暑中お見舞い申し上げます。
林田医療裁判及び中野相続裁判のご支援ありがとうございます。
皆様お変わりなくお過ごしのことと思います。
佼成病院へ公開質問状(31)を2021年8月4日に送付致しました。ご覧いただければ幸いです。
公立福生病院を考える会「公立福生病院事件はなぜ起きたのか」のシンポジウムが2021年7月17日にありました。「林田医療裁判を考える会」も協賛し、Zoomで参加しました。
公立福生病院透析中止事件の問題点は、透析中止による苦しみの説明はしなかったことなど林田医療裁判と重なるところがありました。
林田医療裁判では一人の医師と患者の家族一人で患者の死が決められたことも問題でした。倫理委員会、チーム医療、家族らを含めた複数人での繰り返しの協議・説明などが行われていれば、違う方法が採られたことが考えられます。公立福生病院透析中止事件でも繰り返しの協議の必要性を確認しました。
林田医療裁判で問われた争点は、終了しているのではなく現代日本の医療問題として問われ続けています。現在、さいたま地裁において関連訴訟の中野相続裁判が係争中です。公開質問状も中野相続裁判もまだまだ続きます。ご支援よろしくお願いします。
さいたま地裁次回期日は、2021年9月17日(金)10時 さいたま地裁C棟 105法廷です。第20回期日です。傍聴よろしくお願いいたします。
今日も暑くなるようですが、お体をご自愛して良い一日をお過ごしください。
立正佼成会附属佼成病院
病院長 甲能直幸 様
公 開 質 問 状(31)
令和3年8月4日
暑中お見舞い申し上げます。
病院長甲能直幸殿にはお変わりなくお過ごしのこととお喜び申し上げます。
2021年7月14日に公立福生病院透析中止事件の証人尋問が行われました。この事件は、「本人の意思」との理由で治療中止が遂行されました。しかし、「本人の意思」なら治療中止を遂行して良いのか?「「苦しい。助けて」と懇願する患者を「意思が清明でない」と切り捨てて良いのか?等が問われ世間の注目になりました。
続いて7月17日には、公立福生病院事件を考える連絡会が、シンポジウム「公立福生病院事件はなぜ起きたのか!?」を開催しました。公立福生病院透析中止事件がはらむ問題について訴え、多くの方に考えてもらう企画です。「林田医療裁判を考える会」も協賛しました。
老い・病・障害とともに生きることが否定的に語られ、いのちが軽視される時代。この風潮を批判する生命倫理・死生学・社会思想史などの研究者らの『〈反延命〉主義の時代――安楽死・透析中止・トリアージ』の書籍出版に合わせたシンポジウムです。『反延命主義の時代透析中止・人生会議・パンデミック』など序章を抜粋して説明されました。
シンポジウムの内容は林田医療裁判ブログに掲載しています。
シンポジウムは、林田医療裁判とも重なる問題が指摘されました。堀江宗正(東京大学大学院教授/生命倫理・死生学)「反延命主義とは何か」では「「高齢者はもういいでしょう」「これ以上、生きていても仕方がない」という風潮が出ている。「医師が治癒後も障害が残ると示唆して患者に延命拒否を答えるように誘導している」との指摘がありました。
これは林田医療裁判の状況と重なります。林田医療裁判では患者の長男が延命につながる治療を全て拒否しました。これについて主治医岩﨑正知医師は「カルテ記載内容の補足として、私は、大事を取りすぎて、意思疎通ができないまま寝たきり状態になるのが最善とは言えない、という主治医の理念をわきまえた上での延命治療拒否だと思いました」と陳述しました(乙A第3号証「岩﨑正知医師陳述書」8頁)。医師の誘導の例になります。
堀江教授の批判への対応として、公開質問状で質問している「複数人の家族の意見から本人の意思を推定する取り組み」や「『人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン』の強調する繰り返しの意思確認を実現するための取り組み」が重要になります。公開質問状にご回答くださいますようお願いします。
高草木光一(慶應義塾大学経済学部教授/社会思想史)「公立福生病院事件を通して」では「重要なことは患者の立場からどのように医師を教育していくかである。患者の側から声をあげていく」との指摘がありました。この公開質問状も患者の側からより良い医療に変えていくアプローチです。佼成病院の建設的な対応を期待します。
市野川容孝(東京大学大学院教授/医療社会学)「ヨーロッパの状況と回帰するナチズム」ではナチスのプロパガンダ映画『私は告発する』を引き合いに、個人の自己決定権による治療中止もナチスの優性思想になるとの指摘がありました。岩﨑医師の陳述する「意思疎通ができないまま寝たきり状態になるのが最善とは言えない、という岩﨑医師の理念」もチーム医療や倫理委員会で検証される問題です。
小松美彦(東京大学大学院客員教授/科学史・生命倫理学)「反延命主義の根源―二つの生命概念」では「命よりも生き方を重視する思想が反延命主義や優生思想に傾く」との指摘がありました。この点でも岩﨑医師の陳述する「意思疎通ができないまま寝たきり状態になるのが最善とは言えない、という岩﨑医師の理念」は吟味されるべきものです。
また岩﨑医師は、キーパーソンの治療拒否に従い、キーパーソンの酸素吸入拒否にも従い誤嚥性肺炎の患者の酸素マスクを外して自力呼吸をさせました。岩﨑医師は、喘いでいる患者の面前で「苦しそうに見えますが今お花畑です」と言いました。しかし岩﨑医師は、他の家族達と協議・説明しませんでしたので他の家族達は、患者が誤嚥性肺炎であることも、このまま治療をしないで死ぬことに決められていることも知りませんでした。
息ができない苦しさは、公開質問状(15)でも述べましたが、読売新聞2021年7月31日編集手帳に「肺炎が広がり、多くの人にとって人生で一番苦しい」と記載されています。
岩﨑医師は、「高齢者だからもういいでしょう」というお考えだったのでしょうか? 岩﨑医師と家族の一人のキーパーソンだけで患者の死が決められましたが、倫理委員会、チーム医療、家族らを含めて複数人で協議していたら別の方法が採られたのでは、と思えてなりません。
医療が人道的であり続けるためには、市民だけでなく医療従事者・経営者などと共に広く社会に公開して議論を深めて行くことが不可欠と考えます。
患者の権利を守る会は、林田医療裁判(平成26年(ワ)第25447号損害賠償事件、平成28年(ネ)第5668号損害賠償事件)を踏まえて、立正佼成会附属佼成病院(杏林学園教育関連施設)に公開質問状送付を続けています。開かれた医療を進める為の一助になれば幸いです。これからも続きますのでよろしくお願いします。この質問状は、ご回答の有無に関わらずネット上に掲載し皆様と共に学習致します。
いつものように未回答になっている公開質問状の1回目を下記に掲載いたします。
草々
公開質問状本文は下記にあります。
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