林田医療裁判の立正佼成会附属佼成病院と透析中止事件の公立福生病院は労働問題が起きた点で重なる。医療問題と労働問題は密接に関係している。佼成病院では小児科医過労自殺訴訟が起きた。小児科医が病院屋上から飛び降りて亡くなった。
公立福生病院ではパワハラ裁判がある(「パワハラで組合提訴 公立福生病院職員「長時間罵倒された」」産経新聞2018年2月7日)。事務職員の男性が上司からパワーハラスメントを受けたとして病院を運営する福生病院企業団(企業長・松山健院長)に慰謝料など約550万円を求めて提訴した。
男性は同病院の医事課長だった2016年秋頃から連日、上司の男性事務次長に「何一つできもしない一番程度の低い人間」「ばかやろう」「生きている価値なんかない」「うそつきと言い訳の塊」などと長時間に渡って罵倒されるパワハラを受けた。男性は眠れないといった症状を訴えるようになり、17年4月に適応障害と診断されて休職した。4カ月後に復職したが、謝罪や再発防止の措置はなかった。
東京地裁立川支部(吉田尚弘裁判長)は2020年7月1日、男性の主張をほぼ認め、企業団に約200万円の支払いを命じる判決を言い渡した。判決は事務次長の行為について「著しい人格否定の言葉を投げつけ、合理的理由に乏しい叱責を一方的に浴びせており、全体として悪質」と認定。ハラスメント防止の責任者でもあった事務長の安全配慮義務違反も認めた。
事務次長と事務長は19年3月に定年退職している。男性を支援する労働組合「東京管理職ユニオン」によると、病院内では他にも複数の職員が男性と同様にパワハラによって心の病となり、退職した人もいるという(「公立福生病院パワハラ訴訟 企業団に200万円賠償命令 「著しい人格否定」地裁立川支部判決」毎日新聞2020年7月2日)。
男性は会見で「病院側に謝罪してほしい。他の職員も被害を受けており、再発防止のため全体像の調査が必要だ」と訴えた(「上司パワハラ、慰謝料命令「精神的苦痛与えるもの」」日刊スポーツ2020年7月2日)。
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