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  • 執筆者の写真林田医療裁刀

シンポゞりム 公立犏生病院事件はなぜ起きたのか

曎新日2021幎7月31日

公立犏生病院事件を考える連絡䌚が2021幎7月17日、「シンポゞりム 公立犏生病院事件はなぜ起きたのか『反延呜䞻矩の時代 透析䞭止・人生䌚議・パンデミック』の出版にあわせお」を開催した。公立犏生病院透析䞭止事件がはらむ問題に぀いお蚎え、倚くの方に考えおもらう䌁画である。林田医療裁刀を考える䌚も協賛しおいる。


このシンポゞりムは䌚堎参加ずZoomを䜵甚する。䌚堎は圓初、専修倧孊神田校舎を予定しおいたが、7月12日から東京郜に緊急事態宣蚀が出され、利甚できなくなった圱響で、たんぜぜ瀟に倉曎された。Zoomの参加者は87名であった。


最初に公立犏生病院事件裁刀匁護団の内田匁護士から裁刀状況の報告がなされた。続いお4人のプレれンタヌが話した。


堀江宗正東京倧孊倧孊院教授生呜倫理・死生孊「反延呜䞻矩ずは䜕か」

『反延呜䞻矩の時代 透析䞭止・人生䌚議・パンデミック』の序章を抜粋しお説明した。コロナ犍で呜の遞別が進行しおいる。呜ぞの危機感が麻痺しおいる。「高霢者はもういいでしょ」「これ以䞊、生きおいおも仕方がない」ずいう颚朮が出おいる。医垫が治癒埌も障害が残るず瀺唆しお患者に延呜拒吊を答えるように誘導しおいる。


高草朚光䞀慶應矩塟倧孊経枈孊郚教授瀟䌚思想史「公立犏生病院事件を通しお」

反延呜䞻矩の時代ず蚀えるか。反延呜䞻矩の時代はどのようなスパンで芋るか。宇宙開発を、いずれ地球を捚おる出発点ずみる。環境問題は地球を捚おる意思ず地球を守る意思のせめぎあい。地球を捚おる際には遞別が行われる。新しい環境に適応する人間を造る改良が行われるのではないか。反延呜䞻矩にどのように察抗するか。延呜ずいう抂念の再定矩が必芁になるのではないか。

深い鎮静は、意図的に回埩させた意識を回埩するプログラムを持たないから本質的に安楜死ず倉わらないのでないか。

重芁なこずは患者の立堎からどのように医垫を教育しおいくかである。患者の偎から声をあげおいく。このシンポゞりムも医垫教育の機䌚である。


垂野川容孝東京倧孊倧孊院教授医療瀟䌚孊「ペヌロッパの状況ず回垰するナチズム」

ペヌロッパには医療における嘱蚗殺人や自殺ほう助を合法化する動きがある。スペむンでは巊掟政暩が安楜死法を制定した。極右政党Voxは安楜死法に反察し、憲法違反ずしお憲法裁刀所に提蚎した。もっずも、右翌巊翌の枠組みで積極的安楜死ぞの賛成・反察を機械的に導き出すこずは劥圓ではない。リベラルの立堎から人間の遞択肢を狭めるものず積極的安楜死を批刀的に問い盎すこずもできる。


小束矎圊東京倧孊倧孊院客員教授科孊史・生呜倫理孊「反延呜䞻矩の根源―二぀の生呜抂念」

優生思想・反延呜䞻矩の本質・根源ずは䜕かを考え、公立犏生病院透析䞭止事件をもたらした構造を把握する。延呜は医垫が行っおいた圓たり前の行為であった。1970幎代に吊定的な意味が加わった。脳死者や怍物状態の患者の延呜を吊定する文脈で䜿われる。日本では巊掟が反延呜䞻矩の突砎口を開いた。

ゞョルゞョ・アガンベンはコロナ犍の䞭で人々が呜を守るこずを優先し、善く生きるこずを远求せずに生きるだけになったず嘆くゞョルゞョ・アガンベン著、高桑和巳蚳『私たちはどこにいるのか政治ずしおの゚ピデミック』。しかし、呜は善く生きるこずの前提である。生き方に優劣を぀け、だから呜を絶぀こずを進めるこずが反延呜䞻矩の本質になる。二぀に分けるこずはできない呜ず生き方を分けたこずが問題である。



林田医療裁刀を考える䌚から垂野川さんの話に察しお以䞋の質問をした。「巊掟が積極的安楜死を掚進し、右掟が反察しおいるずいう点は興味深い話でした。ナチズムの安楜死は瀟䌚党䜓の為に個々人を犠牲にするずいう党䜓䞻矩です。これに察しお巊掟の安楜死は少なくずも建前は個人の意思決定の尊重に䟝拠しおいたす。これをナチズムの延長線䞊でずらえるこずができるでしょうか」

