死後の脳細胞の一部の機能回復を回復させる研究に成功したとアメリカのイェール大学などのグループが2019年4月17日に発表しました。科学誌Natureに発表しました(Restoration of brain circulation and cellular functions hours post-mortem, Nature volume 568, 336-343, 17 April 2019)。
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1099-1
死後4時間経過したブタの脳に血液の代わりをする液体を循環させたところ、海馬など脳の一部の細胞が動き、酸素やブドウ糖を消費して神経の信号の伝達に関わる部分が働いていたことが観察されました。脳の死後も少なくとも数時間は維持できる細胞があることを示しました。
脳組織の破壊は不可逆的で回復しないとする定説を打ち破る画期的な発表です。今回の研究でも意識や知覚を表す脳波は確認できていませんが、研究の進展によって脳梗塞からの回復にも期待が持てます。昨今の医療は尊厳死や安楽死などの名目で死なせる、臓器移植させる方向に傾きがちですが、その前提も見直しが求められるでしょう。
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