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執筆者の写真林田医療裁判

優生保護法国賠訴訟・東京高裁判決も賠償命令

優生保護法下で不妊手術を強制されたとして、東京都の男性(78)が国に3千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(平田豊裁判長)は2022年3月11日、同法は憲法の幸福追求権などに反しており違憲とし、請求を認めて国に1500万円の賠償を命じた。

The Tokyo appellate court (presiding judge Yutaka Hirata) ordered the government to pay 15 million yen in compensation in forced sterilization trial on March 11, 2022. A 78-year-old Tokyo man claimed he was forced to undergo sterilization under the Eugenic Protection Law and sought 30 million yen in damages from the government.


原告男性は1957年、宮城県の救護院(現在の児童自立支援施設)に入所していた14歳の時に誰からも説明のないまま不妊手術を強いられ、憲法13条が保障する幸福追求権を侵害されたとして、2018年5月、東京地裁に提訴した。東京地裁は20年6月、手術から20年以上が経過し、民法の規定に基づき、賠償請求権は消滅したとして請求を棄却した。


高裁判決は「国は被害者が自己の受けた手術について情報を入手できる制度の整備を怠ってきた。被害者の多くは特定の疾病や障害を有するとして優生手術の対象として選定される差別を受け、生殖機能を回復不可能な状態にさせられたものであり、二重、三重にも及ぶ精神的・肉体的苦痛を与えられた。国の行った施策によって、偏見や差別を社会に浸透させた」と述べた(「旧優生保護法の強制不妊手術、国に賠償命じる判決 東京高裁、2例目判断」京都新聞2022年3月11日)。


平田裁判長は判決言い渡し後、異例の「所感」を読み上げた。男性に「差別されることなく、これからも幸せに過ごしてもらいたいと願います」と語り掛けた上で、「差別のない社会をつくっていくのは、国はもちろん、社会全体の責任。そのためにも、国の責任を不問に付すのは相当ではないと考えた」と話した(「強制不妊、国に賠償命令 原告逆転勝訴、除斥期間適用せず 大阪に続き2件目・東京高裁」時事通信2022年3月11日)。


これは文京七中・早川労災裁判(平成30年(行ウ)第427号公務外認定処分取消請求事件)の東京地裁判決とは大違いである。早川さん側は前もって裁判所に判決理由の要旨の読み上げを求めていたが、三木素子裁判長は「準備ができていない」として読み上げなかった。


優生保護法国賠訴訟の賠償命令は2022年2月の大阪高裁に続いて2例目。国は大阪高裁判決に対して上告した。原告は以下のように批判する。「なぜ国は、私たちの苦しみや長年の辛さをわかってもらえないのか」(「「なぜ苦しみわかってくれないのか」憤る被害者夫婦 旧優生保護法下の強制不妊めぐる訴訟で国側が上告」ABCニュース2022年3月8日)

「簡単な手続きで国が謝りもせずにこの問題を終わらせようとしていること、これこそが障がい者差別だと思います」(「「謝りもせず終わらせようとしている」旧優生保護法訴訟で国が上告『原告夫婦の思い』」MBSニュース2022年3月8日)


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