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執筆者の写真林田医療裁判

公立福生病院における腎代替療法選択の実際と透析非選択患者の経験

中林巌、植木博子、濱耕一郎「公立福生病院における腎代替療法選択の実際と透析非選択患者の経験」日本透析医会雑誌37巻2号(2022年)では治療方法の意思決定について以下のように述べる。

「療法選択の最終決定権者は患者本人である。どの療法にもみられる長所と短所について十分説明する。本人より患者の意向を重視したり、我々医療者が本人を説得して療法選択をさせたりするようなことは行わないよう留意し、自己決定が後の自分自身にとって極力後悔が少ない支援を心がけている」

「透析非選択患者の場合は『医療選択医師確認書』を記載するが、そこには単に透析を拒否する意向だけではなくその理由について自筆で書くことになっている。そして同一書面に家族の意見や考えなども可能な限り記載することにしている。もちろん記載後の意思変更も可能であることを患者や家族に説明し、都度確認することは必要である」


公立福生病院では透析中止事件が起きた。透析中止事件の裁判は「透析中止の判断が患者の生死にかかわる重大な意思決定であることに鑑みると、一件記録上、本件患者に対する透析中止に係る説明や意思確認に不十分な点があったといえる」として訴訟上の和解が成立した。論文では透析中止事件に触れておらず、透析中止事件を教訓として新たに採用したのか、方針は存在していたが、透析中止事件では機能していなかったかは不明である。



論文は治療法の長所と短所を十分に尊重すること、医師の理念を患者に押し付けないこと、家族の意見や考えも可能な限り反映すること、方針の変更が可能であることを求めている。これは林田医療裁判(平成26年(ワ)第25447号損害賠償請求事件、平成28年(ネ)第5668号損害賠償請求控訴事件)と重なる問題である。林田医療裁判ではキーパーソンとされた患者の長男の意見だけで治療拒否の方針が決められた。長男は医師の理念を踏まえて選択したと主治医は陳述した。長男以外の家族の意見は確認されず、方針の都度確認や見直しもなされなかった。




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