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  • 執筆者の写真林田医療裁判

医療事故情報センター設立30周年記念企画

医療事故情報センター設立30周年記念企画が2021年10月2日にZoomウェビナーで開催された。林田医療裁判を考える会からも参加した。医療事故情報センターは、医療事故被害者の代理人として活動する全国各地の弁護士が正会員となって構成される任意団体である。


患者遺族は「気管切開チューブ『レティナ』使用開始後間もなく呼吸状態の悪化を来し死亡したものの医療法上の院内事故調査が実施されなかった事例」を話した。病院側の姿勢への疑問として、原因不明としながら、「医療行為に起因しない」と回答したことをあげる。


病院の姿勢は矛盾である。原因が不明ならば「医療行為に起因しない」と断定できない。原因救命はどうでもよくて、自分達の責任を回避できればよいという保身第一の公務員体質である。原因不明であることが病院側に有利に働く立証責任の仕組みも問題がある。民間企業の製造物責任などと比べて病院側は旧態依然としている。


原因究明の消極姿勢は林田医療裁判(平成26年(ワ)第25447号損害賠償請求事件、平成28年(ネ)第5668号損害賠償請求控訴事件)とも重なる。林田医療裁判ではカルテで死因を誤嚥性肺炎としていた。


ところが、医師は証人尋問で、誤嚥性肺炎が誤診で、多剤耐性緑膿菌多剤耐性緑膿菌(multidrug resistance Pseudomonas aeruginosa; MDRP)の院内感染が死因と証言した(東京地方裁判所610号法廷、2016年6月1日)。しかし、どのような根拠で誤診と判明したのか、何故誤診したのかなどの説明はなされていない。


医療過誤原告の会の宮脇正和会長は「医療事故被害者は救済されているか」を話した。医療裁判が病院側への問題提起になり、改善につながると指摘した。これも林田医療裁判と重なる。


リレートークでは裁判所による和解強要の問題が指摘された。裁判所に「この裁判は棄却相当であるから、雀の涙の和解金で我慢しろ」と和解を強要する話である。


裁判所に専門家に依拠する傾向が強まっているとも批判的に指摘された。患者側にも専門家による支援体制を手厚く提供することが対策として提言された。責任を負うべき事案において訴訟戦術によって責任を免れるならば医療過誤被害者は制度に不信感を抱く。



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