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  • 執筆者の写真林田医療裁判

中野相続裁判さいたま地裁の当事者尋問

更新日:2022年2月3日

#中野相続裁判 #さいたま地裁 第22回期日(第21回口頭弁論)が2022年1月28日(金)午後1時30分から行われた。長女が当事者尋問に答えた。長男夫婦が治療拒否や酸素吸入拒否で治療やケアに最善を尽くさなかったことなどを話した。


次回期日は以下である。

日時: 2022年4月22日(金)午前11時

場所:さいたま地裁C棟105号法廷

事件番号:平成30年(ワ)第552号・共有物分割請求事件、平成30年(ワ)第2659号・共有物分割請求反訴事件

裁判所:石垣陽介裁判長、高橋祐子裁判官、牧野一成裁判官


長女側は訴えの追加的変更申立書(反訴3)を提出した。遺品の茶道具分類ノートへの書込み・書き換え・改ざんに対して50万円の損害賠償を請求した。母親の遺品に書込み・書き換えをされたことで精神的苦痛を受けたとする。長男夫婦側は損害賠償請求に対して答弁書を提出して本訴訟で争う意思を示した。


ところが、裁判所は改竄について新たに審理すると時間を要するとして変更申立書を却下した。却下に対する代理人の不服は調書に記録するとした。裁判所は、損害賠償請求を別訴で行うものと述べた。中野相続裁判は、まだまだ続くことになる。


長女側代理人「陳述書(1)乙21、(2)乙25(3)乙43、(4)乙53、(5)乙73,(6)乙82、(7)乙83、(8)乙89は、あなたが書いたものか」

長女「はい」

代理人「母はいつ頃から茶道教室を始めたか」

長女「1950年頃」

代理人「茶道の流派は何か」

長女「表千家」

代理人「表千家とはどのような流派か」

長女「千利休を祖とし、伝統を重視する」

代理人「母から茶道を教えられることがありましたか」

長女「3歳の頃、母が茶道教室を始めたころから茶道の指導を受けていた」


代理人「中野の建物は平成15年にリフォームされたのか」

長女「はい」

代理人「母はリフォームに際してどうして欲しいと言っていたか」

長女「1階に茶室を置き、つくばいで手を洗って入るようにしたい、狭くても露地のある茶室が欲しい、などを言っていた」

代理人「1階に茶室を置くというのは、どういうことか」

長女「茶室は露地とつながっているもの。1階に茶室を置くことが必要」

代理人「露地とは何ですか」

長女「茶室への通り道。清掃された露地を通り、塵を払い、蹲で手を洗い、口を漱ぎ清められて茶室に入る」

代理人は茶室と露地の写っている写真を証拠として提示して、茶室と露地を確認した。


代理人「1階はどのようにリフォームされたか」

長女「長男夫婦の寝室、キッチン、浴室、トイレ、洗面など全部を改造された」

代理人「母は1階に茶室を置きたいと言っていたということだが、それはどうなったか」

長女「1階に茶室を置く母の希望は叶わなかった」

代理人「リフォーム前は、2階はどのようであったか」

長女「母の寝室は、リフォーム前は、一間の押入れがあり、箪笥を置くスペースが別にあったので丸々4畳半使えるゆったりした部屋であった」

代理人「2階はどのようにリフォームされたか」

長女「茶室はそのままであるが、ホールを広くした。そのため母の部屋を狭くして3畳ぐらいの物置にしてベッドを置いて母の部屋にした」

代理人「母の部屋は具体的にはどうなったか」

長女「天井まで物がいっぱい詰まれた中にベッドを置いた縦長の狭い部屋になった」


代理人「母は、平成19年6月18日午前、救急車で佼成病院に入院した。お見舞いに行ったか」

長女「毎日のようにお見舞いに行った」

代理人「容態はどのようであったか」

長女「順調な回復と共に7月よりリハビリが始まり、医師より退院の指示も出ていた」

代理人「長男は、9月の初め頃、寿美さんの容体についてどう言っていたか」

長女「「近いうちに主治医から延命についての説明がある。その時皆で集まる」と言われた」


代理人「母の死後、遺言書の話は出たか」

長女「初七日から20日位過ぎた頃、お参りに行った際、長男が仏壇の戸袋で遺言書を発見したと言った」

代理人「それを聞いてどう思ったか」

長女「仏壇には戸袋がないため、おかしいなぁと思った。長男は、裁判所で開けるのもなんだから、49日の法要のあと皆で集まって遺言書を開けようと言った」

代理人「それで貴方はどうしたか」

長女「検認しなければいけないと述べた」

長男「これに対し長男はどう言ったか」

長女「検認に大反対し、遺言書が入っているとされる封筒をかざして「本物に間違いない。俺か配偶者が書いたというのか」と逆上した」


母の臨終の場面を証言した。

「母は、喉に痰が絡んでぜーぜーしていた。長男はナースコールのブザーを持ったまま母の顔をじっと見ていた。母が「ひぇ」っと声をあげた時に長男はブザーを押しました。すぐ看護師さんが来てくれましたが間に合わなかった」


代理人はカルテを提示した。

代理人「診療記録によると、8月17日に「誤嚥性肺炎のためDrよりリハビリ休止の指示」と記載されている。この記録をみて思い当たることがあるか」

長女「8月15日に母がリハビリ室に行ったが、気分を悪くして病室に戻りベットに寝た時にクリーム色のどろっとした液体を多量に嘔吐した」

代理人「長男は8月15日に経鼻経管栄養の流入速度を速めた。何故、経鼻経管栄養の流入速度を速めたのか」

長女「「時間がかかり過ぎる、リハビリに行くのが遅くなる、40分で良いのだ」と言って、速めた」

代理人「カルテには「抗生剤変更、増強したいところではあるが、family(原告夫婦)は、やんわりとではあるが高度医療は拒否されている」と記載されている。このカルテを見て、貴方はどのような認識を持たれたか」

