優生保護法被害国家賠償請求訴訟東京控訴審勝訴判決を受けての緊急院内集会が2022年3月17日(木) 12時から衆議院第1議員会館多目的室で開催された。
東京弁護団団長の関哉直人弁護士が判決報告を行った。東京地裁判決は、優生保護法が憲法違反とははっきり言わなかった。これに対して東京高裁判決は、優生保護法が強制的な不妊手術を認めていたことは、憲法13条、14条1項に違反すると判断した。そして、厚生大臣は、憲法を守らなければならないのに、憲法違反の手術を積極的に進めていたため、国は賠償責任を負うとした。
東京控訴人の北三郎さん(仮名)がコメントした。
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3月11日東京高裁での判決 裁判長が時の壁をやぶってくれました 私達に希望の光をくださりおもわず涙があふれ64年間悲しみ苦しみ向き合ってくれた裁判長に感謝いたします 私達をすくっていただき感無量です
国は私達に向き合いもしないで上告するのですか どれだけ苦しめばいいのですか おしえて下さい 上告しないで終りにして下さい
大阪高裁での上告をとり下げて下さい
私達は高齢者ばかりです
裁判にうったえているうち 北海道で1人 宮城で1人 神戸で1人 そして福岡で1人 無念の思いで亡くなっております
1日も早くかいけつをして終りにして下さい あの世迄で無念の思いをもっていきたくありません これ以上苦しめないで下さい 国は上告しないで私達に向き合って下さる事をいのります」
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優生手術被害者・家族の会と全国優生保護法被害弁護団、優生保護法裁判の勝利をめざす全国集会実行委員会は優生保護法問題の全面解決要求書を出した。
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2022(令和4)年2月22日大阪高裁判決及び同年3月11日東京高裁判決で、いずれも国の損害賠償責任が認められた結果をふまえ、優生保護法問題について速やかな全面解決をはかるよう、以下のとおり要求します。
第1 被害を償うに足りる賠償・補償の実施
1 被害を償うに足りる賠償・補償
訴訟の早期全面解決を図るため、上記2つの高裁判決に従って、立法措置により、裁判の提訴・未提訴を問わずすべての被害者に対し、その人生被害を償うに足りる補償を行うこと
2 対象者の拡充
優生手術を強いられた者の配偶者、人工妊娠中絶手術を強いられた者等も賠償・補償の対象とすること
3 請求期限の撤廃
全ての被害者への賠償・補償を実現すべく、除斥期間の適用を行わず、請求期限を撤廃すること
4 被害者への情報の周知の徹底
全ての被害者への賠償・補償を実現すべく、広報周知を工夫・徹底すること
第2 責任の明確化と謝罪
1 謝罪決議
2つの高裁判決で、国会の責任が厳しく断罪されている結果を受け止め、 衆参両院において謝罪決議を行うこと
2 法律における国の責任の明文化
法律において、国が責任の主体であることを明確化し、被害者への謝罪と全面解決に向けた決意を明文化すること
第3 真相究明・恒久対策
1 真相究明、再発防止のための施策の実施
二度と同じ過ちを繰り返さないため、第三者機関による検証等の施策を実施すること
2 優生思想・障害者に対する偏見差別の解消にむけた施策・立法措置の実施
優生思想および障害者に対する偏見差別解消にむけ、教育、啓発等の施策および立法措置を検討・実施すること
3 継続的な協議の場の設置
被害の回復、優生思想に基づく偏見差別の解消にむけた施策の検討など、優生保護法問題の解決に向けた諸課題について、被害当事者団体及び弁護団との継続的な協議の場を設置すること
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