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執筆者の写真林田医療裁判

新型コロナウイルス自宅療養は命の選別

新型コロナウイルス感染症の自宅療養は命の選別である。新型コロナウイルスに感染しても入院できず、自宅療養を余儀なくされる。医療を求める人に医療が提供されていない。健康保険料の払い損になる。


治療戦略として自宅療養は愚策である。早期治療のセオリーに反する。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)には早期発見早期治療がかかせない。重症化した後の入院治療は困難を極める」(「早期発見早期治療へ」医療ガバナンス学会MRIC Vol.176 2021年9月13日)


自宅療養中に容態が急変して亡くなることもある。2021年8月は変死遺体で過去最多となる250人が新型コロナウイルスに感染していた。2020年3月からの合計は817人である(「8月の変死遺体、最多250人がコロナ感染」共同通信2021年9月13日)。自宅に放置されて死亡して変死扱いされる。公務員は責任逃れの論理が狡猾である。


東京都杉並区の田中良杉並区長は「トリアージは医療現場に押し付けず東京都がガイドラインを作るべき」と述べ、命の選別発言と批判された。患者の権利の守る会「公開質問状(27)」でも言及している。


その杉並区で保健所が対応を打ち切った40代の男性が死亡したことは象徴的である。男性の父親は以下のように語る。「(男性は)『保健所は全然、連絡がつかない』って。いくら電話を掛けてもね。『どうしようもない』って。(行政は)何もやらないんだから、もっと早く診てやってくれてれば」(「1人で療養中の40代男性死亡 保健所が対応打ち切り」テレビ朝日2021年8月31日)


介護施設でも新型コロナウイルス感染者が出ても病院に搬送できず、施設に「留め置き」される例がある。「放置は虐待のひとつだ。そこに「看取り」の前倒しはないのか!? 入居者本人が、家族が、国を、行政を、医療機関を <訴える日> は近い」(山口道宏「保健所「看取り」を誘導は本当か>コロナで「留め置き」される介護施設」メディアゴン2021年9月19日)


日本政府は新型コロナウイルスの緊急事態宣言を2021年9月末で全て解除することを検討していると報道された。これまで緊急事態宣言の解除後に感染拡大の波が来ることを繰り返してきた。既に感染拡大の第六波が来ると予想されている。目の前の数字だけを見て政策立案することは失敗を招く。


「コロナ禍における<いのち>の軽視とも見える政府や行政の動きの鈍さの裏には、その歴史が抜きがたく横たわっている」(今野哲男「麻生太郎「コロナは曲がりなりにも収束」発言に思う「死」を眼差す視点の薄さ 『<反延命>主義の時代』で知る<いのち>の選別の歴史」論座2021年9月13日)




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