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人生の最終段階における医療と法

  • 執筆者の写真: 林田医療裁判
    林田医療裁判
  • 1 日前
  • 読了時間: 3分

緒方あゆみ「人生の最終段階における医療と法」中京ロイヤーChukyo lawyer Vol. 29(2018年)で林田医療裁判が取り上げられました。「人生の最終段階における医療と法」は「意思表示が困難な状態にある人生の最終段階を迎えた者へのわが国の医療および介護の現場の対応状況や現在指摘されている法的な問題点および法制度化の動き」を紹介した論文です(1頁)。林田医療裁判は「家族の中で意見がまとまらなかった場合」として紹介されました。


「人生の最終段階における医療と法」は以下を前提としています。「現在、わが国では患者に対する治療やケアは複数の専門職種からなるチームで行われており、患者側とのコミュニケーションを図りながら出来る限り本人の希望に沿った形で実施されている。患者が疾患等の影響で周囲に意思表示ができなくなった場合でも、本人の意思を推測し最善の利益を考えた判断がなされている」(12頁)


林田医療裁判は、これが該当しなかった事例です。林田医療裁判では患者の長男が延命治療を拒否しました。医師記録(カルテ)の2007年8月20日には「family (son)は延命につながる治療を全て拒否。現在Div.(点滴)で維持しているのも好ましく思っていないようである」と書かれています。これは家族全員の意見を代表したものではありませんでした。主治医はチームや病院の倫理委員会と相談せず、単独で対応を決定しました。


第12回「医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウム」では以下の指摘がなされました。

・長男から延命治療を希望しない申し出があったとき、主治医一人が判断して対応するのではなく、チーム医療の多職種や、倫理委員会など、集団で今後の対応を検討すべきだった。

・チームとして対応していれば、終末期医療について、家族間に意見の相違があっても、家族に丁寧にヒアリングすることで、患者の意志を把握できる可能性があったのではないか。


人生の最終段階において、どんな医療やケアを受けたいか。誰もが一度は考えるこのテーマですが、実際にその時が来ると、患者本人や家族が難しい選択に直面することがあります。終末期医療に関する問題は、決して他人事ではありません。


医療が高度化する中で、情報の非対称性(専門家と一般人の知識の差)はますます拡大しています。林田医療裁判を通じて浮かび上がる点は、医療の意思決定における透明性と、より慎重な対応の必要性です。医療機関には家族との十分な対話と意思決定プロセスの確立が求められます。


人生の最終段階における医療と法

医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウムに林田医療裁判

医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウム第12回


中京ロイヤーChukyo lawyer
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