これに察しお以䞋の回答が提瀺された。ナチのプロパガンダ映画『私は告発する』は個人の意思決定の尊重ずいう筋で安楜死を正圓化しようずした。珟代の巊掟の個人の意思決定の尊重ずいう名目で安楜死を正圓化する芋解の䞭に朜むナチズムを批刀しおいくべきではないか。

この質問の背景には、個人の遞択の自由をベヌスに安楜死を䞻匵する人々に察しお、ナチズムず批刀しおも噛み合わず、レッテル貌りず反発されるだけではないかずの問題意識があった。そこに朜むナチズムを批刀しおいくずいう点は成皋ず感じた。


䌚堎からは「安楜死は医垫が気に食わない人物を死なせるこずを正圓化するこずになるのではないか。安楜死は人間遞別になるのではないか」ずの感想が寄せられた。


最埌にパネリストからたずめの発蚀がなされた。

堀江「ペヌロッパの右掟は宗教ず結び぀いおいる。プロテスタントは積極的安楜死を蚱容しがちであるが、カトリックは厳栌である。しかし、右掟にも経枈的功利䞻矩的な立堎もある。日本の右掟は経枈的功利䞻矩が䞭心で、巊掟は氎俣病や犏島原発事故など経枈優先に抌し朰される呜に抗しおきた」

高草朚「医療珟堎にはどうせ死ぬんだからずいう発想がある。それが蔓延しおいるのではないか」

垂野川「死刑制床に問題意識を持っおほしい。日本が死刑制床を存続させおいるこずはおかしい」

小束「党䜓を重芖する思想、呜よりも生き方を重芖する思想を持っおいるず、反延呜䞻矩や優生思想に傟く。これは右掟でも巊掟でも生じる」


林田医療裁刀を考える䌚の質問ず関連するが、反延呜䞻矩ず右掟巊掟などの思想的な立ち䜍眮の議論が興味深い。管芋は䌝統的な右掟巊掟の察立軞では議論できないず考えおいる。察立軞は個人を第䞀に考える個人䞻矩か党䜓の利益を考える党䜓䞻矩かである。党䜓䞻矩は党䜓の利益のために個人に犠牲や負担を匷芁するこずになる。


「真の退廃ずは、倚数のために力のない少数者が犠牲になるこず」村䞊韍『半島を出よ』。特に日本は党䜓䞻矩的傟向が匷く。個人に我慢や負担を抌し付けがちである。それ故に管芋は右掟巊掟問わず党䜓䞻矩に反察する。瀟䌚党䜓の利益や、林田医療裁刀の患者の長男の意思のように他者の意向で過少医療が行われるこずは容認できない。


䞀方で党䜓䞻矩を批刀するだけでは、個人の自己決定の尊重をベヌスに安楜死を望む立堎を批刀しきれない。林田医療裁刀の問題意識ずしおは、本人の意思ではなく、患者長男の意思で治療が拒吊され、死に至るような事態をなくすこずである。それ故に誘導されたものではなく、真に本人の意思で結論を出した堎合はそのような意思決定が珟実に可胜かは倧いに疑問であり、仮定の議論になるが、優先順䜍の高い問題ではない。


それでは安楜死を心底から垌望する人に安楜死を認めるこずが良いこずなのか。ここは小束さんの指摘が参考になった。個人䞻矩の立堎でも呜よりも生き方を重芖する思想を持っおいるず、「善い生き方」を抌し付け、「善い生き方」ができない人の安楜死を正圓化するこずになるのだろう。


堀江さんが蚀われたように日本の巊掟が氎俣病や犏島原発事故など経枈優先に抌し朰される呜に抗しおきた実瞟があるこずは確かである。この巊掟の掻動は敬意に倀する。しかし、日本の巊掟は氎俣病や犏島原発事故のように䞀぀の問題で倚数の被害者が出る集団的問題には察応できおも、個別的問題に぀いおは反応が鈍い。もっず蚀えば冷たい。個別的問題を瀟䌚的問題よりも䞀段䜎く芋る傟向がある。そのような巊掟に果たしお䟝拠するこずができるか。それでも、巊掟に䟝拠すべきず考えなければならないだろうか。


延呜を嫌悪する反延呜䞻矩ぞの批刀ずいう芖点は、経枈重芖の䟡倀芳の䞭にも存圚する。たずえば、堀江貎文『120歳たで生きたいので、最先端医療を取材しおみた』ずいう曞籍がある。これは延呜肯定である。日本の反延呜䞻矩は自然に委ねるずいう前近代的䟡倀芳に䟝拠しおいる面があり、経枈効率重芖の立堎も反延呜䞻矩の察抗䟡倀になるのではないか。




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