「『事例から学ぶ「医療事故調査制度」活用BOOK』出版記念シンポジウム~医療事故を再発防止に活かしてほしい~」が2021年12月12日にZOOMミーティングで開催された。主催は「医療情報の公開・開示を求める市民の会」。共催は「医療過誤原告の会」「医療過誤原告の会関西支部」「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」ら。
We want medical accidents to be used to prevent recurrence.
シンポジウムの内容は以下。
『事故調査を拒否する病院の事例』 金坂康子(患者遺族)
『予期せぬ死亡なのに進まぬ調査』 加藤高志(弁護士)
『センター調査報告に対する評価』 宮脇正和(医療過誤原告の会会長)
質疑応答・討議Ⅰ
『京都大学附属病院の対応の基本』 松村由美(京大病院医療安全管理部部長)
『制度活用状況の都道府県別格差』 増田弘治(読売新聞記者)
『事例を元に制度に求める改善点』 岸本達司(弁護士)
質疑応答・討議Ⅱ
医療情報の公開・開示を求める市民の会編『事例から学ぶ「医療事故調査制度」活用BOOK』(篠原出版新社)は2021年12月中旬に発行される予定である。
医療過誤原告の会から宮脇正和会長が話した。医療過誤原告の会の会報第40号『悲しみにくじけないで』(2018年7月1日)には林田医療裁判(立正佼成会附属佼成病院裁判)原告の手記「母の望まぬ死」が掲載されている。
病院・診療所又は助産所の管理者は、医療事故が発生した場合には、医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。しかし、医療事故調査が病院の自発性に委ねられ過ぎている点が問題である。届け出は医療機関だけができる。遺族から届け出が出来ない点は医療事故調査制度の根本的な問題点である。
医療過誤の追及は再発防止になり、新たな命を守ることになる。病院の院内調査よりも医療事故調査・支援センターの調査の方が充実していると感じることが多い。医療事故調査・支援センターの報告書は再発防止に有用である。Webサイトで公開することを求める。事実を明らかにするためには医療裁判をする以外になかった。調査をきちんと行い、事実を説明したら、裁判にならなかったケースがある。
『事例から学ぶ「医療事故調査制度」活用BOOK』出版記念シンポジウムでは遺族が病院に言い続けることが重要と指摘された。一方で遺族個人の超人的な頑張りに依存することは不健全である。患者の権利を守る会は林田医療裁判を踏まえて公開質問状を立正佼成会附属佼成病院に出し続けている。公開質問状は2021年12月5日までに35回出している。このような活動に意味があると再確認した。
医療事故調査・支援センター調査の対象は、予期せぬ死という枠組みになっている。このタイミングで亡くなることはないようなケースで亡くなることが調査の端緒になる。この基準の場合、いつ亡くなってもおかしくない終末期と分類されるような患者の医療事故が調査されにくくなるのではないかという不安がある。
Zoomのチャット欄には以下のコメントが寄せられた。「その死亡が予期されるされないレベルではなく、医療事故か否かの判断を待つことなく、例えば処置から半年以内に死亡した者、2年たっても寝たきり状態を余儀なくされ続ける患者のすべての原因と人数が、当たり前の事として躊躇することなく報告される事が、ルーチン化されるべき」。民間ビジネスならば受注・失注を全て報告することは当たり前である。医療の世界も民間感覚を持つべきだろう。
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