top of page
執筆者の写真林田医療裁判

東京外郭環状道路のトンネル工事再開に懸念

東京外郭環状道路のトンネル工事再開に陥没事故再発を懸念する声が出ている。We are concerned that the resumption of tunnel construction on the Tokyo Outer Ring Road will lead to a recurrence of sinkage accidents.


外環道工事は東京都調布市の市道陥没で中断したが、東日本高速道路(NEXCO東日本)などは陥没現場周辺を除く工区で工事を再開させる方針を固めた。外環ネットが2021年12月22日に「大深度法の前提は崩れた 外環道路は中止!国交省署名提出院内集会」を開催したばかりである。住民の反発は強いだろう。


東京女子大の竹内健蔵教授(交通経済学)は以下のように指摘する。「工事を再開するのであれば、安全を最優先にするのはもちろん、可能な限り情報を開示して理解を得ることが必要になる」(「外環道トンネル工事、陥没現場の周辺除き再開へ…地元では再発懸念の声も」読売新聞2021年12月24日)。

外環道では調布市役所による個人情報漏洩問題で公開質問状が出されている。

外環ネット調布市役所個人情報漏洩の公開質問状に回答なし

公開質問状への非回答は、立正佼成会附属佼成病院と同じである。


外環道地下工事現場の上にある東京都調布市東つつじヶ丘2丁目の市道が2020年10月18日に陥没した。10月18日午前9時30分頃に路面の沈下が発見され、午後0時30分に陥没を確認した。空洞は舗装の下で縦6m、横5m程度に広がっていた。深さは約5m、大きさは約140m3。相鉄東急直通線の新横浜トンネル建設工事でも工事現場真上の道路が陥没した。


外環道の工事は土かぶり47.4mの大深度地下で行われていた。工事を発注したNEXCO東日本はトンネルの掘削が影響した可能性があるとし、4カ所で進めている外環道の本線トンネルの掘削工事を全て中断した。シールド機通過時に近隣で大きな振動があったとする(青野昌行「大深度トンネル直上で道路陥没、1カ月前にシールド機通過」日経クロステック2020年10月23日)。NEXCO東日本は近隣に住む7世帯に避難を呼びかけた(「東京・調布で道路陥没、3メートルの穴 現場で地下工事」朝日新聞2020年10月18日)。


陥没事故の現場付近では新たに大きな空洞が見つかった。幅約4m、長さ約30m、高さ約3mで、上端が地表面から約5mの深さにある。東日本高速道路会社は11月2日に陥没現場から北に約40mの場所で、地下5m付近に空洞の可能性があることを把握した。空洞内では、深さ1m程度まで地下水がたまっていた(青野昌行「地中に高さ3mの空洞、外環道トンネル上の陥没現場近くで確認」日経クロステック2020年11月10日)。


「再陥没による2次被害等の危険は去っていません。陥没の後にも、家がきしむなどの事態も発生しています」(東京外環道訴訟 原告団・弁護団「2020年10月28日調布市の外環道工事現場真上の道路宅地陥没事故に関する声明」)


NHK『首都圏ネットワーク』(2020年11月18日)で外環道工事現場真上の市道陥没事故が取り上げられた。林田理沙アナウンサーは住民の切実な不安の声に共感していた。


外環道は大深度地下である点が特徴である。大深度地下工事は地上に影響を及ぼさないとの前提で進められていたが、その前提は公務員的な無責任な安全神話に過ぎなかった。陥没事故は大深度法合憲論の前提を崩す問題である。


外環道では住民らが以下の日程などで行政処分の取り消しを求める意見陳述を実施した。

2016年8月26日、都市計画事業承認の取り消しを求める陳述

2016年9月27日、都市計画事業承認の取り消しを求める陳述

2016年11月18日、地中拡幅部の都市計画事業の変更承認の取り消しを求める陳述

2017年2月15日、地中拡幅部の都市計画事業の変更承認の取り消しを求める陳述

2017年2月24日、地中拡幅部の都市計画事業の変更承認の取り消しを求める陳述

2017年3月27日、地中拡幅部の都市計画事業の変更承認の取り消しを求める陳述

2017年4月27日、地中拡幅部の都市計画事業の変更承認の取り消しを求める陳述


外環道建設地の住民らは裁判でも争っている。東京外環道訴訟の第9回口頭弁論は2020年11月24日午後2時から東京地方裁判所103号法廷で開かれた。調布市の陥没事故を受けて弁護団が国を追及した。原告2名が陥没事故に関して意見陳述した。東京外環道訴訟第13回口頭弁論は2021年11月24日(水)15時から東京地方裁判所103号法廷で行われた。


住民らは気泡シールド工法による工事差止の仮処分も2020年5月27日に申し立てた。4回目の審尋が10月28日行われ、結審する予定であったが、陥没事故を受け、2021年1月15日に第5回審尋が行われた。



閲覧数:41回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page