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  • 執筆者の写真林田医療裁判

治療中止事例に林田医療裁判

公立福生病院事件を考える連絡会が2020年1月13日に開催されました。ミニ勉強会「安楽死や治療中止等についての裁判事例、判例について」で林田医療裁判が取り上げられました。講師は木下正一郎弁護士(医療問題弁護団)です。


林田医療裁判は大きく2点を問題にしました。患者の長男が経管栄養の注入速度を速めたことと、患者本人と家族である患者長女への説明と同意がなかったことです。第12回「医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウム」(東京地方裁判所)では後者に絞って議論されました。これに対してミニ勉強会では両方を対象にしました。福生病院透析中止事件も鎮静剤の投与が過剰ではないかとの意見が出ており、前者の問題も重要です。


林田医療裁判の判決が本人の意思を確認する必要がないとしたことに対して、障がい者の治療がキーパーソン次第で決められてしまうと懸念の声が出ました。キーパーソンは連絡窓口であって意思決定の主体ではないとの指摘もありました。


連絡会には林田医療裁判原告家族も参加しました。川崎協同病院事件判決で「疑わしきは生命の利益に」の原則が提示されているが、それが民事訴訟にも適用されているか疑問と指摘しました。他の方からは刑事訴訟では要件へのあてはめをきちんとしているが、民事訴訟はざっくりとの意見が出ました。


川崎協同病院事件は刑事訴訟です。刑事訴訟では「疑わしきは被告人の利益に」が大原則ですが、「疑わしきは生命の利益に」はそれを覆す方向で機能します。日本の刑事訴訟が推定無罪を建前としながら、実際は推定有罪であるとの批判は古くから言われています。最近ではカルロス・ゴーンさんが批判しています。被告人を有罪する論理としてだけ「疑わしきは生命の利益に」を使っているのではなかと懸念します。


ミニ勉強会では患者の権利を守る会が立正佼成会附属佼成病院に送付している公開質問状についても質問を受けました。公開質問状は開かれた医療、より良い医療にするために出していると説明しました。


連絡会は2020年3月に院内集会「公立福生病院事件報道から一年~死への誘導は許さない~」を開催する予定です。集会の副題の当初案は「医師の死の提案は許さない」でした。死の提案・誘導者は医師に限らないということで「死への誘導は許さない」としました。林田医療裁判では患者の長男が経管栄養の流入速度を速め、治療を拒否しており、林田医療裁判の問題意識とも重なります。



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