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執筆者の写真林田医療裁判

医師ヒアリング

医療紛争の続発は、組織による学習の貧困や欠如を物語る。病院は下痢を放置していた。下痢をすると栄養やカロリーを吸収できないので、血糖が不安定になる。上がったり下がったりする。

質問:血液検査結果で改善していると解釈できるか。

医師:改善しているとは言い難い。

質問:その根拠は?

医師:改善しているかどうかは良く分からない。まだ二日しか経っていないでしょう。不明。

質問:白血球は減っている。面会者は状態が良くなっていると感じた。

医師:それならば良くなっているのですかね。全身状態が良くなっていれば良くなっているのでしょう。酸素状態が良くなっているならば良くなっている。

質問:CRPは遅れて反応するもので、CRPの値は改善と解釈して良いか。

医師:CRPで判断するものではない。酸素状態が改善されているならば改善している。

質問:8月20日の医師記録に長男が延命を拒否したとある。延命につながる治療を全て拒否した。

医師:15日に経管栄養を嘔吐している。腸の方に食物が流れていない。点滴でやるしかない。

質問:20日の時点では嘔吐は15日と16日のみ。嘔吐の原因は明らかにされていない。

医師:末期かどうかは分からない。経過を観察する。中心静脈栄養(IVH)ではなく、経管栄養にした理由は不明である。点滴の代わりに栄養を入れなければならないから、経管栄養にしたのではないか。

質問:経管栄養を改めてすると嘔吐する危険はないか。

医師:やってみないと分からない。腸の運動は良いので、経管栄養をするのは悪くない。

質問:当直医は腹部膨満気味との所見であるが。

医師:IVHは長くできない。感染のリスクがある。私は、IVHは基本やらない。基本は経管栄養。腸から吸収させないと。

質問:嘔吐の原因不明な中で経管栄養を再開すると、誤嚥性肺炎を繰り返すリスクが高いとは予測できないか。

医師:嘔吐するかどうかは、やってみないと分からない。再開後に嘔吐として諦める。

質問:ガーレー様の排液の記録がある。

医師:無理ではないか。

質問:ガーレー様の排液があると、経管栄養をすべきではないと言えるか。

医師:そこまでは言えない。自分でも行うかもしれない。

質問:病院は誤嚥のリスクを避けて、すぐに経管栄養にしたのではないか。食べられないから経管栄養にしたのではない。

医師:どうすれば良かったか。

質問:食べられるか試すべきだった。

医師:安易に経管栄養にしてしまったということか。

質問:はい。手間がかかるということで経管栄養にしたのではないか。患者はトイレに行きたいとの意思表示もしていた。

質問:嘔吐により、誤嚥性肺炎が悪化したと言えるか。

医師:全身状態が悪化しているから、言える。経管栄養は無理と判断した。

質問:IVHと経管栄養のどちらを選ぶか。

医師:IVHを望めばIVHとする。IVHはどのようなものかを説明した上で判断してもらう。選択肢は何もしない、抹消点滴、IVH、経管栄養。

質問:何もしないという選択肢はあるのか。

医師:延命措置をするならばIVHである。22日の時点では経管栄養は無理。腸からの栄養補給は無理と説明する。IVHをすれば、すぐに死ぬことはない。数週間寿命を延ばすことができる。誤嚥性肺炎は適正な抗菌薬を使えば少しの延命できたでしょう。

質問:嘔吐前はリハビリしていた。誤嚥性肺炎が治れば、その状態に戻すことはできるか。

医師:食事はどうするか。

質問:経管栄養をする。

医師:カルテにはイレウス疑いとある。

質問:経過記録には腸閉塞所見が出現とある。翻訳で付けてきた。

医師:家族の希望があればIVHを選択する。本人の許可がないと医療行為はできない。

質問:医学的にはどちらが、治療効果があるか。

医師:説明して家族に選択させる。経管栄養はできないと説明する。

質問:IVHはどのようなメリット・デメリットがあるか。

医師:IVHは刺す行為が危険である。一生できるものではない。せいぜい数週間、1ヶ月。感染する恐れがある。栄養の補給はできる。

質問:22日は家族への説明なしにIVHに変更した。

医師:医療として正しいが、説明なしに行うことは問題である。

質問:下痢が頻回の状態で経管栄養は問題ないか。

医師:下痢が頻回でも経管栄養の量を減らすなどをして、経管栄養を続けることはある。

質問:下痢が頻回の状態では量を減らすなど配慮する必要が一般にはあるか。

医師:ある。

質問:ユナシンからファロムに変える意味はあるか。

医師:分からない。長男が点滴を止めろと言ったから経口の抗菌薬にしたのではないか。

質問:通常ならばどうするか。

医師:通常はユナシン点滴で行きたいところであったが、長男の意向で止めた。

質問:ユナシンの経口にしなかった理由は?

