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執筆者の写真林田医療裁判

早川労災裁判の記者会見

早川労災裁判の記者会見が厚生労働省記者クラブで行われた。早川労災裁判は #林田医療裁判 #中野相続裁判 が相互支援する。早川さんは以下のように語り、控訴を表明した。職場が酷い状況であることの証拠を出しているのに棄却判決を出す裁判官は労働者のことを考えていない。校長は労基法除外職場と言って過重労働を押し付けた。在職中に死者が出ていた。そのような職場であるのに病気になっても業務外と言われてしまう。その程度しか裁判官は理解していないことは悔しい。


中学校の校長が早川さんの公災認定請求書を放置したことが問題である。このため、早川さん側は立証責任の転換を求めた。「原告の主張する業務内容や作業環境を裏付ける客観的な証拠がないのは、本件請求書の放置という第七中学校の校長らによる公務災害認定請求の妨害行為が原因であり、その不利益を原告に負わせるべきでないから、公務起因性の立証責任を被告に転換すべきである」。


ところが、判決は請求書放置を文京区の公権力の行使とし、公務災害補償基金の問題ではないとした。「第七中学校校長らの行為は、あくまでも文京区の公権力の行使であって、被告の公権力の行使ではないから、公務起因性の立証責任を被告に転換すべき理由とはなり得ないというべきである」(30頁)。公務員得意の縦割り行政による責任回避である。


「情報を収集できる立場にある行政機関が資料の保存年限を超えて請求を隠ぺいしながら、請求者が証拠を提出しなければ認定されない、というのはあまりにも不公平である。文京区(判決も責任があるとした)を被告基金が助けたことになる。この行政側のつるみ合いを裁判所が追認することは許せない」(一審原告 早川由紀子、早川由紀子さんの不当免職撤回を支援する会、各専労協文京七中分会、公務災害認定訴訟弁護団「公務災害認定手続を18年放置された元教員の裁判への不当判決を弾劾する!」レイバーネット2022年1月22日)


判決は、短期間に上肢に集中的に負担がかかったとは言えないと言う。「羽田中学校における原告の業務内容は、授業のほか、教材研究、教材作成、年5回行われるテストの作成及び採点、成績整理、給食費の計算等の事務作業、生徒指導、清掃指導、公務分掌及び会議出席等、多岐にわたっており、その中心は授業であったにせよ、上肢等に負担がかかる業務に明らかに該当しないものも含まれている」(34頁以下)。しかし、板書が中心の昭和の教育の実態を理解していないだろう。


早川さんの授業時間は週25時間で他の数学科教諭の約1.4倍もあった。これに対して判決は早川さんが副担任であるのに対し、他の教諭は教務主任や担任であり、「教務主任又は担任の具体的な業務内容の主張立証はなく、業務量の過重性判断において担当授業時間数」のみを切り取って比較することは相当ではない」とした(38頁)。


早川労災裁判は控訴審で争われることになる。パワハラについて強調した方が良いだろう。東急ハンズ心斎橋店過労死裁判では計7837万円の高額な損害賠償が命じられたが、長時間労働に加えてパワハラがあった。長崎県警佐世保署の男性警部補(当時41歳)が上司からパワーハラスメントを受け2020年10月に自殺した事件では地方公務員災害補償基金県支部が2022年1月24日、自殺を公務災害と認定した(「佐世保署パワハラ 警部補の自殺を公務災害認定 妻「業務改革望む」」毎日新聞2022年1月25日)。



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