長女「母の命を否定するもので許しがたいと思った」


代理人「9月7日のカルテには「family(息子)コールの上ナチュラルの方針を確認」と記載されている。これはどういうことだと認識されているか」

長女「ただ死を待つだけと思う」

代理人「この死を待つだけという方針を知っていたか」

長女「いいえ。カルテを見て初めて知った」

代理人「カルテの記載をみて、どのような認識をもっているか」

長女は言葉に詰まった後に答えた。

「母はさぞ苦しかったと思う。母を助けることができなかったのが悔やまれる」


長女側代理人からの反対尋問はなかった。

牧野一成裁判官と石垣陽介裁判長が補充尋問を行った。

牧野裁判官「茶道教室には跡継ぎを定める儀式はあるか」

長女「そのようなものは定められていない」

牧野裁判官「長男配偶者さんを後継者とするという話はあったのか」

長女「ない」

牧野裁判官「自分が受け継ぐものと考えていたか」

長女「はい。小さい頃から母に茶道具をあげる、着物をあげると言われてきた」

牧野裁判官「入院中に見舞いに行っていたとのことであるが、主治医と話すことはあったか」

長女「ない。看護師に言われて手をさすったり、話しかけたりしていた」

毎日のように病院に行っていたら、主治医と会う機会も多いだろうと考えることは病院の組織構造から正しくない。医師の入院患者への回診は大名行列と揶揄されるようなものであり、見舞いの人が遭遇するものではない。病院の設定する面会時間は、回診の時間とは別に定めている。

牧野裁判官「前訴でも本訴でも和解協議が行われたものの、まとまらなかった。あなたが最も受け入れられないと考えた理由は何か」

長女「茶道具等の価値が低く扱われていること」

石垣裁判長「表千家同門会に所属とありますが、表千家には様々な流派があるのか」

長女「流派は一つ。会は色々とある」

石垣裁判長「母は表千家からどのような免状をもらっていたのか」

長女「表千家の免状には入門、茶通箱(さつうばこ)、唐物(からもの)、台天目(だいてんもく)、盆天(ぼんてん)、乱飾(みだれかざり)などがある。母は乱飾を持っていた。」

石垣裁判長「茶道教室は千代田区神田から飯田橋に移転したのか」

長女「はい」

石垣裁判長「茶道と華道の両方を教えていたのか」

長女「はい」

石垣裁判長「弟子の人数はどれくらいか」

長女「時期によって異なる。50人くらいいた」

石垣裁判長「祖父も茶道をしていたのか」

長女「はい」

石垣裁判長「遺品には祖父から受け継いだ茶道具もあるか」

長女「少しある」

石垣裁判長「母は茶道具をどこで購入していたか」

長女「馴染みの道具屋が多い。後年は作家がデパートで作品展を行い、そこの即売会で購入することが多くなった。出所が明確になる」

石垣裁判長「自身で足を運んで気に入ったものを買い求めたのか」

長女「はい」

石垣裁判長「茶道具等を自身で把握しているか」

長女「(何があるかというレベルでは)大体は把握しているが、現物を見ないと分からない」

代理人が再尋問をした。

代理人「長男が医師から延命の話があると言われたとのことだが、実際に説明はなされたか」

長女「なかった」


長女側は期日間に送付した準備書面(19)を陳述した。そこでは「裁判所による検証及び鑑定に代えて、その私的実施としての現物確認を行うならば、それは、茶道具等に対する選択権行使及び遺産分割の公平性を担保する生命線としてなされなければならない」として、長男夫婦らに現物確認の日時と期間の提案を求めた。これに対して長男夫婦の代理人は「応じられない」とした。


長女代理人「茶道具分類ノートの原本の閲覧を求める」

長男夫婦代理人「応じられない」

長女代理人「証拠説明書の茶道具分類ノートの作成日欄が空欄になっている。ここを記載して欲しい」

これは第22回期日でも指摘したことである。茶道具分類ノートは母の遺品であるが、証拠説明書では作成者を母と長男配偶者にしている。茶道具分類ノートの改竄を裏付けるものである。作成日を空欄にしていることは、いつ改竄したかを特定されたくないためかと疑われる。

長男夫婦代理人「可能な範囲で提出した」

長女代理人「書いていないのは、可能な範囲ではない。幅くらい書けると思うが」

裁判所「特定できないか」

長男夫婦代理人「難しいとしか言えない。茶道具等の写真の作成日は令和3年という程度は補充できる」

調書は3月頭くらいに代理人に届く見込み。書面などの提出締め切りは4月15日。


第22回期日は、まん延防止等重点措置期間であったが、開催された。これは第18回期日(2021年5月14日)、第19回期日(2021年7月16日)と同じである。

これまで中野相続裁判さいたま地裁はコロナ禍で以下の影響を受けている。

第14回期日は2020年4月10日の予定であったが、緊急事態宣言中であり、7月19日に延期した。

第17回期日は2021年1月29日の予定であったが、緊急事態宣言中であり、3月19日に延期した。口頭弁論を予定していたが、弁論準備手続きとなり、当事者は電話会議で参加した。


口頭弁論終了後は報告集会とサイゼリヤで交流会を行った。まん延防止等重点措置期間であったためにテーブルは分かれ、お酒はなしとなった。



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