医師:分からない。

質問:点滴と内服では点滴に効果があると考える。患者は下痢をしている。

医師:そのように言える。

質問:CRPは白血球よりも遅れて反応すると考えてよいか。

医師:良い。径管栄養を止めて嘔吐したことが原因。

質問:ユナシンからファロムに変えたことが原因と言えるか。

医師:証明できない。新たな細菌が入ってきたかもしれない。それがユナシンが効かない最近の可能性もある。

質問:ユナシンの治療効果が完了していない中で治療薬を変更したことが問題ではないか。

医師:そのようには言えない。ユナシンかファロムかは医師の判断、裁量権の問題。

質問:21日の時点で治療方針の変更が病状悪化につながると予測できたか。

医師:医師としては病状悪化につながるという思いがある。点滴を止めてしまうのだから。

質問:8月20日は酸素を中止して、点滴を止めた。

医師:駄目かどうかは分からない。終末期かどうかも分からない。IVHにするかどうかは分からない。私はIVHはやらない。

質問:入院当初には下痢がなく、7月から下痢が始まっている。下痢に抗生剤の影響があるか。入院後に抗生剤を内服している。

医師:経管栄養のためではないか。

質問:経管栄養開始から1ヶ月くらい下痢をしていない。経管栄養の量も濃度も変わらない。

医師:抗生剤によって腸内の細菌層が変わって下痢になる。

質問:流入速度が速められていたら、下痢になるか。

医師:あまりに早く来て吸収力を上回っていたら、下痢になる。

質問:7月20日から1ヶ月近く下痢を続けている。対処しないのか。

医師:虚血性腸炎は血液の流れが悪いことで、血液の流れを良くする薬はない。経管栄養を止めて様子を見るなどしかない。普通は下痢をしていれば、あれと思ってCDなどを調べる。脳梗塞の高齢患者に大腸ファイバーのような痛い検査をするかという問題がある。

質問:調査しないのか。

医師:入院して48時間以内に下痢をしている患者は持ち込みの可能性がある。入院後の場合は、食中毒的なことが起きていれば実施する。

質問:便培養はしないのか。

医師:便の中に細菌がいることは当たり前であり、あまり意味がない。老化現象のために虚血性大腸炎になった可能性もある。

質問:経管栄養再開前にイレウスを疑うことは困難か。

医師:イレウスと言っても、腸があまり動いていないということである。それは経管栄養を再開しないと分からない。写真を見ないと分からない。本来は立位で撮影する。

質問:イレウスなのに下痢していることが分からない。

医師:下痢をしていれば通っている。イレウス所見と書いたことが分からない。適当に書いたのではないか。イレウスは腸が閉塞していることを言う。麻痺性イレウスである。

質問:8月16日の深夜1時過ぎの当直医が下痢なのでイレウスに否定的とある。

医師:腸管の麻痺である。

質問:下痢をしていても、麻痺性イレウスは否定できないか。

医師:否定できない。しかし、この時点で診断できない。

質問:長男の指示に従って止めたことは医学的に適切か。

医師:医学的には適切ではないが、長男の意向に従った。

質問:下痢をしている時に抗菌薬をすることは?

医師:下痢をしていても投与する時は投与する。

質問:入院時から8月15日までの間に抗菌剤が使われている。抗菌薬が効いていないと書かれている。炎症が改善しなかった。6月中は高熱が続いた。熱源は感染症によるものか、脳梗塞によるものか。

医師:それは分からない。抗菌薬が無効かどうかも分からない。

質問:抗菌剤を使っている割には白血球も下がらない、CRPも下がらないという状況が続いた。

医師:抗菌薬が効いていないか、他の原因かになるが、原因は分からない。

質問:抗菌薬は止めたり、出したりしている。ユナシンは7月23日にから5日間。バナンは6月19日から6月26日まで。バナンは内服薬。沢山抗菌剤が出ている。改善されていると解釈できるか。入院時よりは良くなっている筈。良くならなければリハビリはしない。抗生剤は効いているのか。尿路感染があると説明がなされた。

医師:分からない。適当にやっていたのでしょう。原因が分からずに抗生剤を多用することは、良くないことと思う。耐性菌を増やす。研修医にもするなと言っている。

質問:気道感染はレントゲンを撮っただけで分かるのか。

医師:分からない。

質問:気道感染、尿路感染があると根拠なく言ったのか。

医師:想像で言ったのだろう。

質問:どうすべきか。

医師:何もしないで経過を見る。

質問:血小板が減少した原因は?

医師:分からない。

質問:入院から8月15日までは感染症の原因かもしれないし、それ以外の原因かもしれない。

医師:そうである。

質問:そのような場合は抗菌剤を使わずに経過を見る。

医師:そうである。

質問:経管栄養は重症な人にはやらないのではないか。

医師:腸が機能しない人にはやらない。

質問:経管栄養はどのような人にするのか。

医師:自分で食事が取れない人で、自己抜管しない人である。



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