立正佼成会附属佼成病院に49回目の公開質問状を送付しました。公立福生病院の医師達3人の論文が日本透析医会雑誌に治療法の意思決定について記載されました。論文には福生病院透析中止事件に触れていませんが、透析中止事件を教訓として採用したものなのか、単に理想的な医療のあり方を述べているだけなのか定かではありませんが、内容的には患者の意思決定が問われた林田医療裁判と重なりますので今回のテーマとしました。ご覧いただければ幸いです。
立正佼成会附属佼成病院 病院長 市村正一 様
公 開 質 問 状(49) 2023年2月9日
2月に入りいくらか日足も延び寒さも緩んだように思われます。
市村院長先生にはお変わりなくご健勝のこととお喜び申し上げます。高齢者の命の大切さ、たった一つの命にこだわって49回目の公開質問状をご送付致します。
まず、昨年12月の公開質問状電子メールでは、受け取り拒否で返却されましたが本年1月は返送されませんでしたことをご報告致します。
中林巌、植木博子、濱耕一郎「公立福生病院における腎代替療法選択の実際と透析非選択患者の経験」日本透析医会雑誌37巻2号(2022年)に治療法の意思決定について論文が掲載されました。
論文では、療法選択の最終決定権者は患者本人であること、治療法の長所と短所を十分に尊重すること、医師の理念を患者に押し付けないこと、家族の意見や考えも可能な限り反映すること、方針の変更が可能であること、自己決定が後の自分自身にとって極力後悔が少ない支援を心がけている、などが書かれています。
また「透析非選択患者の場合は『医療選択医師確認書』を記載するが、そこには単に透析を拒否する意向だけではなくその理由について自筆で書くことになっている。そして同一書面に家族の意見や考えなども可能な限り記載することにしている。もちろん記載後の意思変更も可能であることを患者や家族に説明し、都度確認することは必要である」とも書かれています。
公立福生病院では透析中止事件が起きました。透析中止事件の裁判は「透析中止の判断が患者の生死にかかわる重大な意思決定であることに鑑みると、一件記録上、本件患者に対する透析中止に係る説明や意思確認に不十分な点があったといえる」として2021年10月5日、東京地裁で訴訟上の和解が成立しました。裁判所は、救命治療(根治治療)と延命治療(対処医療)という区別をせず、「生死に関わる意思決定」は差別なく、「慎重かつ丁寧な説明」をする要求をしました。
論文では福生病院透析中止事件に触れていませんが、透析中止事件を教訓として新たに採用したのか、方針は存在していたが、透析中止事件では機能していなかったかは不明ですが、論文は、公立福生病院透析中止事件を教訓として医療のあり方を書いたものでもあると考えられます。
これは、患者の意思決定が問われた林田医療裁判と重なります(平成26年(ワ)第25447号損害賠償請求事件、平成28年(ネ)第5668号損害賠償請求控訴事件)。林田医療裁判では、佼成病院が家族らに相談なく独自の方法で決めたキーパーソンとされた患者の長男の意見だけで治療拒否の方針が決められました。
長男が母の治療を拒否したら岩﨑医師はその日に誤嚥性肺炎の治療をやめました。当然、容体は悪化して呼吸困難になるも岩﨑医師は、長男の酸素マスク拒否にも応じました。
家族が岩﨑医師から聞いたのは、呼吸が出来ず喘いでいる母の面前で「苦しそうに見えますが今お花畑です」と述べたこの言葉だけでした。実際、この日の朝、岩﨑医師と長男はこのまま何もしないで母を死なせる確認をしました。しかし何も知らない他の家族らは、母の治療は尽くされているもの、と信じていました。
裁判で岩﨑医師は、長男の治療拒否は、岩﨑医師の理念を踏まえて選択したと陳述しました。佼成病院では、長男以外の家族の意見は確認されず、方針の都度確認や見直しもなされませんでした。
本書面の質問事項3.で質問していますが、佼成病院で行われた治療中止の手続きはガイドラインとは全く違っているのでお尋ねしているところです。
従いまして、質問の趣旨をご理解いただきご回答を要請しております。適切な医療を進める上でもご回答をお寄せ下さることが道義的にも期待されます。
いつものように第1回公開質問状を以下に掲載いたします。市民と共に医療のあり方を考え議論を深めるためにこの質問状はご回答の有無に関わらずネット上に公開させて頂きます。
草々
公開質問状本文は下記にあります。
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