皆様お変わりなくお過ごしのことと思います。
今回は、前回に続いて #反延命主義 について取り上げました。
反延命主義の病院では「いったん「延命しない」という言質が取れたらスムーズに「看取り」とされ、鎮静の処置で死に至らしめる」そうです。
林田医療裁判の高齢女性患者は、本人の意思は全く問題にされず、長男と医師だけで簡単に患者の死が決められ、患者は何も知らされずに死んで行きました。佼成病院からは返事はないのですが、「高齢者は死んでもいいのでしょうか?」この質問は何回もしています。
医療は、病院や家族の都合で行われるものではなく患者の幸せの為に行われるものです。医療が人道的であり続ける為には市民と共に議論を深めて行くことが適切な医療を進める上で不可欠であると考えます。これからも続きますのでよろしくお願いします。
立正佼成会附属佼成病院 病院長 甲能直幸 様
公開質問状(32)
令和3年9月21日
前略
秋らしくなってきました。甲能病院長にはお変わりないでしょうか。
前回の質問状(31)でご紹介致しました書籍「<反延命>主義の時代―安楽死・透析中止トリアージ」(小松美彦、市野川容孝、堀江宗正編著/2021年7月30日発行/現代書館)の編者の反延命主義をテーマとした鼎談が週刊読書人に掲載されました(「鼎談・小松美彦・市野川容孝・堀江宗正・反延命主義に対抗する思想と実践のために」週刊読書人2021年8月27日)のでこちらもご紹介します。
反延命主義の病院では延命拒否の意思がアリバイ作りのために使われます。
以下は堀江氏の指摘です。
「いったん「延命しない」という言質がとれたらスムーズに「看取り」とされ、鎮静の処置で速やかに死に至らしめられる」。
これは 林田医療裁判 (平成26年(ワ)第25447号損害賠償請求事件、平成28年(ネ)第5668号損害賠償請求控訴事件)に重なります。林田医療裁判では患者の長男が患者の延命につながる治療を全て拒否しました(医師記録8月20日)。また「現在Divで維持しているのも好ましく思っていないようである。本日にてDiv終了し、」とも書かれています。ここでは本人の意思すら問題にされていないのです。
鼎談では、小松氏がSpO2に言及しています。「健康な者のspO2は90%台後半で、90%ぐらいになると酸素マスクが必要です。しかし、当該の患者(公立福生病院透析中止死亡事件の患者)はなんと65%にまで下がっているんです」と述べています。
林田医療裁判の患者が亡くなった日の医師記録には、「SpO2 80台でありながら本日をむかえた!ご永眠」と記載されています。酸素マスクが必要な状態ですが、長男の酸素吸入拒否に応じて患者は、酸素マスクをされず自力呼吸を強いられました。担当の岩﨑正知医師は、頑張って呼吸をしている患者の面前で「苦しそうに見えますが今お花畑です」と述べました。
また、同書籍は、論座(『<反延命>主義の時代』で知る<いのち>の選別の歴史 今野哲男 編集者・ライター2021年09月13日)でも紹介されました。
今野氏は、書評の中で「『死生観』という言葉があるように、<いのち>の切実さは、本来『死』と『生』の両方向から見ないと分厚い実感を伴わない。条件をつけて『生』を見限る『<反延命>主義』の前には、あるべき人間の姿が、見えるはずがないのだ。」と語っています。
日本の命の選別は、かつて「姥捨て」があったように「高齢者だからもう死んでもいいでしょう」などと高齢者の命を軽く扱う思想の人がいることは確かであると考えます。実際、佼成病院では、岩﨑正知医師は、長男が母親の治療を拒否したその日に治療を終了しました(岩﨑医師記録8月20日)。特別な手続きはないようです。患者本人の意思は、岩﨑医師の理念で確認されませんでした。また複数人で協議説明することもありませんでしたので他の家族は、治療中止を知りませんでした。患者の「命」の軽さは質問状(31)で「吟味されるべき問題」として指摘しています。
つまり、岩﨑医師は、患者の長男が治療を拒否したから誤嚥性肺炎の治療途中で止めました。結果、病状は悪化するも長男の酸素吸入拒否に従って患者の酸素マスクを外しました。でも夜間だけ酸素マスクをして朝になると外して自力呼吸をさせました。その理由を岩﨑医師は、「もとより、酸素があるほうが本人は楽であろうが、夜間は手薄などで夜間に呼吸が止まらないようにするものである」などと佼成病院の都合であることを述べています。
やはり、医師一人の判断に任せることは危険であり、チーム医療や倫理委員会の審議は必要です。
ここは、公開質問の2番「本人の意思を推定する取り組み」、3番「繰り返しの意思確認を実現するために取り組み」の実践にも関係しますので、公開質問への御回答をお願いします。
医療は人道的であり続けてほしいです。そのためには、市民だけでなく医療従事者・経営者などと共に広く社会に公開して議論を深めて行くことが不可欠と考えます。
林田医療裁判で問われた争点は、決して終了しているのではなく今なお問われ続けています。公開質問状が佼成病院のクリーンな姿勢を打ち出す好機となることを期待します。この質問状は、ご回答の有無に関わらずネット上に掲載し皆様と共に学習致します。開かれた医療を進める為の一助になれば幸いです。
いつものように未回答になっている公開質問状の1回目を下記に掲載いたします。
草々
公開質問状本文は下記にあります。
Kommentare