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  • 執筆者の写真林田医療裁判

中野相続裁判さいたま地裁第19回期日報告

中野相続裁判Nakano Inheritance Trialさいたま地裁第19回期日(第18回口頭弁論)が開かれた。東京都は緊急事態宣言、さいたま市はまん延防止等重点措置の中での開催になった。


事件番号:平成30年(ワ)第552号・共有物分割請求事件、平成30年(ワ)第2659号・共有物分割請求反訴事件

日時:2021年7月16日(金)午前11時15分

裁判所:石垣陽介裁判長、高橋祐子裁判官、牧野一成裁判官

場所:さいたま地裁C棟105号法廷


長男夫婦側も長女側も準備書面を陳述し、証拠を提出した。長女は訴えの変更申立書を提出した。訴えの変更申立書については裁判所で訴額の計算をするため、本日は留保とし、次回期日に持ち越しとなった。


訴えの変更は分割対象の茶道具の追加である。茶道具分類ノートの写しに長女が把握していない茶道具が存在したため、それらを分割対象に加えた。茶道具分類ノートは頑なに長男側が開示を拒否し、裁判官の要請により、ようやく開示したものである。長男側が遺産の一覧を相続人に開示していない事実が判明した。


茶道具分類ノートの写しから長女が指摘しなければ長男側が茶道具の存在を認めないことは資産隠しの意図があるのではないか。口頭弁論終了後の報告集会で「正々堂々と遺産の一覧を出していたら、違った形になっていた」との声が出た。裁判に対する冒涜である。裁判官に対する冒涜である。これは裁判そのものの根本に通じる問題である。


裁判官が玉本恵美子裁判官から高橋祐子裁判官に変わったことから、長女が更新の陳述を行った。陳述の内容は以下である。

***

2007年6月18日、母は脳梗塞で佼成病院に入院しました。7月に入り母は、快方に向かいリハビリを始め医師より退院を示唆されました。7月9日母は、私に「見本があってこの通りに書いてと言われ見ている前で書かされた。ご飯を食べさせない。XX(長女の名前)がいじめられる」などを話しました。


そのため私は、前件訴訟東京地方裁判所で、「兄夫婦は母に遺言書を書くことを強要した」と主張しました。これに対して兄は、「母の病状は重く入院中には話しはできなかった」と反論しました。そして「入院診療録」(カルテ)を提出しました。


兄は自身を正当化するためにカルテを提出したのですが、カルテには、順調な経過とともに「7月3日リハビリ開始となる」と書かれていました。ところが、兄が、入院中の母の経鼻経管栄養を速めた後、母は嘔吐して誤嚥性肺炎になったことが書かれていました。その後に兄がとった行動については、母を生かすのではなく治療拒否が書かれているので驚きました。


さらに容体が悪化して呼吸困難になった母に対する「酸素マスク拒否」も書かれていました。9月7日の欄には、「このまま治療をしないで『自然死の方針を確認』と書かれていました。


カルテが提出されたときには、母の死から2年経っていましたが、カルテは正直でした。一体どうなっているのだ、と怒りが生じました。


2007年9月7日には、母は、苦しそうでしたが生きようと頑張って呼吸をしていました。私は、兄夫婦の治療拒否・酸素マスク拒否を知らず、母を助けることが出来なかったことが悔やまれます。


母の死に顔は、酷く苦しそうでした。苦しくても訴えることもできず、死ぬがままにされている恐怖は、尊厳のかけらもない姥捨てではないでしょうか。

兄夫婦は、親子の絆を断ち切ったのです。

***


口頭弁論終了後の報告集会では長女の陳述について「目に浮かぶようで涙が出た」との感想が寄せられた。


長女側の代理人弁護士は「長女の準備書面には今までとは異なる新たな理屈が書かれているので反論する」と述べた。例えば長女の準備書面では争点効に言及するが、争点効を認めるならば判決理由で述べた約2分の1の分割割合が正しいとなる。


また、長男は入院中の母親の経管栄養の流入速度を速めた。林田医療裁判の東京地裁平成28年11月17日判決(平成26年(ワ)第25447号損害賠償請求事件)は長男の行為を違法と認定した。違法と認定されたことは中野相続裁判の前件訴訟の後の出来事であり、蒸し返しには該当しないと述べた。


次回の第20回期日(第19回口頭弁論)は2021年9月17日(金)午前10時からとなった。書面などの提出は9月10日となった。



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