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執筆者の写真林田医療裁判

埼玉県教員超過勤務訴訟さいたま地裁判決

更新日:3月24日

埼玉県教員超過勤務訴訟の判決が2021年10月1日、さいたま地裁(石垣陽介裁判長)105号法廷でなされた。中野相続裁判(平成30年(ワ)第552号・共有物分割請求事件、平成30年(ワ)第2659号・共有物分割請求反訴事件)と同じ裁判官(石垣陽介裁判長、高橋祐子裁判官、牧野一成裁判官)、法廷である。中野相続裁判第20回期日(第19回口頭弁論)と同じ日に判決が言い渡される予定であったが、2週間延期された。埼玉県教員超過勤務訴訟は第20回期日を傍聴した裁判支援者からの情報で知った。


埼玉県教員超過勤務訴訟は、教員の時間外労働に残業代が支払われないのは違法だとして、埼玉県の公立小学校教員の男性(62)が県に未払い賃金として約240万円を求めた訴訟である。労働基準法第32条違反を主張する。超勤4項目以外の時間外勤務が労働基準法違反にあたるかの判断である。


「石垣陽介裁判長は労働基準法上の法定労働時間(1日8時間、週40時間)の規制を超えた労働があったと認めたうえで、残業しなければ業務が終わらない状況が常態化しているとは必ずしも言えないなどとして、賃金や賠償金の支払いは認めなかった」(森下友貴、仙道洸、贄川俊「教員の残業代支払いめぐる訴訟、原告の請求退ける さいたま地裁」朝日新聞2021年10月1日)


一方で判決は末尾に教員の働き方改革や給与体系の見直しの必要性を言及した。「本件事案の性質に鑑みて、付言するに、本件訴訟で顕(あらわ)れた原告の勤務実態のほか、証拠として提出された各種調査の結果や文献等を見ると、現在のわが国における教育現場の実情としては、多くの教育職員が、学校長の職務命令などから一定の時間外勤務に従事せざるを得ない状況にあり、給料月額4パーセントの割合による教職調整額の支給を定めた給特法は、もはや教育現場の実情に適合していないのではないかとの思いを抱かざるを得ず、原告が本件訴訟を通じて、この問題を社会に提議したことは意義があるものと考える。わが国の将来を担う児童生徒の教育を今一層充実したものとするためにも、現場の教育職員の意見に真摯(しんし)に耳を傾け、働き方改革による教育職員の業務の削減を行い、勤務実態に即した適正給与の支給のために、勤務時間の管理システムの整備や給特法を含めた給与体系の見直しなどを早急に進め、教育現場の勤務環境の改善が図られることを切に望むものである」


原告の男性教員は「きょうの判決は、自分は残念です。無賃残業の状態をこのまま日本が認めてはいけない」と話す(「教員残業代未払い訴訟、原告側請求棄却 さいたま地裁」TBS 2021年10月2日)。控訴する方針である。


「1日3時間以上も無賃労働で残業させられていることについては、どう考えても納得がいきません。教員も一般の労働者と同じように1日8時間を超える労働時間を禁止している労働基準法32条を厳格に守らせて欲しいです」(「公立小教員の残業代訴訟、請求棄却 「明日からの希望見えない」原告の男性、控訴の方針」弁護士ドットコム2021年10月1日)


判決への不満の中心は、校長が具体的に指揮命令していないことをもって教員の自主的な判断で行っていたと認定したところだろう。労働の実態と乖離がある。


判決文は以下に掲載されている。

「人間を育てる教員に、人間らしい働き方を」訴訟

判決文



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