文京七中・早川労災裁判の第11回期日が開催される。林田医療裁判・中野相続裁判は早川労災裁判と相互支援している。早川労災裁判は公務災害を求める訴訟である。この裁判には公務災害認定請求書握り潰し訴訟という前段がある。複数の裁判が行われる点も林田医療裁判・中野相続裁判と重なる。
日時:2021年3月11日午後4時
場所:東京地裁709号法廷
裁判長:三木素子、右陪席:豊田哲也、左陪席:根岸聡知
原告の早川さんは東京都の中学校教員であった。板書などで頚肩腕障害を発症し、公務災害を申請しようとしたが、学校側から申請用紙の提供拒否や申請の受付拒否を繰り返された。そこで早川さんは2006年に公務災害認定請求書握り潰し訴訟を提起した。
具体的には以下を求めた。
・地方公務員災害補償基金に対して、請求書を都教委に受理させなかった不作為の違法確認
・都教委に対して、請求書の受理と基金への送付義務付け
・基金と東京都に対して、請求書未送付の不作為の損害賠償
この裁判では2012年に東京都に慰謝料等50万円の支払いを命じる判決が確定した。裁判では基金の責任は認められなかったが、基金の運用が変更された。
「基金本部が全国に「事務連絡」を発して「災害補償の手引」が一部改正され、所属部局長が災害発生状況の把握が困難な場合は、証明困難である旨を証明欄に記載して提出すること、長期間証明がなされない場合には被災職員等から基金支部長に対し直接認定請求がなされることが明記されるようになった。これは重大な実務の変更であり、原告と組合、支援の仲間で勝ち取った誇るべき画期的成果である」(一審原告 早川由紀子、全国一般東京労組文京七中分会、早川由紀子さんの不当免職撤回を支援する会、公務災害認定請求書握りつぶし訴訟弁護団「公務災害認定請求書握り潰し訴訟 最高裁での対東京都勝利判決確定声明」2012年3月15日)
往々にして日本では労働問題に対して部署内の直接的なコミュニケーション活性化で何とかしようとする昭和的な解決策が採られる傾向がある。たとえば昭和の精神論を振りかざす上司に困っているとの相談がある。「60代後半の上司がいかにも“昭和の考え方”でついていけません。精神論を振りかざし、「やるしかないだろう」が口癖です。あまりの激務で部下が一人体調を崩してしまったのですが、人員の補充がないまま半年がたち、残ったメンバーの心身も限界です」
これに対して菅義偉首相は「コミュニケーション不足により上司とあなたの間に認識のギャップや軋轢が生じているのだとすれば、双方の心がけと行動によって、それを解消することが先決です」と答えた(『第99代総理大臣 菅義偉の人生相談』プレジデント社、2020年)。これ自体が昭和のコミュニケーション至上主義になる。「メンバーの心身も限界」と言う深刻な状況の解決策にならない。
これに対して公務災害認定請求書握り潰し訴訟では部署の職制を通さずに直接請求できるようにした。21世紀的な解決策である。
公務災害認定請求書握り潰し訴訟の後に公務災害認定を求める訴訟を起こした。第8回期日は2020年9月24日午前10時から東京地裁709号法廷で行われた。早川労災裁判も中野相続裁判と同じく新型コロナウイルス感染症によって期日が延期していた。
第10回期日は2021年1月28日午後4時30分から東京地裁709号法廷で行われた。中野相続裁判さいたま地裁第17回口頭弁論と異なり、緊急事態宣言下でも開催された。早川さん側は頸肩腕障害発症原因のビデオを証拠として申請した。これは実際に板書する姿を撮影したビデオであり、板書が体に負担がかかることを示すものである。
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