分譲マンション「晴海フラッグ」として売りに出された選手村の土地が不当に安く払い下げられたとして、「晴海選手村土地投げ売りを正す会」の中野幸則会長ら33人が東京都に対して2017年8月に住民訴訟を起こした(平成29年(行ウ)第388号義務付け等請求事件)。
「総額を土地面積で割り戻した坪単価は約32万円となる。2016年時点の近隣の公示地価はm2単価約95万円で、坪単価にすると約314万円になるから、もちろん土地の形状や広さ、接道条件などが異なるため単純比較はできないものの、相当な安価で売却されたことは確かだ」(中山登志朗「選手村マンション「晴海フラッグ」、五輪延期・中止だと物件価値はどうなる」Diamond Online 2021年3月6日)
この裁判では住民側は事実を明らかにすることを求めている。ところが、東京都は情報を隠すだけでなく、事実を明らかにしようとする住民を名誉棄損と攻撃した。「被告東京都は、当初から、全てを秘密裏に進めようとして、情報開示や裁判所への証拠提出についても頑固に一部非開示とし、原告らによる事業協力者との議事録についての情報開示請求については、保存期間経過によって破棄したことを理由に非開示を決定し、一方で原告らを再三「名誉毀損」と攻撃し、くりかえし原告らを侮辱した」(中野幸則原告団長「意見陳述書」2021年8月31日)
これは中野相続裁判さいたま地裁と重なる。中野相続裁判で長男夫婦側は母の遺品の茶道具分類ノートの開示を頑なに拒否した。裁判所に写しの提示を要請されても、読みにくくした縮小コピーを提示した。一方で長男夫婦側は中野相続裁判や林田医療裁判のブログ記事の全部削除を求めたことである。全部削除しなければならないことは表現の自由の侵害である。林田医療裁判は東京地裁の第12回「医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウム」で取り上げられるなど社会的関心がある。公開することに意味がある。
「表現の自由というのは、人間価値の根幹にかかわるものです。つまり、自分の自己表現や自己実現の自由をどう守るかという問題であり、権利として必要だからこそ憲法で保障されているのです」(「ビラ配りに違法性なし 最高裁で確定した意義」救援新聞2021年3月15日)
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