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執筆者の写真林田医療裁判

中野相続裁判さいたま地裁の第15回口頭弁論

中野相続裁判さいたま地裁はSDGs Target 1.4相続財産の平等な権利確保を目指す。

第17回口頭弁論はコロナ禍のため2021年3月19日(金)11時15分からに延期された。まだまだコロナ禍は予断を許さない。東京都の2021年2月5日の新型コロナウイルス感染者数は577人、埼玉県は227人。埼玉県が深刻なのか東京都が検査していないのか。

東京の人出も増えており、再び感染者が上昇する可能性がある。東京駅では1月7日の再宣言後、いったんは人出が減り始めたが、20日に7日の83%で底を打ってからは上昇傾向に転じ、2月1日には97%にまで回復。4日も92%の人出があった(「「コロナ慣れ」如実に 平日朝の人出、東京駅など増加転じる」産経新聞2021年2月5日)。



中野相続裁判さいたま地裁の第15回口頭弁論が開かれた。今回は通常と異なり、夕方の開催である。

事件番号:平成30年(ワ)第552号・共有物分割請求事件、平成30年(ワ)第2659号・共有物分割請求反訴事件

日時:2020年9月11日(金)午後4時

場所:さいたま地方裁判所C棟一階105法廷

裁判所構成:石垣陽介裁判長、玉本恵美子裁判官、牧野一成裁判官


双方から上申書が提出された。長女側は準備書面(8)と長女本人の述書(乙第73号証)を提出した。第14回口頭弁論から裁判所の構成が変更された。石垣陽介裁判長は変わらないが、工藤正裁判官、高津戸朱子裁判官が玉本恵美子裁判官、牧野一成裁判官に変更された。長女が意見陳述した。

***

本件は単なる遺産分割ではなく、母が死亡に至る経緯と深くかかわっていることをお話しします。


母は、平成19年6月18日 脳梗塞治療の為、立正佼成会附属佼成病院に救急搬送されました。母は、左半身不随になりましたが快方に向かい7月より車いすでリハビリ室に通っていました。


ところが、母が亡くなる前日に長男夫婦は葬儀場に行き母の葬儀日の予約金の支払を済ませていました。病院に戻った長男配偶者は、母の弟子達を集めて葬儀の手伝いを依頼しました。母は、60年以上、表千家茶道と池坊華道の稽古場を運営していたのです。弟子達は「先生まだ生きているのに酷い」と泣いたと聞きました。


翌朝平成19年9月8日、私が病室に行くと、母は頑張って自力呼吸をしていましたが、そのうち「ぜーぜー」と喉に痰が絡んできました。いつもなら、ナースコールのブザーを押して看護師に痰の吸引をしてもらいます。


長男がブザーを持ち、押すような恰好をしたので、私は「看護師の応答はまだかな」と思っていました。長男は母の顔を見ており、やがて母が「ひぇ」と言ってから、長男がブザーを押したのが見えました。看護師から「どうしましたか」の音声が流れ、私は慌てて「早く来てください」と言いました。長男はブザーを持ったまま押していなかったのです。


看護師が来ましたが痰の吸引は間に合いませんでした。喉に痰が詰まって母は見る見るうちに冷たくなっていきました。この後心電図が入ってきて医師が来て「ご臨終です」と告げました。遺体は、長男配偶者の要望で家に帰されず、病院から直接葬儀場に運ばれました。


母の死から2週間くらい経ったころ、長男は「仏壇の戸袋からこんなものが出てきたよ」と母が書いたという遺言書を出しました。しかし、この小型仏壇には戸袋がありません。それどころか定型封筒を折らずにしまえる場所もありません。長男の言葉は不自然でした。そのころ、私は弟子達から、以前病院で母が私に話した「見本があってこの通りに書いてと言われ、見ている前で書かされた。長女がいじめられる。ご飯を食べさせない」など同じ内容を聞かされ、書かされたのは遺書のことだったのかと思い当たりました。長男夫婦は、母が亡くなる2年前87歳の母に自分たちの意に沿う遺言書を書かせたのです。


