中野相続裁判Nakano Inheritance Trialさいたま地裁第20回期日(第19回口頭弁論)2021年9月17日(金)午前10時から開催された。弁論続行となり、第21回期日(第20回口頭弁論)は11月に開催される。これまでのところ、口頭弁論によらない期日は一度のみである。
第21回期日(第20回口頭弁論)
事件番号:平成30年(ワ)第552号・共有物分割請求事件、平成30年(ワ)第2659号・共有物分割請求反訴事件
日時:2021年11月12日(金)午前11時
裁判所:石垣陽介裁判長、高橋祐子裁判官、牧野一成裁判官
場所:さいたま地裁C棟105号法廷
口頭弁論は長男夫婦側が代理人の松木隆佳弁護士、長女側は本人と代理人の新宅正雄弁護士、萩尾健太弁護士が出席した。これは毎回同じ顔触れである。
長女側は準備書面(16)(17)、鑑定及び検証申出書(2)、証拠乙83号証から88号証、訴えの変更申立書(反訴2)を提出した。訴えの変更申立書(反訴2)は長男夫婦側が除外した茶道具などを茶道具分類ノート(乙87)の記載などに基づいて共有物分割の対象に加えたものである。書記官が請求の拡張分の印紙を計算中とのことで次回期日に陳述することになった。長男夫婦側は主張立証については従前通り、訴えの変更申立書に対して次回期日に答弁する。
長女側は第7回口頭弁論で茶道具分類ノートや茶会記の文書提出命令申立書を提出した。茶道具分類ノートは茶道表千家の教授者の母が、所有する茶道具を整理した肉質のノートである。長男夫婦は裁判所の要請で茶道具分類ノートの写しを出したが、それは原本の半分に縮小したもので、不鮮明で読めない写真であった。今回、裁判所は長男夫婦側に原寸大の写しの提示を求めたが、「応じるつもりはない」と回答した。
長女側は検証や鑑定の前提として茶道具等の写真の提示が必要とも指摘した。裁判所は共有物分割の希望があれば口頭弁論終了までに希望の提示を求めたが、写真を見るなど確認しないと公平な選択にならないと指摘した。希望の出し方は次の段階の話と述べた。
長男夫婦側は原寸大の写しも茶道具等の写真も「必要ない」と述べた。これに対して、長女側は「こちらが必要と言っている。反訴しており、立証内容になる」と反論した。長女側は長男夫婦側が提示した縮小版コピーには原本に書いてある字が写っていないこともあると指摘した。長男夫婦の提示した写しはわざわざ縮小されており、読みにくい。時間と労力の無駄である。普通の人は読めない。わざと読めなくしている。
ここで裁判所が別室で進行について合議した。法廷では以下の会話がなされた。
「原寸大の写しの提示を嫌がることが理解できない」
「縮小によって画像が圧縮されるので、それを拡大しても圧縮されたものがぼやけて拡大されるため、読めない」
共有物である茶道具を選択するための情報を提示しないことはアンフェアである。しかも、長男夫婦が提出した茶道具分類ノートは長男の配偶者が書き換えた内容がみられる。数江瓢鯰子を瓢鮨子と間違えて書かれていた。
裁判所は、茶道具等の写真のリストは判決でも必要であるとして、長男側に提出を求めた。長女側の求める検証と鑑定は現段階で必要ないとした。これに対して長女側が「異議がある」と述べた。裁判所は現段階の判断であり、異議の意向はうかがうと述べた。
長男夫婦側には「原寸大の写しは協力いただければと思います」と述べた。応じないとなった場合には文書提出命令を判断するとした。人証は長男夫婦の権利濫用判断のために、長女本人を採用するとした。長女側は権利濫用の判断のためには長男など他の人証の採用も必要と主張した。これに対して裁判所は「次回期日で改めて決めたい」とした。書面などの提出は11月5日までとした。
中野相続裁判は戦前の旧民法のような家制度に対抗する戦いである。不平等な長子単独相続を否定し、全ての男性及び女性が相続財産に平等な権利を持つことを求めるSDGsに寄与する。女性首相が誕生する可能性があるが、戦後にも残存する家長支配の封建的な家制度の解体が社会の方向性である。
口頭弁論終了後の報告集会では早川労災裁判の判決の日時が連絡された。
日時:2012年12月9日午後1時10分
場所:東京地裁709号法廷
口頭弁論は緊急事態宣言下の開催になった。中野相続裁判の口頭弁論の直前に同じ法廷で未払賃金等請求事件(令和3年(ワ)1100号)の第1回口頭弁論があった。複数社を被告としているが、全ての被告が欠席した。事前提出された被告の答弁書は擬制陳述された。答弁書を提出していない被告もいる。窓口で色々話したいことがあると言っていたとのことで、時間を多めにとって次回口頭弁論期日は11月26日午後2時からとなった。
この日は元和光市企画部審議監の業務上横領・詐欺罪の判決言い渡しがあった。傍聴整理券を受け取るための行列ができていた。この事件は市民から預かったキャッシュカードで現金およそ7000万円を引き出し盗んだというものである。さいたま地裁は懲役7年の実刑判決を言い渡した。
審議監は2012年から6年以上、自力で財産を管理できない男性や高齢の夫婦が市に預けたキャッシュカードを持ち出し、合わせておよそ7000万円を不正に引き出した。また、別の預かり金もだまし取った。審議監は、2012年10月から2018年3月まで市の福祉事務所長と保健福祉部長を兼務していた。
さいたま地裁の中桐圭一裁判長は、「職務上の地位を利用して自己の利益を図った非常に悪質な犯行」と指摘した(「預かり金を不正授受 和光市元幹部に懲役7年/埼玉県」テレ玉2021年9月17日)。警察不祥事でも振り込め詐欺被害に遭ったという名目でキャッシュカードを受け取り、預金を引き出した事件があった。
この日は、田中まさおさんの埼玉教員超勤訴訟の判決言渡日であったが、2週間延期され、10月1日の105号室になった。教員の超勤問題を労働基準法第32条違反で訴えた裁判である。超勤4項目以外の時間外勤務が労働基準法違反にあたるかの判断である。
Comments