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執筆者の写真林田医療裁判

林田医療裁判の公開質問状66脳死と臓器移植から考える『命の選別』

7月に入りいよいよ暑さも盛りとなります。皆様お変わりございませんでしょうか。

今朝、佼成病院病院長先生宛に66回目の公開質問状を送付しました。

この質問状も6月30日で5周年になりました。欧米では戦前より患者の自己決定権が優先されていましたが、日本では昭和40年に唄孝一教授が論文を発表されて以来広まって行きました。

世界の先進諸国に遅れないよう医療の認識を高めるためには市民と共に学び議論を深めることが不可欠です。

公開質問状は6年目に入り過去を振り返りあらためて患者の権利について考え、この質問状が開かれた医療にするための一助にしたいと考えます。どうぞ宜しくお願い致します。



立正佼成会附属佼成病院 病院長 市村正一 様

公 開 質 問 状(66) 2024年7月1日

拝啓

7月になりました。暑さも本番となります。皆様にはお変わりなくお過ごしでしょうか。

林田医療裁判は、高齢者医療における患者の尊厳と自己決定権を巡る問題を提起しました。佼成病院は、5年前の2019年6月26日に私達の面談をお断わりなされました。そのため公開質問状をご送付致しました(第1回6月30日)。しかし、お返事がないので督促を致しました。詳細は、2019年7月19日付「公開質問状についての確認」記載の通りです。その後一度もご回答がないので督促を出し続けて今回で66回目のご送付になりました。


2024年6月23日、臓器移植法を問い直す市民ネットワーク主催 第20回市民講座「【座談会】 教育現場で語られる脳死と臓器移植~中学・高校の教員を招いて~」が東京都江東区のカメリアプラザ(亀戸文化センター)で開催されました。中学校や高校の社会科や理科の教員が脳死や臓器移植の教育の実態を説明しました。


「座談会」では「脳死と臓器移植から考える『命の選別』」との問題提起がなされ、以下の指摘がありました。

「意思疎通ができないことは相手だけの問題ではない。自分達が言葉に頼りすぎているのではないか。ジェスチャーや表情からも意思疎通できる」

立正佼成会附属佼成病院の主治医は呼吸困難で喘いでいる患者の面前で「苦しそうに見えますが今お花畑です」と家族に説明しました。これは大きな問題を孕んでいます。患者の苦しみを「お花畑」と決めつけることは、その人の現実の苦痛や状況を軽視し、否定する行為でもあります。患者の面前でのこのような発言は、患者の尊厳を損なうと考えます。医師の役割は、患者の状態を正確に理解し、苦痛を和らげ、適切な治療を提供することではないのでしょうか。患者の現実の苦しみが軽んじられ、適切な対応がなされなかったという疑問を抱きます。

この問題は林田医療裁判の公開質問状(59)でも論じています。病院長先生のご意見はどうでしょうか。お伺いしたいです。医療現場での意思疎通や患者の尊厳を守るために、どのような取り組みがなされているのか、また今後どのような改善が考えられるのかをお聞きしたいです。


林田医療裁判の公開質問状が2024年6月に5周年を迎え、6年目に入りました。この節目に際し、過去を振り返り、今後の医療と患者の権利について考える機会とします。

患者の状態の把握は治療やケアの質に直結します。言葉だけに頼らず、患者の表情やジェスチャーからも意思を汲み取り、患者の尊厳を守ることが求められます。今後も医療現場での改善を目指し、患者の声なき声にも耳を傾ける姿勢を持ち続けることが重要です。医療の質の向上と患者の権利の尊重を実現するために、引き続きご努力をお願い致します。


いつものように2019年6月30日 第1回公開質問状を以下に記載いたします。ご回答は郵送でお願いします。患者主体の開かれた医療にするためには、市民と共に考え、議論を深めることが必要です。この質問状は、ご回答の有無にかかわらずネット上に公開させて頂きます。

患者や遺族と病院の対話の重要性は以下でも指摘されています。

「意見を聞いて病院をよくしていくんだという熱い思いがあればこそ、開かれた病院になるんだというのがみえてきた」(「四日市の三大病院の訪問を終えて」医療過誤原告の会の会報第45号『患者こそ医療の主人公 医療事故調査制度10年を前に』33頁)

市村病院長先生には諸行事にお忙しく、暑さの中くれぐれもご自愛ください。

敬具


*****

         公 開 質 問 状(2019年6月30日 第1回)

第1 質問事項

1.患者の家族の中の悪意ある人物により、経管栄養が操作されるリスクに対して、その予防や検知の対策を採っていますか。採っている場合、その具体的内容を教えてください。

2.複数人の家族の意見から本人の意思を推定する取り組み内容を教えてください。

3.「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の強調する繰り返しの意思確認を実現するために取り組みをしていますか。している場合、その具体的内容を教えてください。


第2 質問の趣旨

 1  林田医療裁判では、経管栄養の管理や治療中止の意思決定のあり方が問われました。林田医療裁判の提起後には、点滴の管理が問題になった大口病院の連続点滴中毒死事件や自己決定権が問題になった公立福生病院の人工透析治療中止問題が起きました。また、「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」は2018年3月に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に改定され、意思確認を繰り返し確認することが求められました。林田医療裁判において問われた争点は「終了」しているのではなく、現代日本の医療の問題と重なり問われ続けています。


 2  そこで、私達は林田医療裁判を経験し又その経緯を知った者として、広く医療の現状と課題について考察し、患者の安全と幸せは何かを探求しています。そして、このような問題は広く社会に公開して議論を深めていくことが、適切な医療を進める上で不可欠であると考えています。とりわけ貴病院は、経管栄養の管理や治療中止の意思決定の問題について直面された医療機関として、適切な医療を進めるためのご意見をお寄せになることが道義的にも期待されるところであると思われます。


3  従いまして、上記の質問事項に回答をお寄せ頂けますよう要請いたします。この質問と貴病院の回答はネット上に公開することを予定しています。このような公開の議論の場により、医療機関と患者ないし多くの市民の方が意見を交わし、相互の認識と理解を深め、適切な医療を進める一助にしたいと考えています。この公開質問状の趣旨をご理解いただき、上記の質問事項に回答を寄せていただきたい、と切に要望します。ご回答を連絡先まで郵送してください。回答締切日を二週間以内にお願い致します。

以上



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