中野相続裁判さいたま地裁の第8回口頭弁論が開かれた。雨も降らず、さほど暑くもなくお天気に恵まれた。
事件番号:平成30年(ワ)第552号・共有物分割請求事件、平成30年(ワ)第2659号・共有物分割請求反訴事件
日時:2019年7月5日(金)午後11時半
場所:さいたま地方裁判所C棟一階105法廷
裁判所構成:石垣陽介裁判長、工藤正裁判官、高津戸朱子裁判官
長女側は『「和解協議についての意見書」への反論』と証拠(乙70、71)、証拠説明書(8)を提出した。ここでは長男夫婦らが遺産の一つの李朝染付の花入れを目にしていながら、「不見当」と回答した虚偽などを立証した(反論6頁)。
「不見当」は市民感覚とはギャップのある裁判用語である。相手方から文書や物件の提出を求められた当事者が「見当たらない」という意味で使われる。自分にとって不利な証拠を出したくないが、そのような物は存在しないと回答したら、公開法廷で嘘をつくことになる。そこで不見当と、誤魔化す。このように回答すれば、後で物の存在が発覚した時も嘘は付いていないと、言い訳することができる。
この不見当は刑事裁判で弁護人から証拠となる物件の提出を求められた検察官の回答に使われる。たとえば冤罪事件の布川事件では弁護人側が供述調書の開示を要求したが、検察側は不見当と答えた。また、痴漢冤罪を取り上げた映画『それでも僕はやってない』でも検察が不見当と答えている。「不見当」は弁護人側から「不見当でごまかさず誠実に答えるべき」「合理的な説明を求める」と批判される言葉である。これは中野相続裁判にも当てはまる。
裁判所からは和解の枠組みの提案がなされた。この提案は紙で双方に配布された。茶道具以外の遺産の分割はペンディングにしている。長男側に保管場所を記載した見取り図の提示を求めている。これは現物確認をスムーズに行うためのものである。これに対する意見を8月上旬に書面で出すことになった。
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