一般社団法人日本医療安全調査機構Japan Medical Safety Research Organizationの医療事故調査・支援事業運営委員会が2023年12月27日に令和5年度第2回委員会を東京都港区浜松町で開催した。医療事故調査制度の現状等が報告・議論された。
医療機関において制度の実施にばらつきが見られており、随時の見直しが必要であるとの指摘がなされた。医療事故調査制度の対象は以下の二つに該当するものである。
「すべての病院、診療所(歯科を含む。)又は助産所に勤務する医療従事者が提供した医療に起因する(又は起因すると疑われる)死亡又は死産」
「医療機関の管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったもの」
「高齢のため何が起こるかわかりません」というような説明は「予期していたこと」に該当しないが、管理者の判断によるバラツキがあることが実態である。これ関連して医療機関の管理者が適切に医療事故を管理しているかどうか検証する機関が必要との意見も出た。
医療事故制度が作られてから8年になる。今までの見直し検討会をして欲しいとの要望が出た。開かれた医療が医療に対する患者の信頼を高めるという意見が出された。情報の透明性が患者の権利を尊重し、信頼関係の構築に寄与するとの見解が示された。
医療安全・患者安全を高める方向に動き始めているとの好意的な意見が出た。とはいえ、さらなる強化が求められている。
一度起きたことは、また起こりうる可能性がある。入院患者の安全を守るには二重三重のチェック体制が必要になるのではないかとの指摘がなされた。これにより、医療ミスや事故の危険を最小限に抑えることが期待できる。
委員会は林田医療裁判を考える会からも傍聴した。以下は患者の権利の立場からの所感である。
患者は医療の主体であり、治療やケアにおいて十分な情報を受ける権利がある。医療機関は情報を透明に提供し、患者が治療計画に積極的に参加できる環境を整える必要がある。
患者は治療や手術などの医療過程に積極的に参加し、自身の健康に関する意思決定に参加できる権利がある。医療機関は患者と協力して治療計画を立て、患者の意向を尊重すべきである。
医療事故が発生した場合、患者に対して速やかに透明かつ理解しやすい形で説明する責任がある。患者とその家族には発生した事故に関する正確な情報が提供され、必要に応じて適切なサポートが提供されるべきである。
二重三重のチェック体制については林田医療裁判(平成26年(ワ)第25447号損害賠償請求事件、平成28年(ネ)第5668号損害賠償請求控訴事件)と重なる問題である。林田医療裁判では無資格の長男が入院中の母親の経管栄養の流入速度(注入速度)を速めた。
この点について立正佼成会附属佼成病院への公開質問状で「患者の家族の中の悪意ある人物により、経管栄養が操作されるリスクに対して、その予防や検知の対策を採っていますか」と質問している。経管栄養操作のチェック体制について考えることは医療安全の立場からも求められる。
医療事故調査制度と医療基本法
公開質問状36医療事故調査制度
『事例から学ぶ「医療事故調査制度」活用BOOK』出版記念シンポ開催
群馬大学病院医療事故調査委員会報告シンポ
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