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執筆者の写真林田医療裁判

林田医療裁判の公開質問状70 Honest Talking

寒くなりましたがお変わりございませんでしょうか。

今朝、杏林大学医学部付属杉並病院(旧、立正佼成会附属佼成病院)に70回目の公開質問状を送付しました。

今回は、今アメリカで普及されている「オネストトーキング」(正直な話し合い)について学習致しました。これは、弁護士などの法的な人間が入る前にアドボケイト(患者擁護者)が間に入って、全ての医療情報の開示と、真実の説明がなされる時間です。

患者側は、真実を知りたいのですから真実を知っている医療者の誠実な対応が信頼を築きます。

日本の医療も医師に従うだけの医療から参加する医療に徐々に進化していますがまだまだ十分ではありません。質の高い病院もありますが、そうでもない病院もあったりで病院間にも格差があります。

日本の医療の質を高めるには医療者ないし多くの市民が意見を交わし議論を深め日本全体の医療認識を高めることが必要だと考えます。

ご覧いただければ幸いです。


杏林大学医学部付属杉並病院 病院長 市村正一 様

公 開 質 問 状(70) 2024年11月11日


拝啓


暑かった夏も過ぎ暖かい陽ざしが嬉しく感じられます。病院長先生にはお忙しくお過ごしのこと存じます。お変わりはございませんでしょうか。第70回目の公開質問状をご送付致します。

さて前回ご送付致しました公開質問状(69)は届きましたでしょうか。いつも公開質問状は、病院長先生宛に郵送と電子メールの両方でご送付しております。郵送の方は届いたと思われますが、電子メールにエラーが生じてしまいました。こちらの方は毎回ネット上に掲載致しておりますので医療者の皆様にはお手数ですがネット上からご覧いただきご意見をお寄せ下されば幸いです。また以前のようにネット配信をお望みの場合は対応いたしますのでよろしくお願い致します。


前回の質問状(69)では、2024年10月19日に開催されましたシンポジウム「制度開始から十年「医療事故調査制度」の課題と展望」の内容の一部をお届け致しました。シンポジウムでは長女を医療事故で亡くした「医療情報の公開・開示を求める市民の会」代表世話人の勝村久司さんが「安易に『予期していた』で片付けない。オネストトーキング(正直に話す)による情報共有」が大切と指摘しました(辻外記子「医療事故調査制度どう改善? 公正な調査手法普及や「呼び名変更」で」朝日新聞2024年10月29日)。


「オネストトーキング」(Honest Talking)は、「正直な話し合い」と言う意味で現在のアメリカで普及されています。非常に進歩的であると感銘を受けましたので「オネストトーキング」(正直な話し合い)を特別に学習して今回お届けすることとなりました。


オネストトーキングは、勝村久司「医療訴訟を防ぐ鍵「オネストトーキング」とは何か」医療安全レポート No.10(2018年1月1日)が説明しています。

***

「オネストトーキング(正直な話し合い)」というのは、その医療行為に関わった医療者と患者家族が一堂に会し(関係者全員が同席し)、弁護士などの法的な人間が間に入る前に、アドボケイト(患者擁護者)が間に入って、すべての医療情報の開示と、真実の説明がなされる時間です。

アドボケイトは、日本で近年養成されてきたメディエーターと同じように医療機関に雇われている人です。しかし、まったく違うのは、病院側が、

・すべての情報を開示しているか

・真実の説明をしているか

・患者の質問や疑問に対して患者にわかりやすく的確に答えているか

など、患者側の目線で、隠蔽や嘘やごまかしが起こらないようにチェックしていることです。

***


上田裕一、神谷恵子編著『患者安全への提言 群大病院医療事故調査から学ぶ』(日本評論社、2019年)もオネストトーキングを紹介します。医療事故発生後にオネストトーキングを実践するためには日頃から情報共有や誠実な診療を実施し、患者と良好な関係を築かなければならないと論じています。


患者側は、真実を知りたいのです。真実を知っている医療者の誠実な事故後の対応は、組織学習を促し事故から学ぶことが出来ます。そして病院内の改善に繋がります。患者安全を高め質の高い病院を作るには透明性が不可欠です。透明性によって信頼を築くことが出来ます。


かつての日本の医療は、与えられる医療で患者は、医師の治療に一方的に従うだけでした。当時の患者は、自身の病状が記載されているカルテを見ることすら出来ませんでした。現在ではカルテ開示は、医師と患者の情報共有として常識となっています。そして質の高い病院では、患者の医療参加・参画が徐々に浸透してきています。日本の医療も欧米諸国に学び少しずつ進化して考えも変わってきていますが、シンポジウムでは病院間に格差がある、との意見が出ました。

日本の医療全体の質を高めるには、医療者ないし患者・家族や多くの市民が意見を交わし議論を深め日本国民全体の医療認識を高めることが大事です。


第1回公開質問状を以下に記載いたします。質問の趣旨にもありますが、このような公開の議論の場により、医療機関と患者ないし多くの市民の方が意見を交わし、相互の認識と理解を深め、世界の先進諸国の医療に遅れないように、適切な医療を進める一助にしたいと考えます。この質問状は、ご回答の有無にかかわらずネット上に公開させていただきます。

冬が近づいてきています。くれぐれもお体をご自愛ください。


敬具



*****

         公 開 質 問 状(2019年6月30日 第1回)

第1 質問事項

1.患者の家族の中の悪意ある人物により、経管栄養が操作されるリスクに対して、その予防や検知の対策を採っていますか。採っている場合、その具体的内容を教えてください。

2.複数人の家族の意見から本人の意思を推定する取り組み内容を教えてください。

3.「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の強調する繰り返しの意思確認を実現するために取り組みをしていますか。している場合、その具体的内容を教えてください。


第2 質問の趣旨

 1  林田医療裁判では、経管栄養の管理や治療中止の意思決定のあり方が問われました。林田医療裁判の提起後には、点滴の管理が問題になった大口病院の連続点滴中毒死事件や自己決定権が問題になった公立福生病院の人工透析治療中止問題が起きました。また、「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」は2018年3月に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に改定され、意思確認を繰り返し確認することが求められました。林田医療裁判において問われた争点は「終了」しているのではなく、現代日本の医療の問題と重なり問われ続けています。


 2  そこで、私達は林田医療裁判を経験し又その経緯を知った者として、広く医療の現状と課題について考察し、患者の安全と幸せは何かを探求しています。そして、このような問題は広く社会に公開して議論を深めていくことが、適切な医療を進める上で不可欠であると考えています。とりわけ貴病院は、経管栄養の管理や治療中止の意思決定の問題について直面された医療機関として、適切な医療を進めるためのご意見をお寄せになることが道義的にも期待されるところであると思われます。


3  従いまして、上記の質問事項に回答をお寄せ頂けますよう要請いたします。この質問と貴病院の回答はネット上に公開することを予定しています。このような公開の議論の場により、医療機関と患者ないし多くの市民の方が意見を交わし、相互の認識と理解を深め、適切な医療を進める一助にしたいと考えています。この公開質問状の趣旨をご理解いただき、上記の質問事項に回答を寄せていただきたい、と切に要望します。ご回答を連絡先まで郵送してください。回答締切日を二週間以内にお願い致します。

以上




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