第26回薬害根絶フォーラムが2024年12月14日(土)に名古屋市立大学薬学部(田辺通キャンパス)宮田記念ホールとオンライン(Zoomウェビナー)で開催された。薬害根絶フォーラムは二部構成である。第一部は各団体からの薬害被害実態報告、第2部は徹底討論「薬害と利益相反~ワクチン副作用被害者の救済を阻むものは何か~」である。
The 26th Forum on the Eradication of Drug Hazards was held on Saturday, December 14, 2024 at the Miyata Memorial Hall of the Nagoya City University Faculty of Pharmaceutical Sciences (Tanabe street Campus) and online (Zoom webinar). The forum consisted of two parts. The first part consisted of reports on the actual damage caused by drugs from various organizations, and the second part was an in-depth discussion on "Drug Harm and Conflicts of Interest: What Prevents Victims of Adverse Vaccine Reactions from Receiving Relief?"
第一部はイレッサ、MMR、HIV、スモン、薬害ヤコブ、陣痛促進剤、筋短縮症、薬害肝炎、サリドマイドの報告がされた。司会は袖野直悦(薬害ヤコブ)。
イレッサは抗がん剤治療薬で「副作用の少ない夢の新薬」ともてはやされたが、発売直後から副作用の間質性肺炎で死亡する患者が相次いだ。医師管理から離れた自宅投薬が推奨されたことが薬害拡大の一因になった。
「本来、薬とは健康と命を守るためのものであり、やむを得ず“仕方のない被害”を患者に求める際は、危険情報とその説明は不可欠です。そうでなければ患者は何も知らされず治療を受けることになり、現代医療とは程遠い運任せの治療となってしまうでしょう」
MMRワクチンは、はしか(M)、おたふく風邪(M)、風しん(R)を一度の接種で予防できるとして1989年4月に導入された新三種混合ワクチンである。当初の1989年から無菌性髄膜炎を中心とする副反応(副作用)を多発させたが、1993年4月まで接種が継続された。報告では国が早期に中止しなかったことが薬害を拡大させたと批判された。
「厚生省の姿勢は、「今後とも推進を」、「接種は慎重に」、「保護者からの申し出があるときに限り接種を」という後手後手の対応で通知するだけで、数千人に一人という異常な高率になってもMMRは中止されずに接種され続けました」
HIV「地域医療の差は特に大きな問題で、いつも診てもらっていた病院から拒否され途方にくれていた中で快く引き受けてくれた病院とでは天と地の差である。主治医が診る気でも病院側が拒否をする。より良い医療を求め病院を移りたかったが、さまざまな問題でそう簡単に移れなかった」
スモン「私が20才を過ぎた頃、私のような患者が各地で集団発生することから伝染状が疑われ、患者は差別され、社会的に“つらい”思いをする方が多かったようです。その後、キノホルムの整腸剤が原因となるわけですが、私は偏見を恐れ就職、結婚の際も“スモン”の事は話せなかったです」
薬害ヤコブも国の対応の遅れが薬害を拡大させた。グローバルの動きと比べて日本政府の後進性が際立つ。
「母が手術を受けた1987年にアメリカで使用禁止、廃棄警告が出ていたのです。その警告をきちんと厚生省が無視していなければ、母はヤコブ病にならずにすんだのです。その後10年間その警告は放置され、そのライオデユラが回収されたのは10年後でした」
筋短縮症は解熱剤注射で筋肉細胞が破壊され壊死する薬害である。「筋短縮症は薬害です!多くの医師が知りません。認知を広げたい」
薬害肝炎「何よりも腹立たしいのは、フィブリノゲン使用を処置時の出血の時ではなく、最初の手術の時に出血予備として使用されていたことが解ったことでした。手術時、半身麻酔のため手術経過は聞き取れていたこともあり使用しなくてはならない状態にはありませんでした。医師は今一度副作用が強い薬などは使う前にきちんと添付文章をよく読み使用していただきたいと思います」
サリドマイド「人が口にする物は念には念を入れて下さい。あの時の過ちでは済まされません。今後薬品に係るすべての方にお願いします。二度と私達のような被害者が出ない事を切に願います」
特集はHPV。「最終的に自己判断で接種した本人やその家族が悪いのは絶対に間違っていると思います。もっと適切な判断ができるように国が情報を提供していれば、もっと製薬会社が安全性を確かめてから市場に出していれば、苦しむ人がここまで多くなることはなかったはずです」
第2部は徹底討論「薬害と利益相反~ワクチン副作用被害者の救済を阻むものは何か~」である。新型コロナワクチン後遺症患者の会の木村さんと神谷さんが発言した。ワクチン接種後に身体がだるくなる。息を吸うのも苦しい。話していると息が切れる。ブレインフォグになる。これは脳に霧がかかったようにモヤモヤし、思考力や集中力が低下する状態である。休職せざるを得なかった。ワクチン接種後の体調不良で受診しても医師がまともに向き合わず、診療が受けられない。
「1回目の接種後には、更年期障害と同じような症状が出ておかしかったので、2 回目接種時の問診では「本当に大丈夫なんですか」と何度も質問したけれど、問診医は大丈夫と答えるだけでした」
以下は感想である。大丈夫との言葉は大丈夫でない場合に使われやすい。大丈夫と言うものは責任逃れで言うだけで、大抵の場合は大丈夫ではない。
論者は上野秀雄(MMR)、梅本邦子(HPV)、佐藤嗣道(サリドマイド)、高町晃司(スモン)、花井十伍(HIV)。司会は勝村久司(陣痛促進剤)。
佐藤さんが利益相反を説明した。「医師・研究者などの専門家が医薬品と健康被害の因果関係を否定することが、被害者の救済を阻むことにつながる」。患者には不要な検査や手術でも、儲かるから実施を勧めることはある。ワクチンも接種すれば儲かる仕組みになっている。
上野「勤務医の時はワクチン接種を勧めなかったが、開業医になるとワクチン接種を勧めるようになったという話がある」
佐藤「厚生労働省の官僚が直接製薬会社に天下りしなくても、迂回して天下りすることがある。官僚の利益相反もある」
以下は感想である。医師と患者の利益相反は逆の方向にも働く。儲かれば不要な検査や手術をするならば、儲からなければ必要な治療もしない。林田医療裁判(平成26年(ワ)第25447号損害賠償請求事件、平成28年(ネ)第5668号損害賠償請求控訴事件)では患者の長男が治療拒否したが、立正佼成会附属佼成病院(当時)の主治医は「カルテ記載内容の補足として、私は、大事を取りすぎて、意思疎通ができないまま寝たきり状態になるのが最善とは言えない、という主治医の理念をわきまえた上での延命治療拒否だと思いました」と陳述しており、医師の消極意向があったことを認めている(乙A第3号証8頁)。
第23回『薬害根絶フォーラム』開催
第23回『薬害根絶フォーラム』
薬害根絶デー2024厚生労働大臣宛要望
第25回薬害根絶デー
薬害根絶デー厚生労働省要望
Comments