス事件弁護団)
・ クリス事件支援者
・ IPJ学生ボランティア
― 閉会の挨拶 石塚章夫(IPJ理事長、弁護士)
クリス事件とは
2018年7月12日0時10分ころ、千葉県市川市で駅から帰宅途中の女性が襲われました。口淫を強要した犯人は、射精して立ち去りました。被害者はその場で精液を吐き出し、帰宅後うがいをしたのちに警察に通報しました。そのため、被害者の口腔内から採取された犯人の精子は微量で、被害者の口腔内細胞と混合したものでした。
事件から3年4か月後の2021年11月25日、クリストファー・ペインさん(母はアフリカ系アメリカ人、父はギリシャ人)が逮捕され、翌12月15日に起訴されました。クリスさんは当時30歳でした。
クリスさんは、裁判所により正確なDNA鑑定を求めました。しかし、職権で行われたDNA鑑定でも、DNA型は矛盾せず、その出現頻度は、約17兆人に1人(なんと地球2099個分!)とされたのです。
クリスさんは、事件当時は、東京都渋谷にいて、事件から5分後に、交際相手にメール送信していました。ところが、一審(千葉地裁)は、「DNA 鑑定によると、地球上に犯人と同じDNA型の人物は被告人しかいない。犯人であることとメール送信は矛盾しない」として、懲役8 年を言い渡しました。
しかし、控訴審(東京高裁)で、弁護団が、DNA鑑定の生データの開示を求めたところ、DNA鑑定のデータが改ざんされ、犯人のDNA型と矛盾しないように捏造されていたのです。さらに、アリバイの決定的な証拠であるスマホのメール送信による位置情報が無視されていることが浮上しました。
クリス事件は、無罪証拠を無視したDNA鑑定によるえん罪です。本シンポジウムでは、科学的証拠を正しく評価できない日本の刑事裁判に光を当てようと思います。
クリス事件と人質司法
クリスさんも、今現在、人質司法に苦しめられています。未決勾留期間は、3年半を過ぎました。今なお、保釈請求が認められていません。単独室に収容される被勾留者は、弁護人接見や面会が入らない限り、1日中居室内で黙って過ごさなければなりません。クリスさんは気丈に耐え続けていますが、他人と会話ができない環境は、心理的に大きなダメージを与えます。居室には、管理されたラジオ以外、パソコンもテレビも音源もなく、外部からの情報も大きく制限されます。そして、薄い畳の上に座り続けるよう指示されます。現代社会において、被勾留者にこのような生活を長期間強いることが許されるのでしょうか。国際社会のスタンダードから外れていることは明らかです。一日も早い保釈が求められます。

Comments