長男が、母の生前より母が所有する土地の所有権移転登記を内緒で行っていたことが判明しました。


長男配偶者は、母の遺品の茶道具、着物、帯など「全部私の物よ。遺言書に書いてあるでしょう」と主張して、私という実の娘がいるのに着物1枚分けませんでした。


母が亡くなって以来、長男夫婦は、母の遺品の占有を続けて私には十分な情報を提供しないで来ました。それどころか長男夫婦は、母の生前より母の預金から現金を引き出していました。


母の死から2年経っていましたが、母の遺産に関する前件訴訟の東京地裁において、母の病状説明の為に、長男は母の入院診療録を乙第82号証として提出しました。入院診療録を見て衝撃を受けました。


長男が「リハビリに行くのが遅くなる」との理由で母の経鼻経管栄養の注入速度を速めたのですが、入院診療録によると、母は嘔吐して誤嚥性肺炎を発症したこと、しかし長男は、誤嚥性肺炎になった母を治すのではなく、その治療途中で数々の治療を拒否したこと、母の容体が悪化して呼吸困難になると、長男は、喘いでいる母の苦しみを和らげようとはせず、酸素マスクまで拒否して自力呼吸を死ぬまでさせたことが分かったのです。


東京地裁・高裁の判決では、長男が注入速度を速めたことは違法行為と認めました。また長男の数々の治療拒否・酸素マスク拒否を認めました。このような長男が、母の遺産を相続する資格があるのか、高齢者医療のあり方、生命に対する倫理が問われています。

以上の実情に相応しい判断をお願いいたします。

***

事件の核心を突いた陳述である。母の臨終の場面では、声が震えてしまった。泣き出すのではないかと思われた。口頭弁論終了後の報告集会で長女は「臨終の場面が引っかかっている。そこが出発点だった」と語った。


口頭弁論では長男側が提出した茶会記や茶道具分類ノートの写しが問題になった。写しと言っても、縮小されていたり、不鮮明であったりと読めない点が多々存在していた。茶会記は史料にもなるものである。茶会記録を収録した書籍が史料と位置付けられている(高橋箒庵著、熊倉功夫編『昭和茶道記 (近代茶会史料集成)』淡交社、2002年)。


長男側が提出した茶会記や茶道具分類ノートの写しは1枚の紙に2枚の写真を掲載しているが、これはわざわざ読みにくくする不自然な方法である。元のデジタルデータを縮小しており、わざと見えにくくしている。パソコンで印刷する際は、一つの画像が一枚の紙全体に出力される。長男の代理人の松木隆佳弁護士は「これをそのまま引き延ばして大きくしてもぼやけたところはそのままです」と裁判長に縮小した不鮮明なコピーを出したことを正当化した。これは不誠実な発言である。


一つの画像ファイルはパソコンでは特に操作しない限り、1枚の紙を最大限に使う形で印刷される。長男側はわざわざ1頁に2枚の画像を印刷している。1頁に2枚の画像を掲載する時点で画像は圧縮されて、細かなところは潰れてしまう。潰れたものを拡大しても、ぼやけたことになることは当たり前である。そのような印刷物を出して拡大しても潰れたままというのは当たり前である。このような不誠実な写真撮影では茶道具の写真も長女側が自ら行う必要があるだろう。


長女側は準備書面(8)で原本の開示を求めた。松木弁護士は茶道具分類ノートの原本を閲覧に提示した。茶道具分類ノートはルーズリーフ形式である。新しい紙質の頁が挿入されているなど長女は疑問点を指摘したが、松木弁護士は「分からない」としか回答しなかった。疑問に答えようとする姿勢が皆無である。しかも、預かってコピーを取得することの依頼を拒否した。長女は相続人であり、共有者である。長女の権利を無視している。





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