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  • 執筆者の写真林田医療裁判

文京七中・早川労災裁判控訴審2022/5/17

文京七中・早川労災裁判控訴審第1回口頭弁論が2022年5月17日11時半から東京高裁424法廷で行われる。早川労災裁判は #林田医療裁判 #中野相続裁判 が相互支援する。


早川労災裁判は数学教師が公務災害認定を求めた訴訟である。原告の早川さんは東京都の中学校教員であった。板書などで頚肩腕障害を発症し、公務災害を申請しようとしたが、学校側から申請用紙の提供拒否や申請の受付拒否を繰り返された。


「文京区立第九中の佐藤一男校長に「申請用紙をください」と申し出たのは1986年9月。校長は、「そんなことは知りません!」と申請を妨害。さらに、区と都に請求しても拒否され、労働組合でもらって提出すると、今度は受取拒否」(「都教委は公災認定請求書の隠匿の責任を取れ!早川さんの健康を返せ!」『10.29東京総行動NEWS』2021年8月29日、3頁)


早川労災裁判の背景には公務員の労災の民間からの乖離がある。公務員の労災は公務災害(公災)と呼ばれ、民間の労災とは別制度になっている。審査を加害者側の東京都の職員が実施するため、公正な審査からは程遠い。


公務災害を審査する公務災害補償基金は職場実態を調査もせずに「同じ職場に(頸肩腕障害の)患者が居ないから、公災ではない」として早川さんの頸肩腕障害を「業務外」とした。結論。同じ職場なら同じ労働実態というのは職種の多様性を無視している。中学校教員の業務は一人一人異なる。体育教員と数学教員が同じ仕事でない。


早川労災裁判では裁判の名称を公務災害ではなく、早川「労災」裁判と民間労働者と同じ労災の語を用いている。公務員の特殊性を持ち出さず、民間労働者の普遍性を持って対峙している。


早川労災裁判には公務災害認定請求書握り潰し訴訟という前段がある。複数の裁判が行われる点は林田医療裁判・中野相続裁判と重なる。林田医療裁判・中野相続裁判は患者の権利、早川労災裁判は労働者の権利向上に資するものである。中野相続裁判さいたま地裁第18回期日(第17回口頭弁論)の報告集会では早川労災裁判第12回期日が案内された。


公務災害認定請求書握り潰し訴訟では以下を請求した。

・地方公務員災害補償基金に対して、請求書を都教委に受理させなかった不作為の違法確認

・都教委に対して、請求書の受理と基金への送付義務付け

・基金と東京都に対して、請求書未送付の不作為の損害賠償


この裁判は2006年に提起し、2012年に東京都に慰謝料等50万円の支払いを命じる判決が確定した。早川さんが提出した申請書は校長室のロッカーに放置されていることが判明した。裁判では基金の責任は認められなかったが、基金の運用が変更された。


「基金本部が全国に「事務連絡」を発して「災害補償の手引」が一部改正され、所属部局長が災害発生状況の把握が困難な場合は、証明困難である旨を証明欄に記載して提出すること、長期間証明がなされない場合には被災職員等から基金支部長に対し直接認定請求がなされることが明記されるようになった。これは重大な実務の変更であり、原告と組合、支援の仲間で勝ち取った誇るべき画期的成果である」(一審原告 早川由紀子、全国一般東京労組文京七中分会、早川由紀子さんの不当免職撤回を支援する会、公務災害認定請求書握りつぶし訴訟弁護団「公務災害認定請求書握り潰し訴訟 最高裁での対東京都勝利判決確定声明」2012年3月15日)


往々にして日本では労働問題に対して部署内の直接的なコミュニケーション活性化で何とかしようとする昭和的な解決策が採られる傾向がある。たとえば昭和の精神論を振りかざす上司に困っているとの相談がある。「60代後半の上司がいかにも“昭和の考え方”でついていけません。精神論を振りかざし、「やるしかないだろう」が口癖です。あまりの激務で部下が一人体調を崩してしまったのですが、人員の補充がないまま半年がたち、残ったメンバーの心身も限界です」


この相談に対して菅義偉首相は「コミュニケーション不足により上司とあなたの間に認識のギャップや軋轢が生じているのだとすれば、双方の心がけと行動によって、それを解消することが先決です」と答えた(『第99代総理大臣 菅義偉の人生相談』プレジデント社、2020年)。これ自体が昭和のコミュニケーション至上主義になる。「メンバーの心身も限界」という深刻な相談にはピント外れになる。


早川労災裁判の公務災害認定請求書握り潰し訴訟では部署の職制を通さずに直接請求できるようにした。21世紀的な解決策である。


早川労災裁判の記者会見

早川労災裁判と持ち帰り残業






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