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執筆者の写真林田医療裁判

新型コロナ感染拡大で社会崩壊

日本医科大学の北村義浩特任教授は2021年4月19日のワイドショー「モーニングショー」(テレビ朝日)で大阪が「医療崩壊ではなく社会崩壊に近い」と指摘した。「自分で治療法を選べない、死に方も選べない確率が高まっている。これはもう社会崩壊」。


個々人が選択できないことを社会崩壊と位置付ける感覚は素晴らしい。これまで日本は医療供給体制が逼迫しているから医療崩壊と供給側本位で考える傾向があった。公務員感覚は現状の供給から逆算して考えがちであり、需要に応えようとする意識に欠けてしまう。


これは #林田医療裁判 (平成26年(ワ)第25447号損害賠償請求事件、平成28年(ネ)第5668号損害賠償請求控訴事件)の問題意識とも重なる。林田医療裁判では患者の長男が入院中の母親の経鼻経管栄養の流入速度を医師の許可なく勝手に速め、延命につながる治療を全て拒否した。治療拒否は患者本人の意思に基づいたものではない。個人の選択が保障されていない。本人以外の人物の意思で治療拒否が決められてしまうならば安心して入院していられない。社会崩壊をもたらすだろう。


新型コロナウイルスの感染が再び拡大している。大阪府の2021年4月14日の新型コロナウイルス感染者は1,130人。東京都の千人超えは年末年始休みの時期のために、個々人が外出抑制して感染を抑制した。大阪府の千人超えは平日であり、強力に業務を中止していかないと接触の抑制にならないだろう。大阪府は14日夜の「第45回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議」で小中学校や高校のクラブ活動の原則休止、大学にはリモートでの授業実施を要請することを決定した。


大阪府の2021年4月18日の新型コロナウイルス感染者は過去最多の1220人。大阪府は週内にも緊急宣言要請を判断する(「大阪、最多の1220人感染 週内にも緊急宣言要請判断」共同通信2021年4月18日)。最早、要請を判断する時期ではなく、要請の行動に移る時期だろう。まん延防止等重点措置の効果を見極めてからと述べているが、現在の人出の状況を見えれば予想できるだろう。そもそも大阪府は緊急事態宣言解除が早過ぎた。緊急事態宣言よりも1ランク落ちる「まん延防止等重点措置」にしたこと自体が、緊急事態宣言早期解除の失策を認めたくないためでないか。


大阪府の吉村洋文知事は19日に緊急事態宣言を政府に要請する考えを示した。宣言が出されれば飲食店や百貨店、テーマパークなどに休業要請を行う方向(「大阪 吉村知事「緊急事態宣言」国に発出要請する考え示す」NHK 2021年4月19日)。


東京都の2021年4月18日の新型コロナウイルス感染者は543人。小池百合子都知事は18日、報道陣に対し「緊急事態宣言の要請も視野にスピード感を持って検討するよう指示した」と語った(「小池都知事「緊急事態要請も視野」…大阪の新規感染1220人、日曜に最多更新は異例」読売新聞2021年4月18日)。東京都は大阪府と異なり、緊急事態宣言を3月21日まで続けた。本音では更なる延長を望んでいたが、政府に押し切られたという見方が強い。東京都は解除後の感染再拡大(リバウンド)を警戒しており、大阪府ほど行き当たりばったり感はない。


厚労省感染症対策アドバイザリーボードのメンバーの西浦教授はコロナ対策を優先し、東京五輪の1年再延期の検討を主張した(「「東京五輪1年再延期の検討を」 西浦教授が提言」文春オンライン2021年4月14日)。英国紙のThe Guardianは社説で東京五輪の中止を主張した(The Guardian view on the Tokyo Olympics: must the show go on?, The Guardian, 12 Apr 2021)。Japan and the IOC must ask themselves whether this event can really be justified.



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